勇者に会いました
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シンシアが聖女に選ばれて1ヶ月が経過。
漸く心と体が落ち着きを取り戻した所でシンシアが戻って来た。
「シンシア、久しぶり!」
「エドっ! 会いたかったよ!」
シンシアは見違える程に綺麗になっていた。
元々、美人ではあったけど、聖女としての気品もあって、最初は近づいて良いのか、と躊躇してしまった。
シンシアは僕に勇者パーティーの面々を紹介してくれた。
勇者の名前は『エリック』、貴族でありイケメンである。
戦士は『ネイチェル』、勇者パーティーの中では一番年上で豪快な人物。
魔法使いの『ミサ』は、無表情で何を考えているかわからないタイプ。
この時、僕は『ん?』と思った。
いくら神託で選ばれたとは言え勇者以外はみんな女性だ。
所謂『ハーレム』だ。
戦力的に大丈夫なのだろうか、と思った。
それに勇者エリックに関しても違和感を感じた。
多分、シンシアに僕の事を聞いていたのだろう、にこやかな顔をしているけど、一瞬だけ目の奥が笑っていなかった。
人を見定めている様な目をしていた。
この時、僕は嫌な予感を感じた。
その日の夜、シンシアは僕の家にやって来て色んな話をした。
そこで、僕は勇者の話を切り出した。
「勇者様て、どんな人?」
「凄く強くて皆から慕われていて良い人だよ。私みたいなただの村娘にも優しくしてくれるから。」
「そっか・・・・・・。」
「もしかして焼きもちやいてる? 大丈夫だよ、私が好きなのはエドだけだから。」
そう言ってニッコリ笑うシンシア。
「うん、僕も待ってるから・・・・・・。」
口ではそう言った物の不安はどうしても拭えなかった。
翌日、いよいよ旅立つ時が来た。
「それじゃあ行って来ます!」
「シンシア、体には気をつけるんだよ。」
「無事に戻って来るんだぞ。」
皆からの激励を受けて勇者パーティーは旅立っていった。
遠くなり見えなくなっていく後ろ姿を見ながら僕は何となくだが不安を感じた。
これが僕が知っている幼馴染みで彼女のシンシアの最後の姿だった。
次に会った時は勇者のハーレムの一員として、勇者の婚約者としての姿だった。




