幕間 国王と宰相
「国王っ!コレはどういう事ですかっ!?」
抗議の声を上げるのは宰相の『ニール・ルーラン』、エリックの父親である。
「どういう事と言われてもなぁ、訴えがあったら法律に乗っ取って受理しただけだが?」
「勇者である我が息子は讃えられる事があっても逮捕される事などありませんぞっ!!」
「そうは言ってもなぁ、実際訴えられている訳だしそれを無視する訳にもいかないだろ?」
ニールの抗議をレバイアスは飄々と受け流していた。
「訴えを起こしたのは平民だと言うではないですかっ!? そんな意見は握り潰しても誰も何も思わない筈ですぞっ! すぐにでも訴えを取り下げる様に進言して頂ければっ!」
「もう捜査は始まっているし終えている。それに平民だろうが貴族だろうが訴えがあったら聞くのが国王の務めだと思うがな? 平民の生活が成り立っているからこそ貴族は成り立っているんだ。」
「し、しかしその様な訴えがあったら私にも教えて頂きたいと……。」
「教えてどうするつもりだ? 握りつぶすのか?」
「い、いや、その……。」
「あぁ、そうそう今回の調査でお前が教会や図書館の上層部と癒着していたのも発覚したぞ。」
「なっ!?」
いきなりのレバイアスの発言に言葉を失うニール。
「俺の知らない所で、持ち出し厳禁の国書を売らせるわ、勝手に聖女を決めるわ好き勝手やってくれたなぁ? 聖女だって、一番身分の低いシンシアを選んで贅沢な生活を学ばせ魅了しやすい様にした……、全てはお前の指図だと吐いたぞ。」
「わ、私は知りませんぞっ! 全て勝手にやった事!!」
「黙れ。」
怒気を含めたレバイアスの一言にニールは黙った。
「自分の非を認めず言い訳ばかり……、それが貴族として国の政に関わる者の態度か? 国民が見たらどう思うだろうな? 言い訳ばかり繰り返し一切の非を認めないお前の姿を見て支えてくれると思うか?」
「……。」
「ニール・ルーラン宰相、貴様を更迭する。暫くは自宅謹慎を命じる。頭を冷やせ。」
ニールは顔面蒼白になって部屋を出て行った。




