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町に行きます

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 次の日、僕は週に1回の町の『自由市場』(フリーマーケット)へ向かう準備をしていた。


「この農作物、売れるの?」


「結構、評判が良いんだよ。この辺は土地が豊かで美味しい野菜が採れるんだ。」


 ミサさんは野菜を手に取りながら眺めている。


「おはよう、て何処か出掛けるのか?」


 クルズさんが声をかけてきた。


「町に野菜を売りに行くんです。」


「もしかして、本を買った古本屋もあるのか?」


「はい、野菜を売ってから本を買いに行きますから。」


「丁度良かった。本の出所を調べないと行けないんだ。一緒に行って良いか?」


「良いですよ、もうすぐ乗り合い馬車が出ますから。」


 町に行くには定期的に出ている馬車に乗らないといけない。


「あら、馬車に乗らなくても移動は出来るわよ。」


 そう言うとミサさんは呪文を詠唱した。


「『大地の精霊、天空の精霊、我が身を目的地へと誘いたまえ。』スケイプ」


 魔方陣が地面に浮かぶと同時に一瞬にして風景が変わった。


 自由市場が行われる町の広場だ。


「はやっ!? もう移動出来たのっ!?」


「流石は転移魔法だな。早すぎてちょっと酔いそうだ。」


「脳が整理出来なくて慣れないと酔いやすいから。」


 『転移酔い』なんてあるんだね。


 とりあえず、籠に背負った野菜をいつもの場所に並べていく。


「おぅ、エド坊っ!! 今日は早いな。」


 声をかけてきたのはこの自由市場を取り仕切っているこの町で大きな店を経営している『ハグルド』さん。


 ハグルドさんにミサさんとクルズさんを紹介しておく。


 身分は一応伏せておくけど、ハグルドさんは勘が良いから何となくわかっているかもしれない。


「そういえば聞いたぞ。火事にあったらしいな。」


「そうなんですよ、てもう広まっているんですか?」


「あぁ、領主様の名前で直接御触書が掲示板に貼ってあったからな。村の野菜は評判が良いから火事で影響がないか心配していたんだ。」


「ありがとうございます。村人全員、無事なんで安心してください。」


「そうか、そりゃ良かった!」


 ハグルドさんとはその後も話をして別れた。


「王都から離れているせいか、結構性格が良さそうな人達が多いな。」


「王都は違うんですか?」


「ぶっちゃけ都会となると人間関係が薄くなってくるんだよ。」


「足の引っ張りあいとかもあるわ。」


 ・・・・・・王都で暮らすのも大変なんだな。   

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