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お題:缶コーヒー

 笑っちゃうぐらい不味いです

 出来立ての湯気が立つご飯でした

 質の悪い砂糖と脱脂粉乳を5対3に、酸味の高めの深煎り豆で淹れたコーヒーを混ぜ込んだ炊き込みご飯でした

 それを主食にしていた兄が亡くなった朝のことでした

 兄は地球の平成生まれの博士号の持ち主で、身体を15回乗り換えていると聞いています

 その身体の補修をしてくれていたAIロボットが兄より先に逝きました 200年生きた長寿のAIロボットでした

 AIロボットには、指示を当てえた後継機が何台も用意されていました

 その後の事ですか?

 兄の補修は何度も失敗しましたよ?

 兄を補修することを嫌がる個体同士が兄の補修中に衝突もしたそうです

 一部のAIロボットにとって、完全体の人間である兄が怖かったのでしょうと、手術の責任者であるAIはよくあることだと話してくれました

 「補修は、なんとかなりますよ」

 しかし、兄は帰ってきませんでした

 兄は亡くなりました 兄は帰ってこないです

 それはわかっています それはわかっています

 それなのに私は今日も兄のための、朝ごはんを炊きました

 それによって兄が私の元なら戻ってきてくれる気がしたのです



 アナタの日記の妹の読みましたよ

 アナタは妹さんに愛されていましたね

 語りかける際には、縦に2メートルの筒状の容器に茶色く染まる液体に浸かるように眠る彼の姿があった

 研究結果を引き続ぎした際は、まさかコーヒーというこんな不味い液体が、アナタの心臓を生かし続けていると誰が信じられたでしょうか

 本当にアナタには驚かさせられる

 アナタが亡くなったと妹さんが思い込んだ病棟でも、アナタの心臓は止まっていなかった

 ずっとアナタに与えられていた点滴の中身が失われた缶コーヒーと同じ成分だったとは当時の研究員もタチが悪い研究をしたものだ

 コーヒー漬けの成果は、アナタのおかげでだいぶ技術として確立して、使えるようになりましたよ

 あとはアナタが目覚めてくれたら別の研究も進みそうなのですけどね

 まぁ、いいでしょう アナタが生きている

 それだけで我々が生きている意味があるのですから

SFのSSが書きたく、お題をもらって短時間で書いてみました

カフェインと砂糖は、心臓を留めるののか、動かし続けるのか

興味深いですよね

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