裁判当日
お待たせして申し訳ありません!
いよいよ裁判当日となった。
「はぁ~、緊張してきた······」
「今回の裁判は注目されてるからな、傍聴席の倍率もかなり高かったらしい」
何せ一村人が世界を救った勇者を訴える、という前代未聞の出来事だからね。
緊張しながらも僕達は裁判所の中に入っていく。
「それではこれより開廷致します」
裁判長の厳かな声が響き渡った。
僕達の向い側にはエリックとシンシアがいる。
前にあった時と違い表情は重かった。
連日取調べされていたらしいから疲れがたまっているんだろう。
「まずは原告エド、前へ」
「は、はいっ!」
裁判長に言われ僕は証言台に立った。
検察官により訴えが読まれた。
僕とシンシアとの関係の変化、僕の家やシンシアの実家が放火された事、その実行犯の証言により主犯は勇者エリックである事が話された。
「······よって被告エリック、及びシンシア両名に損害賠償を請求致します」
あくまで今回の裁判は放火による損害賠償が目的だ。
その中でわかった図書館や教会の不正はまた別件だ。
「原告は今の訴えに間違いはありませんか?」
「ありません」
静かに言った。
「ではこれより女神様をお呼びします」
裁判長の後ろには天幕があり神官が現れて呪文みたいな事を言い始めた。
すると天幕の中が目映い光を放った。
「女神様が降臨されました、それではこれより審議を『お待ちなさい』」
天幕の中から声がして1人の女性が現れた。
「め、女神様······」
法廷内がざわついている。
「私の名はレイラ、この世界の管理を代行しています。私がこの裁判の行方を見届けます」
「えっ、あのレイラ······様? 確かこの世界の女神の名前はエダ様では?」
「彼女は処罰されこの世界へ関与出来なくなりました」
更に法廷はざわついた。
いや、僕もかなりざわついてるよ?
だってレイラ様って······、
僕の母親にそっくりだったから。




