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お互いを恋に落とす事をがんばる事になった【本編完結】  作者: シャクガン
お互いを恋に落とす事をがんばる事になった〜After story〜
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1月20日 Side涼17

教室の自分の席に座り黒板を真剣な眼差しで見つめて、黒板に書かれている議題について考えているようなそぶりを見せているが私は別の事で大いに悩んでいた。


毎日部活と学校生活を送り、凪沙が作ってきてくれるお昼ご飯を一緒に食べ、凪沙のバイトがある日は凪沙を家まで送る。


家に帰ればメッセージのやり取り、たまに電話。休日は私が部活だったり凪沙がバイトだったりしているが、割と会える時間はあるし連絡も取り合っているから、凪沙との交際は順調だと言える。


凪沙と2人きりになれる時間だってある。家まで送っていく時、高坂と東雲が気を遣ってくれているのか特別教室で2人きりになることも最近増えてきた。キスだって何回もした。


しかし、私は大いに悩んでいる!





いつセックスをしたらいいんだ?





私は経験がない。経験はないけど、凪沙と付き合える事になってぼんやりとした認識だったのをしっかりと勉強をして知識を増やし備えた。


でも、セックスまでもちこむ過程の知識が不足している。どうやってもちこんだらいい?そもそも、学校と部活とバイトでお互いに時間の余裕がある時がない。


土曜日は部活が休みだけど、凪沙がバイトだったりして結局疲れているだろうなと思い家まで送って別れる。日曜日は私が部活で終わるのが外が暗くなった時間帯。


やる時間なくね?


経験がない私は行為自体よりその過程でもうすでにつまづいている。


キスは付き合う前からしていたから、案外すんなりできるようになったけど、あの可愛すぎる凪沙の小さく声を上げている様子と終わって離れた時の潤んだ瞳が私の内側から感じたことのないほどのゾクゾクとした感覚を引き出していく。


多分、つまり、私はものすごく欲求不満なんだと思う。経験はないけど、凪沙を抱きたい、触りたい、気持ちよくさせたらどうなるんだろうっていう気持ちが大きくなる一方なのだ。


そして私はまた大いに悩むのだ。




「涼くん。そんなに真剣に悩んで同じ班になりたい人でもいるの?」

「凪沙……」


「さすがに別のクラスの人とは無理かなぁ」

「ん?」


まだLHR中だというのに隣には結が立っていた。

黒板は見ていたが中身を全く読んでいなく、気付けば修学旅行についての日程などが色々と書かれている。


手元のプリントを見ると来月行われる修学旅行のしおり。

今はどうやら班決めの最中らしくあちらこちらでグループが出来上がってきていた。


私は深くため息をついた。


凪沙とクラスが別々の時点でお察しである。

班行動が基本の修学旅行で、凪沙と一緒にいられない時点でもう退屈でしかない。


「涼くんは私と同じ班で良い?」

「うん」


クラスで最も仲良くしているのは結なのだから、1番気を遣わなくてすむ結と同じ班になるの方が助かる。


「最低でも4人だから、あと2人は必要だよね〜」


結は周りを見渡してもうすでに出来上がっているグループを確認していく。


「涼くん。私たちと一緒に組まない?」

「私たちは自由行動の時、こことここに行きたいんだけど一緒に行かない?」


何組かのグループに声がかけられる。

別に私は自由行動の時行きたいところもないし、そのグループと一緒でも良かったんだけど何故か結は断っていた。


「ねぇ。2人だけ?一緒に組まない?」


結が駆け寄っていった先を見れば、以前私の膝の上に座っていたあの小柄のクラスメイトと笑い方に特徴があるクラスメイトの2人だった。


小柄なクラスメイト小林鈴華こばやし すずかと目が合うと頬を染めニコリと微笑んだ。

席に座っている小林の肩をバシバシと叩きケラケラと笑う斉木真那さいき まなこの2人はよく一緒にいる。お昼も一緒に食べているし。


私は立ち上がり2人のところに向かった。


「おっ。悠木くん、あたし達と一緒でいいの?」

「うん。斉木面白そうだし」


フランクな彼女は私の前の席でプリントを前から後にまわすときなど振り返ってはケラッと笑うのだ。


「真那でいいよー。こっちは鈴華。よろしくね結ちゃんと悠木くん!」

「斉木はそのまま名字呼びかよ」


“悠木も名前みたいでいいじゃん“と言ってまたケラケラと笑い出す。


「よろしくね。鈴華ちゃん」

「よっ、よろしくお願いしますっ!!!イダッ!」


勢いよく頭を下げた彼女が机に思いっきり額を打ちつけていた。それをみてまた爆笑している斉木。


「よろしくねぇ鈴華ちゃん。よしよし」

「よろしくお願いしましゅ……」


結が鈴華ちゃんのおでこおさすりながら笑った。なかなか面白いメンバーになったみたいだ。


少し修学旅行が楽しみになった。


「沖縄に二泊三日……二日目の自由行動で行きたいところとかある?」

「あ、はいはい!サーターアンダギー食べたい!」


「行きたいところじゃないね」

「どこでもいいかな」


「わたしも沖縄よく知らなくて……」


班が決まってそのまま二日目の自由行動の行き先を決める事になったが、なかなか行き先が決まらなかった。

23日が午前中が移動、お昼を食べてから首里城。そしてホテルへ行き夕飯を食べて就寝時間まで自由行動。


24日が丸一日自由行動で、25日が午前中が自由行動、午後が移動となっている。


自由行動多すぎだろ。自主性を重んじているらしいが、ただ面倒なだけなのでは?


まぁ、好きにできるのは良いかと修学旅行のしおりを眺めた。


24日ね――24………



「あっ!!」

「え!?涼くんどうしたの!?急に大声上げて、どこか行きたいところでもあった?」


「あ、いや別に……」

「なんだぁ。二日目の自由行動って今日決めないとダメなのかなぁ」


すぐに興味をなくし結は両手を頭に乗せた。



24日って凪沙との記念日じゃん……今月の24日。

凪沙と付き合い始めて1ヶ月記念日だ。


これだ!!


私は心臓がドキドキと早まった。



口元が緩んでいるのを小林鈴華が不思議そうに見ていた。




読んでいただきありがとうございます。

カクヨム、アルファポリスで投稿している、ちさきと亜紀のサイドストーリー

【どさくさに紛れて触ってくる百合】もよろしくお願いします。


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