幕間5
感想+評価ありがとうございます。次回から本編に戻ります。
「それで……、メイシャはこれからどうするんだ?」
「ご心配なく、私は人間達と敵対するつもりはありません。」
「……その話は信じて大丈夫なのか?」
「いきなり信じろ、と言われても信じられないと思いますが……、長年の人間との戦いでこの魔族領も土地は荒れ、魔族の数が減少して衰退の一路を辿っているのです。父や部下達は人間の土地を奪ってこの問題を解決しようとしたのですが、領土が広くなっても何も問題が解決するわけではありません。」
「そうか……、我が国も似たようなものだな。長年の争いに金が使われ民の生活にも影響が出てきている。どこかでこの戦いを止めなければならない、と思ってはいたんだが……。」
実際の話、勇者遠征に国の予算の半分が使われ、国内の生活に悪い影響が出ている。
「ですから、戦争を止めて人間と和平の交渉をするべき、と進言するつもりでしたがその前に父が亡くなってしまったんです。多分、私が言っても部下である四天王が反対するに決まっていると思います。ですから、この状況は好都合だったんです。実はこれから各国を訪問して人間との和平条約を結ぼうと考えていた所です。しかし、見ての通り私に従う部下は一人もいない状態です。」
「ふむ……、それだったら俺が手伝おうか?」
「はい?」
「君の話を聞いて、嘘を全く感じなかった。俺も武力による解決は良い事は起こらないと思う。一緒に我が国に来てくれないか? 俺はメタリマンド国の王子でジェルミと言う。」
ジェルミは本当の目的である勇者の事後調査の事を話した。
「そうでしたか……、実は気づいてはいたんですが。しかし、私を歓迎してくれるでしょうか?」
「そこは我が王家が保証する。勇者の断罪には君の力も必要だ。」
「わかりました、よろしくお願いします。」
ジェルミはメイシャを連れメタリマンド国へと戻る事にした。
勇者を追い詰める準備は着々と進んでいた。




