100年の恋も冷めるとはこういう事か
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魔王討伐から1ヶ月が経過して勇者パーティーがこの村にもやって来た。
表向きは大歓迎しているが、僕がシンシアを勇者に取られた事は既に知れ渡っていて男性陣に慰められた。
更におじさん達と縁を切った事も既に知れ渡っていたので、シンシアの評判はがた落ち。
何せおばさんはショックで寝込んでしまい、おじさんも体調を崩してしまった。
縁を大事にする我が村での勇者パーティーの評判は非常に悪い。
一応、歓迎はするけど皆の思いは『さっさと帰れ。2度と来るな。』だった。
しかし、空気を読まない勇者は僕の目の前で堂々とシンシアと結婚する事を宣言した。
その時に僕はシンシアの姿を見たんだけど、凄く綺麗できらびやかな服を身につけて幸せそうに見えた。
その姿を見た瞬間、僕の少しだけ残っていたシンシアへの恋心はスーッと消えてしまった。
綺麗にはなったけど僕の好きなシンシアではなくなった。
僕が好きだったのはこの村にいた素朴でいつも明るくて周囲に笑顔を振り向いていたシンシアであり、聖女シンシアではない。
何かそっくりさんではないか、と僕には見えてしまって、まぁ冷めてしまった。
ずっと好きだったのに急に冷めるもんなんだなぁ、と思ってしまった。
だから、勇者から何か言われたんだけど、正直覚えてない。
僕が言ったのは『どうぞ、ご勝手に。僕にはもう関係ありませんので。』だった。
自分でも不思議で何にも感情なんて無くても、言葉って口から出るもんだなぁ、と思った。
後から聞いたら勇者は僕を見下した表情で『シンシアは俺のものだ。』とか言ってシンシアも僕を冷たい視線で見ていた、という。
村人達は殴りかかろうと思ったらしいが護衛の兵士達が睨んでいるので何も出来なかった。
まぁ、僕が言った言葉には勇者達はポカンとしていたらしい。
思っていた反応とは違っていたかもしれないね。
何故か知らないけど魔法使いが僕の方を興味深そうに見ていたらしい。
そんな訳で凱旋は特にトラブルも無く終わった。
勇者達はこの村に泊まろうとしたけど、村長が『この村には宿泊施設はありませんので。』と丁寧にお断りをした。
これで完全に吹っ切れたので、向こうが何かをしてこなければ僕はこれで終わるつもりだった。
・・・・・・その日の夜、村に火がつけられた。




