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幕間4

皆さん、感想&評価ありがとうございます。今回も幕間話です。

「……えっ? き、君が……、魔王?」


「はい。嘘は言っておりません。」


 そう断言するメイシャにジェルミは目をパチパチしていた。


 メイシャの姿は普通の10代の少女だった。


 魔族の特徴である角や尻尾はメイシャにはついていない。


 赤く短い髪、年相応のちょっと幼い感じの表情、どこから見ても普通の少女であった。


「正確に言いますと、私は人間と魔族のハーフで人間の特徴の方が強く出ているのです。」


「は、ハーフ……。」


 これはたまに聞く話でエルフと結婚した人間もいる。


 しかし、人間の敵である魔族と人間が結婚し子供も出来た、と言う話はジェルミは聞いた事が無い。


 いや、もしこれが国にばれたら差別や苛めの対象になるだろうから、公には出来ないのだろう。


「す、すまない……、色々情報がこんがらがって整理が出来ていないんだが。」


 明らかに憔悴しているジェルミにメイシャは苦笑していた。


「そうですよね、いきなりこんな小娘が魔王だ、て言われても信じられませんよね? ちょっと落ち着いた所でお話ししましょう。」


 そう言ってメイシャは瓦礫の山となっている魔王城の一部の床にある蓋を開けた。


「勇者パーティーも地下室がある事には気づいていなかったみたいです。」


「地下室があったのか……。」


「まぁ、牢屋ですよ。私がずっといた場所です。」


「え?」


 ジェルミはまたメイシャの言葉に引っ掛かりを受けた。


 魔王なのに何故牢屋にずっといたのか?


 メイシャの案内で地下に続く階段を段々と降りていく。


 所々、松明の炎が辺りを照らしている。


 らせん状の階段を下りて行き鉄のドアを開け入ったのは確かに牢屋だった。


「ここは元々捕虜を収容する施設なんです。」


「君は此処にいた、というのか?」


「はい、この身なりですからお父様、先代の魔王が私を匿ってくれていたのです。」


「先代の魔王?」


「えぇ、貴方方と敵対していたのは私の父です。私はこの城に連れられてきた奴隷の母に父が手を出して生まれた子供なのです。」


「なんと……。その先代の魔王はどうなったんだ。」


「食事の時にのどを詰まらせて死にました。」


「……え?」


「情けない話ですよ。会議中に急いで食べていた時にあっけなく死んだそうです。」


「えぇ~……。」


 まさか、魔王がそんな事で死ぬとは、確かに敵にも味方にも隠しておきたい話だ。


「それで、父の娘である私が急きょ魔王を継ぐ事になったんですが……、この見た目ですからね。それでそれなりに父に似ている者を『影武者』として立てていたのです。まぁ、流石に父の実力の足元にも及びませんでしたけどね。」


「そうだったのか……。じゃあ君は此処で勇者との対決を見ていたのか?」


「そうです。この『水晶』を使って勇者たちの行動は魔族領に入ってから監視していました。」


「じゃあ、勇者たちがなにをしていたのか全て記録に残っている、という事だな?」


「えぇ、勿論です。しかし……、勇者というのはもっと正々堂々と真正面からぶつかってくる物だと思っていましたが、全く違っていましたね。最初に普通の兵士を向かわせるんですから……、そんなの殺されるに決まってるじゃないですか。それを繰り返して影武者の体力が無くなった時に止めの一撃を入れただけで何か歓喜の雄たけびをあげてるんですよ? 私達よりも相当悪いですよ、あの勇者と仲間は。唯一まともだったのは魔法使いだけでしたね、勇者に怒鳴ってましたからね、『早く戦え!!』とか『これ以上無駄な血を流して良いのか』とか。」


「いや、なんかすまない……。」


 メイシャの証言にジェルミはすまなそうに頭を下げた。

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