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合流

「いけっ!ファイアボール!!」

 敵が放った魔法をアルベルドは剣で一刀両断するとその勢いのまま近づき、頭蓋を叩き割った。

「あーくそっ、さすがに数が多いな…」

 息を切らしているわけではないが、休む間もなく自軍の十倍もの敵と戦い続けていたため、額には汗が浮かんでいる。

「団長!ご無事ですか!?」

「まだまだ現役だっつの、これくらいでどうにかなるようなタマじゃないのは良く知ってるだろ?」

 レクシアが声を掛けてきた理由がそんな事では無いとは分かっている。

 密偵が誰か確定していない状況でうかつなことは喋れないのだ。

「ええ、そうですね。それより…」

「…来たのか?」

「ええ、あちらを」

「そうか……ってなんだありゃ?」

 今の状況を打開する希望があるとしたら召喚者だけであり、彼または彼女が来ることを待っていた二人は、敵軍後方から砂煙を上げて高速でこちらに向かうものを目にした。

「はい、召喚者がこちらに向かってくるのが見えて……ってえええ!?」


***


 ハイどーもこんにちは白城魁です☆

 今日はですね、強風に飛ばされてみたという企画でですね、お送りいたしまーす!イエー!!!

 という動画投稿者のようなくだりを俺はシルフィの悲鳴をBGMにして脳内再生していた。

「キャアアアッ!!!」

 にしても凄い風である。

「とめっとめてくださああああっ!?!?」

 だって二人とも浮いてるし。

「うん、無理☆」

「なんでですかあああぁぁぁ……!!!」

 こうなった原因は数分前に遡る。


***


「そういえば魔法ってどうやって使えばいいの?」

 敵陣に向かう途中にそう言ったのが全ての始まりだった。

「はい?」

 素っ頓狂な声を上げるシルフィにもう一度言う。

「魔法って使ったことないけどどうやって使うの?」

「…ええ!?」

 自分がいた世界には精霊がいないことは言ったが、魔法も存在しないことをシルフィには言ってない気がする。

「まあ、つまり魔法の使い方教えて」

「は、はあ…分かりました。魔法の使い方は単純です、起こしたい事象をイメージして発動せよと念じるのです」

 いとも簡単すぎる説明に拍子抜けしてしまう。

「そんだけ…?」

「ええ、ですがイメージは正確にしなければ発動しませんし必要な魔力が足りなくても発動しません。それに使えるのは契約している精霊の属性魔法だけです」

 なるほど、つまり自分は風属性の魔法しか使えないと。

「基本的には風で相手や物を吹き飛ばしたり、追い風を起こして移動を楽にすることができます」

「なるほど」

 まあだいたいそうなるよな。

「じゃあほとんどの人の場合、どれくらいの規模の魔法ができる?」

「…強風で足止めできるくらいです、しかし、私と契約したあなたならばそれ以上のことも出来るはずです!」

 だとすると本当に相手を吹き飛ばすことも出来そうだ。

「それなら早く向こうに行って加勢した方が良いし、練習がてら魔法を使って速度を上げてみようか」

「そうですね、それではよろしくお願いします」

 イメージすればいいんだっけな。

 この場合なら追い風を起こせばいいんだけど早く向こうに行くならその分風を強くしなければいけない。しかしただそれだけなら足が追いつかずに縺れて倒れるだろう。ならば上昇気流も起こすべきだな、ヨシ!

 なんか猫の幻影が見えた気がするが気にしないことにした。

「それじゃあ掴まって」

「はい!」

 シルフィと手を繋ぐと頭の中で先程思い浮かべたことを起きろと念じる。

 すると、本当に想像したことが起きた。

「わわっ!?」

 身体が軽くなり、進むスピードが上がる。

 まるで羽が生えたかのようだ。

 地を蹴るように足を動かすたび、思っていた以上に前へ進む。

 恐らく自動車くらいの速度は出ているんじゃなかろうか。

「これ楽しいな!」

「ちょ、ちょっと、これ早すぎじゃないです!?」

 足を前に出す。

 地面を蹴る。

 足を前に出す。

 足が空を切る。

「…あれ?」

 気づいたら地面から足が離れていた。

「と、飛んでる…!」

 まさか身体が本当に浮いてしまうとは思っていなかった。

「あ、やべ、これどうやって止めればいいんだ?」

 風が強すぎたのか、さっきよりも速いスピードになっている。

 このまま減速しても地面に激突して大怪我になるだろう。

「えええっ!?」

 シルフィが顔を青ざめさせているが、もうどうしようもない。

「ちょ、ちょっとこれどうにかならないんわひゃあっ!?」

 あ、シルフィの体が縦回転した。

「これはもうあれだな、なるようになれ☆」

 というわけで思考放棄した。

「イヤアアアァァァっ!!!?」

 そうして二人して暴風に揉みくちゃにされながら敵陣へ突っ込んでいった。

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