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七話 目

 太い足をぐぅんと持ち上げ地面へ叩きつけるように降ろす。

 そうして一歩一歩、地響きを立てながらゴーレムはこちらへと近づいてくる。


「……」


 俺もまたゴーレムに向けて踏み出し、ノースを前に出して近づいていく。

 やがてゴーレムと俺たちは広場の中央近くで向き合った。

 ゴーレムの威圧感は変わらないがこうしてみると思ったより大きくない。


「というか横にでかいんだな」


 俺が呟くと同時にゴーレムが右腕を振り上げた。


「いきなり拘束、……じゃない」


 またあの叩きつけかと思ったがゴーレムは単純に拳で殴りつけてきた。

 岩の拳がノースへ迫る。叩きつけよりモーションは速いが威圧感もなく回避は容易だ。ノースを前へと走らせて懐へと入らせ同時に俺は左腕を振るう。ノースが左腕の小盾でがぁん、とゴーレムの胴体を叩いた


「硬っ」


 もう一度小盾で殴ろうとして、ゴーレムが嫌がるように体を振った。


「っと、ヤバそう」


 嫌な予感がしてノースをすぐさま後退させる。その直後にゴーレムの足がぐんと前に突き出された。


「うわ⁉」


 想像よりも太い足が風圧を纏いノースの体の横ギリギリを突き抜けていく。


「でっ、でか! いやゴーレムが喧嘩キックなんかするなよ!」


 冷汗の浮かぶような攻撃だったがノースはダメージを受けていない。

 地面を削りながら突き出した足を戻していき、ゴーレムはずんと元の姿勢に戻った。


「うーん……やっぱ小盾だとダメージ入りづらそうだ」


 今の渡り合いでそう結論付ける。

 俺は大円盤へ到達するためにゴーレムを倒したい。剣がない以上盾でそれを成さなければいけない。

 でも無理だ。あの岩を小さい盾でどれだけ殴っても傷つけられる気がしない。


「そもそもダメージが入ってるのかどうか」


 盾って攻撃力あるんだろうか。システム的に。


「……狙うしかないか」


 俺はゴーレムの頭、こちらを見据える赤い一つ目に狙いを定める。


「いかにも弱点って形だけど、弱点じゃなかったらどうしようマジで」

『オオオ……』


 言葉に反応したわけでもないだろうが、ゴーレムは再び右腕を振り上げた。


「叩きつけじゃない。なら試してみるか!」


 この拳は俺から見て右から左へ刈り取るように振るわれる。恐らく一番出の速い攻撃だ。

 だが蹴りや叩きつけよりだいぶ軽い・・


「ノース」


 つい呼びかけて俺は腰を落とし左腕を前に出す。ノースが小盾を構えた。

 パリィの構えだ。


「……!」


 迫るゴーレムの拳が小盾に接触する直前、一瞬のタイミングに軽く小盾を当てて力を受け流す。

 ノースの体がぎしりと鳴った。

 人形の感覚はプレイヤーへ伝わらない。しかしその音と地を滑って下がった足に相当な力が掛かったのは理解できた。

 だがノースは崩れず耐えきった。


『オオオオ!』


 受け流されたゴーレムの腕があらぬ方向に伸び切りその体がバランスを崩す。

 ずぅんと膝と手をついたゴーレムの頭、その目は小盾を構えるノースのすぐ前に差し出されている。


「行け!」


 俺は左腕を思い切り振り上げる。

 狙いをつけるまでもない。目立つ赤い目にノースの拳が叩きつけられ――バギ、と何かが罅割れ砕けるような音を響かせる。


『ゴオオオオ!』


 突如ゴーレムが絶叫を上げて天を向いた。

 今までののったりした動作ではない。反射でビクンとのけぞったような動き。


「弱点確認!」


 俺の動きそのままに、ノースががしゃりとガッツポーズを取った。

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