幕間6
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メタリマンド国から魔王城までは様々な国を通っていく。
その際、メタリマンド国発行のパスで国境を通過出来る事が出来る。
勇者パーティーは勇者認定証を持っているのでタダで入る事が出来るが、それ以外は高い税金を払わないと入国する事が出来ない。
これは国民を流出させない為の対策の1つでもある。
さて、ジェルミとメイシャはメタリマンド国へ戻る為に旅をしているのだが現在、彼らはメタリマンド国と同盟を結んでいる『レイサス王国』の王都にいる。
レイサス国はメタリマンド国の次の領土を持っている国で、メタリマンド国とは友好関係を築いている。
当然だがジェルミもこの国には何度も国賓として訪れている。
しかし、今回はお忍びの旅、と言う事もあり、税金を払い入国した。
「無事、入国できて良かったな。」
「はい、この容姿ですから人間と間違えられた、と思います。」
「とりあえず、今日は宿を取るか。明日中にはメタリマンドにはつくはずだろうから。エリック達が国に着く前には到着したいんだが。」
エリック達は現在レイサス国領内には入ってきているらしいが、細かい足取りはつかめていない。
「あれ? ジェルミじゃないか?」
「え?」
いきなり声をかけられたジェルミは振り向くと一見普通の待ち人に見える青年がいた。
「俺だよ、『コボット』だよ。」
「あぁーっ!! お前、こんな格好で何してるんだよっ!?」
「こうしてたまに外に出てるんだよ。親父達には内緒だけどな。城にいると堅苦しくてこうしてストレス発散してるんだ。」
このコボットと言う男は実はこの国の王太子である。
ジェルミも公式な場所でしか会った事無いが同じ王子と言う境遇から腹を割って話す仲である。
「でも、彼女連れとは思わなかったな。」
「えっ!? い、いや彼女はそう言う特別な関係とかじゃなくて……っ!!」
「冗談だよ、冗談。今日は泊まっていくのか? それだったら俺のおすすめの宿があるぞ。」
「い、良いのか?」
「あぁ、勿論。」
ジェルミ達はコボットの誘いに乗る事にした。
「随分と普通の宿だな。」
「飯が美味いんだよ。ぶっちゃけ宮廷で食べる料理よりも俺はこっちの方が好きだ。」
コボットが案内したのは1階が食堂、2階が宿になっている店だ。
「お前は昔から変わってないな。」
「俺、前世は絶対庶民だと思うんだ。街に出てた方が落ち着くし城にいても国民の声は直接聞けないからな。」
「なるほど……。」
「それに馬鹿も捕まえやすい。これはまだ表に出てきていない情報なんだが……、勇者パーティーの一員であるネイチェル、ていう女戦士がいるだろ?」
「あぁ、いるけど……、それがどうかしたか?」
「今、牢屋にいる。」
「……はぁ? 何かやらかしたのか?」
「俺を逆ナンパ兼脅迫してきたんだ。その態度がむかついたから頭を冷やさしている最中だ。」
「何、やってくれてるんだ……。」
ジェルミはその話に頭を抱えた。




