教会に関する疑惑
久しぶりの更新です。短めです。
図書館での出来事の翌日、国王様がわざわざ宿屋にやって来た。
「その子が魔導書の精霊か、俺も初めて見たが見た目は人間の子と変わらないな。」
「僕から離れなくて困ってるんですけど……。」
「マスターから離れたくないもん。」
シエルは僕の側を離れてくれない。
あと、ご主人様と言う呼び方もマスターと呼んでもらうように頼んだ。
「どうせだったらお兄ちゃんて呼んでもらったら?」とミサさんが言って実際に『お兄ちゃん』て呼ばれたら何か心にズシッと来る物が来たのは別の話。
「今回、此処に来たのは聖女に関する件だ。」
「シンシアに何か疑惑でもあるんですか?」
「それ以前の問題だ。聖女任命に関する『疑惑』だ。そもそも聖女がどうやって決められるか知っているか?」
「え? 聖女って世界に一人だけで最初から決められているんじゃないんですか?」
「聖女自体は世界に一人しかいない。しかし『候補』となる少女たちはいるんだ。その中から最も優秀な少女が聖女と任命されるんだ。」
「それじゃあ、シンシア以外に聖女候補生がいた、と言う事ですか。」
「あぁ、実は今回の疑惑は教会関係者からの密告があった。『聖女任命の時に不正があった』、と。」
「それはつまり本来シンシアは聖女になるはずじゃなかった、て言う事ですか?」
「かもしれない、と言う事だ。」




