聖典の精霊の証言
久しぶりの更新です。
……教会て言うのはもっと神聖な所だと思う。
しかし、今教会の一部は騒然になっている。
理由は勿論、聖典の精霊なんですけどねぇ。
わずか数分で幹部の方は瀕死状態……。
「はぁはぁはぁ……。」
聖典の精霊は荒い息をあげている。
「こ、これは何事かっ!?」
「大司祭様、お騒がせして申し訳ありません。実は……。」
ミーナさんが慌ててやって来た大司祭というお爺さんに事情を説明している。
「ボコボコにしたのが多分、実行犯だよね?」
「多分そうですよ。関わった人の顔を覚えていますから」
僕とシエルは小声で話した。
「せ、精霊様っ! どうか怒りをお静め下さい。」
「静めるなんて出来ないわよっ! 私の身体に落書きされたのよっ!」
そう言って聖典の精霊は服をめくってお腹を見せた。
そこには『シンシア』の文字が……。
「このシンシアというのは後からその幹部が書き加えた、と言う事ですか?」
「そうよっ!」
「しかし、聖女の名前は書かれているのでは……。」
「そんな訳ないじゃない。私に書かれているのは聖女候補が書かれているだけよ。」
大司祭の言葉を聖典の精霊はハッキリと否定した。
つまり、意図的にシンシアを聖女にした、と言う事になる。
教会関係者はザワザワしている。
「聖女って決められてるんじゃないのか?」
「やっぱりあの噂はほんとうだったのか……。」
「噂とは何のことです?」
司祭の1人の言葉にミーナさんが反応した。
「いえ……、前から教会幹部と宰相が組んで裏で色々している、と言う話が」
「そんな話、聞いてないぞっ! そもそも教会には国は立ち入らないという約束では無いかっ!」
どうやら大司祭は知らなかったみたいだ。
後々わかる事なんだけどこの件に関わっていたのは大司祭の息子だと言う事が判明。
宰相と手を組んで候補の中から自分達の都合のいい少女を聖女に仕立て上げようとしたらしい。
それがシンシアだったらしい。
因みに聖典の精霊に書かれていた落書きはシエルの力で綺麗さっぱり無くなった。
それはつまり、シンシアが聖女である、と言う事実が無くなった、と言う事である。
この日、シンシアから聖女の能力がきれいさっぱり無くなりシンシアは悲鳴を上げたらしい。




