第2話:着いたところは?
暗闇に飲まれた街が車窓から見える。
俺は不思議と外を見てると眠くなってきた。
眠い…
目を閉じて、車内にガタンゴトンと鳴り響く音を聞いて、俺はとうとう寝落ちした。
目を覚ますと、新宿駅南口の大通りに座り込んでいた。
「あれ、俺は、異世界転生したはずなんだよな、、」
異世界転生したはずなのに、見覚えのある駅舎、見覚えのある建物。
「なんだよ、あのじじいはめやがったか」
俺は、やはり嘘だったのかと思った。
それかこれは夢なのか?
いやまてよ、人が一人として歩いていないぞ?
新宿駅南口といえば、人でごった返す場所。
しかし、人気がなかったのである。
すると、向こうのほうから重々しい車が来る音がした。
見ると、戦車が走っていたのだ。
「戦車?」
現実ではこんな街中に戦車が走ることなんてない。
戦闘機が飛ぶ音も聞こえてきた。
「ここはやっぱり、異世界なのか?」
俺は、元いた世界と変わらない街並みの世界線に来たらしい。
しかし、この世界では戦車や戦闘機などが出動している。
「まてよ、俺、金とかなにもないぞ?」
そう、俺は無一文だったのである。
腹から音が鳴る。
最初からピンチ…
「ちょっと、あんた、ここでなにをしている」
俺は誰かに声をかけられ、横を振り向くと、20歳くらいの黒髪ロング美少女が軍隊の制服を着て立っていたのだ。
「ごめんなさい、目が覚めたらここにいて…」
美少女は声を張り上げる。
「なにを馬鹿なことを。ここは現在の時間は立ち入り禁止区域だ。とにかくここから出なさい」
「わかりました、、」
俺は仕方なくこの場を退去しようとした。
すると、美少女は俺の服をつまむ。
「あんた、もしかして記憶喪失者?」
「え?」
美少女は心配そうな顔をしていた。
「最近、梅田駅でもあんたみたいなひとが、立ち入り困難な立ち入り禁止区域にいたらしくて、事情徴収したらなぜそこに来たかわからなかったらしいの。いろいろ検査したら記憶喪失者だったって…」
俺もその人と同じで記憶喪失者だと思われているらしい。
「新宿も立ち入り困難なのよ。なのに、あんた、どうやって…」
「俺もあんまり記憶がないんです、なにが起こってるのかすらわからない状態で…目が覚めたらここにいたって感じです」
「そうなのね、お金はあるの?」
「ないです」
「家は?」
「ないです」
「やっぱり、梅田駅の事例とおなじだわ」
しばらく美少女は黙り込んだ。
そして、スマホをポケットから取り出した。
「新宿駅で記憶喪失者確認。はい、ええ、はい、そうです」
なにやら連絡を誰かととっているようだった。
「ええ、え!?私が!?わかりました、了解しました」
美少女は携帯をしまう。
「ねえあんた、今日から私の家で保護してあげるわ」