宿に泊まります
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「それじゃあ、長旅の疲れもあるでしょうから宿の方にご案内しましょう。」
ガロードさんの案内で僕達はお城を出て街のはずれにある宿屋へと案内された。
「裁判が終わるまでは国の保護下に置かれるので国指定の宿に泊まって頂きます。なるべく一人での外出は控える様にお願い致します。我々も全力で守らせて頂きます。」
案内された宿屋は3階建てで木造の所謂普通の宿屋だった。
人の数は少なくちょっと寂しい。
「国からの呼び出しとか特殊な事情で来た人達専門の宿屋だから仕方が無いのよ。看板だって出てなかったでしょ?」
言われてみればそうで、宿屋の看板は出ていなかったし門番が玄関前に立っていた。
村長が受付で手続きをしている。
「あれ? と言う事は領主様達も此処に泊まる、と言う事ですか?」
「そうなるな。我々は『別宅』を持っていないからな。」
「別宅、ですか?」
「王都に頻繁に用事がある貴族は別宅があるのよ。私達は滅多に来ないから別宅があったとしても余計なお金がかかるから前に処分しちゃったのよ。」
領主様らしい話だ。
「あの、気になっていたんですけど領主様は村長が王族だっていうのを知っていたんですか?」
「あぁ、と言っても彼が村長になる時に聞いた。勿論驚いたよ。」
「私もお父様から聞いた時はビックリしたわ。噂でミロウ様の話を聞いていたから。」
「噂は聞いていたの?」
「ほら、私『例の件』で王妃様に気に入られちゃったから……。」
「あぁ~……。」
王子の顔面に鉄拳を喰らわせたの本当だったんだね。
「顔面蒼白になったけど王妃様が許してくれて本当に良かったよ。しかもお礼まで言われたからね。『あの鉄拳がショックだったみたいで我儘だった性格が大人しくなった。』って。」
「その後、何度かお茶会に招かれてその時にミロウ様の話を聞いたのよ。『国王様には優秀なお兄様がいる』って。」
そうだったのか……。
「受付終わったぞ。ほら部屋のカギだ。」
鍵を渡されて部屋に入った。
部屋は質素な感じの普通の部屋だ。
ベッドに寝転ぶと柔らかくて気持ちいい。
「エド、ちょっといい?」
ミサさんが入って来た。
「あ、何ですか?」
「コレ、例の本。」
あ、そうだった、王宮図書館から盗まれた本を持ってきたんだった。
ミサさんの『収納魔法』を使わせてもらい持ってきたんだった。
「多分、明日から忙しくなるわよ。王宮図書館への立ち入り調査も始まるし。」
「そうですね……、でも若干ワクワクしてるんですよ。」
「なんで?」
「本好きにとっては王宮図書館に行けるのは夢でしたから。」
「あぁ……、そう言う事ね。エドは本当に本好きなのね。」
「田舎の街に住んでいるとそれぐらいしか楽しみが無いんですよ。」
苦笑いして言う。
まぁ、まさか王都に来るとは思っていなかったけどね。
少しは楽しく過ごさせてもらおう。




