第4話:本当に同じ部屋で寝るんですか?
夜の今の時間の新宿駅にくる電車は軍の関係者しか乗れないようで、恵は電車に乗る際に軍隊番号を提示して乗っていた。
俺も番号提示を促されたが恵は説明をする。
「この人はこれから軍に入隊する人です。私が今日から保護者になるので特別に乗せてあげて」
「了解いたしました」
俺は無事電車に乗ることができた。
「ねえ、透君。今日の夜ご飯なにがいい?」
なんか帰りの電車で夜ご飯の話するって、めっちゃ夫婦やん。
俺は勝手に恥ずかしくなる。
「作ってくれるんですか?」
「ええ、作ってあげるわよ」
「んー」
美少女の手料理食べれるとか、やっぱり転生してきてよかったと実感する。
考えていたRPGのような世界とは違うが、この世界もありだろうと思った。
「得意な料理はなんですか?」
「私!?」
いや、あなたしかいないでしょ。
「私は、そうだなぁ、ハンバーグとか?」
「え、ハンバーグ作れるんですか?すげぇ!食べたいです!」
恵は頬を朱に染める。
照れているのだろうか。
「そ、そう?わ、わかったわ。じゃあ、スーパーに寄るからついてきてちょうだい」
軍人だけが乗れる特別車両は三鷹駅で止まり、恵はそこで降りる。
俺は忠犬のように恵の後をついていく。
三鷹駅北口のマンションの下にあるスーパーに立ち寄った。
「えーっと、ハンバーグのひき肉は、、」
恵は独り言を呟く。
俺はスーパーを見渡す。
やはり元いた世界と変わりがなかった。
しかし、値段の方は元いた世界より高い。
輸入の関税が結構かかっているのだろうか。
キャベツ500円、トマト一つ200円。
一つ一つが相当高い。
だが、恵は普通な顔をして今日の食材をどんどんカゴの中に入れていく。
この世界では高いのが当たり前のようだ。
こうして一緒に買い物をするのもなんだか夫婦のようで恥ずかしい。
さっきからめぐみの方も顔を赤くしている気がする。
この時、恵はこう思っていたのだ。
『何この人!横顔かっこ良すぎるでしょ!この人と一緒に寝るの!?ワンルームだから場所ないし、寝る場所ベッドしかなくない!?床で寝かせるのはかわいそうだし、、ってか一緒に買い物してる状況、なんだか夫婦みたいなんですけど!?』
恵の頭の中は軽くパニックを起こしていたのであった。
恵の年齢は23歳。恵は恋愛経験がない。
幼少期は剣道に熱中し、学生時代は女子校。
剣道の成績が優秀だったことから、中学に行きながら男性もいる帝国軍に入隊したが、特別な関係の進展はなく、最高司令官になってもなおお色気のある話はひとつもないのだ。
なので男慣れしてないということもあり、恵は緊張していたのであった。
一通り食材をカゴに入れると、今度は炭酸飲料とポテトチップスをカゴの中に入れた。
「恵さんはこういうのも食べるんですね」
恵はもっと顔を赤くする。
「パ、パーティー的なものを開こうと思ってて…」
「パーティー?」
「え、ええ。透君、いらっしゃーいみたいな感じかしら…」
ふにゃふにゃっとした声で言う。
最初出会ったときの強キャラ感はどこいった。
会計を済ませて、家路につく。
恵の家は三鷹駅の南側。
線路の上を跨ぐ陸橋を渡り、少し行った先のマンションに着く。
「ここが私の家よ」
「お、お邪魔しまーす」
俺は女子の部屋に入るのは初めてなので、とても緊張する。
めっちゃ女子の部屋の匂い…
いい香りである。
玄関を上がり、手を洗うとソファーに座れと促される。
「ここに座って待ってて、着替えてくるから」
恵はそう言って、洗面台の方へ行った。
ワンルームだから着替える場所がないのである。
数分して恵は女子の香りを漂わせて部屋に戻ってくる。
可愛い、、
恵の部屋着はだぼっとしたTシャツにスウェットパンツ。
今の季節は夏なので、涼しげに感じる。
そして部屋着なのに色気がある。
胸の大きさのせいであろう。
Dカップはあるであろうお姉さんなお胸。
ツヤツヤな白い肌に、しっとりとした長い黒髪。
今日この人と同じ部屋で寝るんですか????
緊張し、喜ぶ俺であった。