第8話:連邦化
「さいたま民国、越谷首相」
議長の声が響き渡ると、金髪ロングで肌が白く、若々しい女性が前に出る。
「はい。私はこの案は賛成です。さいたま民国はあまり軍事力が高いわけではありません。そんな中、軍事力の高いグンマー帝国が南下してきたらさいたま民国は滅びてしまいます。さいたまが占領されると東京、千葉が占領されるのも時間の問題になってしまいます。そう考えると、四国合併をし、一つの国になることで日本列島最強の国になるのです」
確かにこの案はうなずける。
合併すれば、お互いの領土間を行き来できる。
さいたまとグンマーの国境に東京の帝国兵を配備できれば、グンマーが南下するのを食い止められるかもしれないのだ。
「相模国、三浦大統領」
次に出てきた人物はスーツを着た、40代くらいのおじさん。
「えぇ、私も賛成であります。相模は今、武器が足りておりません。ですから、えぇ、東京、さいたま、千葉、そして相模が合併することで、武器を共有できるのであります。ですから、この四国で武器を製造すれば、武器製造大国になるのではないかという結論に至ったのであります」
そうか、武器を共有するというのも一理ある。
合併すれば、生産性が高まり、国力が上がる。
「千葉共和国、勝浦首相」
今度はスーツを着た70代くらいのおじいさんが出てくる。
「私も賛成です。私達千葉国民は東京の貿易に助けられています。しかし関税が高いのです。合併できれば関税がかからずやりとりができるため、この四国にとってwinwinな関係になるでしょう」
俺もこれには賛成だ。
東京は自給自足が困難であり、少しはできるが人口に対しての生産が少なすぎる。
だからこの四国で合併すれば、関税がなくなり、安く食料を取り寄せることが可能になる。
昨日スーパーで見た野菜はほとんどすべて今よりも安くなるであろう。
「大東京帝国の首相はアメリカに出張中につき出席しておりません。代役、お願いします」
え、うちの首相なにやってんねん。
すると、恵はちょんちょんと俺の肩を叩く。
「透君に任せるわ」
無茶ぶりすぎません!?
「いやいや、こんな重要な、、」
恵は座っている俺をぐいぐいと隣から押してくるので仕方なく前に出る。
「えーっと、私も賛成です」
周りがザワザワとし始める。
『あの人、昨日軍に入隊したらしいよ』
『え、やばくないですかそれ?』
あまりよろしくない会話も聞こえてくる。
透は話を続けた。
「合併すればGDPが著しく上昇し、世界的に見てもGDPの高い国家となるでしょう。日本列島の中ではダントツでトップとなり、この四国が一国になればまず負けることはないでしょう」
まず、東京だけでも世界的に見てGDPがとても高いため、四国が合併すれば絶対にどこにも負けないであろう。
会場の人々はびっくりした顔をする。
全くすごいことは言っていない。
しかし、新人がこの場で話せたということに関して感銘を受けているのである。
拍手が鳴り響く。
透は椅子に座ると恵が「よくがんばったわね!」と言って、頭を撫でてきた。
俺はペットか!!
なんだか照れる。
透は顔を赤くすると、恵は優しく微笑んだ。
「出席国の皆さんは、全ての国が賛成ということでよろしいでしょうか。反対の方は挙手を」
誰も挙手はしなかった。
「ただいま、四国の連邦化が決定いたしました」
数十分後に新しい国名が発表される。
「新しい国名は、東京連邦であります。東京地区、相模地区、さいたま地区、千葉地区の四つに分かれている東京共和国連邦が今ここに誕生いたしました」
「「「「ばんざーい!!」」」」
会場は歓喜に包まれたのであった。
この時東京連邦の人々は、グンマー帝国と甲斐王国の強国が同盟を結び、さいたま地区に攻めてくるということはまだ知らなかった。