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一話 ゲームを貰う

「お邪魔しまーす」


 ドアを開けた瞬間、顔面に何かが叩きつけられる。


「いっっって! え、何? 何⁉」


 鼻を押さえて前を見ると玄関の中で目にクマのある男が腕組をして佇んでいた。


「本郷さん何すんの――」

「やれ」

「は?」

「そのゲームをやれ」


 男、従兄の本郷(ほんごう)(かさね)は俺にぶつけたものをビシリと指さした。

 地面に落ちたそれはよく見るとゲームのパッケージだ。


「いやまってなにこれ」

「人形を造って、操って、戦うインドリームVRMMO『Dolls Revolution』。基本だけで数百種類あるパーツを組み合わせて人形を造り強化していく――」

「内容じゃなくてなんでゲーム投げて来たんだって話だよ!」

「いいからやれ。受験終わってから毎日毎日うちに入り浸って『何もする気起きねぇ』とかため息ばっかりつきやがって。 鬱陶しいことこの上ねぇんだゲームでもやってとっとと立ち直れ」


 無表情ながら圧を感じる顔に圧され文句を継げなくなる。

 そういえば最近はずっと本郷さんの家に来てたかもしれない。


「な、なんかすみません」

「ちなみにドルレボは今日発売されたばっかのゲームだ。始めるにはちょうどいいぞ」

「オンラインゲームってやったことないんだけど……」

「それもちょうどいい。どうせ暇な上に春休みだ。ニートのように画面へ噛りつけ」

「画面ってこれインドリームじゃん」


 インドリーム型VR。

 夢を見るように五感でVR世界を楽しめる技術だ。最近は多くのゲームがインドリームで出ている。


「十年前はVRも専用のグローブだのルームランナーだの使ってたのになぁ」

「年寄りの懐古……いでででで」

「いーから子供はゲームで遊んでろ。とりあえずこのPV見ろ」


 携帯端末を高速で操作し本郷さんが動画を呼び出した。


 PVはストーリーから始まった。

 ある日、人類の暮らしは突如どこからか現れた侵略者によって脅かされた。

 人類は抵抗したがその物量と強靭な体に人類の武器では歯が立たない。

 そこに国が人形の技術を開発する。人形は人より遥かに力が強く壊れても直せる。その技術により人々は侵略者へ対抗する力を手に入れた。

 だがまだ、まだまだ足りない。

 国は追いやられた人々へオーダーを出した。

『人間は支配を侵略者たちへ、人類の敵へ譲った。だが今度は私たちがその座を奪い返す。革命を起こす。故に人形を発展させよ』

 侵略者へ対抗するための人形を操り発展させるための人材。

 彼らを人々は人形師と呼んだ。


「さらに公式サイトでも実際のプレイ映像を確認できる」

「なんか準備良くない?」

「ぶっちゃけドはまりしてな。どうせ相馬来るだろうしやらせようと思って爆速で勧める準備したぞ。なんか気になるところあったか? 十二時間ぐらい遊んだからある程度は答えられる」

「今昼過ぎなんですけどほぼぶっ通しでプレイしてたってことじゃ?」

「そうだが」


 本郷さんは相変わらずのゲーマーだ。


「目のクマが凄いのはそれでか……ていうか一旦家の中に上げてもらったりは」

「駄目だ。早く帰ってプレイしろ」

「プレイすることは前提なのか……」


 しかしそれはそれとして気になるところはある。


「このいろんな国の風景だけどさ」

「ああ、国は三つあってその中から選べる、和風、洋風、中華風でな」

「それはいいんだけど、そのどれからも見えるこれ」


 PVをそれ(・・)が映っているところで止める。


「このでかい円盤みたいなやつ何?」


 俺が指すのは、画面の遥か彼方の上空にある大きな円だ。

 UFOのようにも見える平べったい、建造物?


「ああそれは――」


 本郷さんが途中で口を止める。

 そして首を傾げて立ち上がった。上から圧力がなくなる。


「本郷さん?」

「やめとこう。気になるなら自分で調べに行け」

「さっきまで説明するとか言ってたのに」

「とりあえずプレイさせるための説明だ。もうやる気になってる奴にわざわざ言わん」


 興味を持ったのは見透かされていたようだ。


「確かにちょっと楽しそうだな」

「……勧めといてあれだがほどほどにしとけよ」

「どっちだよ」


 いきなり手のひらを返さないでくれ。


「目的見つけたら燃え尽きるまでひたすら追い続けるのがお前の悪い癖だ。今回の受験だってこの辺じゃ一番良いとこ行くために無理してただろ」

「いや、まあ。でもちゃんと合格したし」

「そのためだけに何でもかんでも放り出して達成しようとするのが悪いって話だ。後で放り出したこと後悔して燃え尽きる癖に」

「その節はご迷惑をおかけしました」


 実際それ自体を悪いとは思ってないが、家に入り浸ってしまった本郷さんには謝るしかない。

 本郷さんは鼻から息を吐きだしてしっしっと手を振った。


「じゃあさっさと帰れ。帰ってさっさとプレイしろ」

「ああはいはい。……これ貰っていいの?」


 流石にゲーム一つをそのまま貰うのは気が引けるんだが。


「別にいい。俺はダウンロードしてるしそれは相馬の分だ」

「全力で勧めてくるね」

「まあ配達頼んでたの忘れてダウンロードしただけだが」

「わー馬鹿あいだだだ!」


 頭を締め付けられながらも、ゲームのお金は払い俺は本郷さんの家から出た。


「ドールズレボリューション、ドルレボか。……面白いといいなあ」


ドルレボ初めです。よろしくお願いします。


もう一つの方はこっちに設定寄せて書き直すかもしれません。

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