尋問官の本音
現在、日間ジャンル別ランキングハイファンタジー部門12位、総合39位、週間ジャンル別ランキングハイファンタジー部門15位、総合44位です。感想&評価ありがとうございます。
その日の夜、僕は目が覚めて外へと出た。
「夜の風が涼しいなぁ。」
風がひんやりとして気持ち良い。
何せこの数週間で色々ありすぎて正直頭の整理が追い付いていない。
「ひょっとしてえらい事に巻き込まれてるかも……?」
魔王が退治されれば世界に平和が訪れるって思っていたけどどうも世の中そんなに上手くはいかないみたいだ。
これが現実なんだろうね。
そんな事を考えていると集会所にポツンと明かりが見えた。
どの家も既に明かりは消えているので、その一か所だけついていて目立っていたので行ってみる事にした。
「おじゃまします……。」
明かりがついていた部屋を覗いてみるといたのはライズさんだった。
「……何かご用でしょうか?」
「いや、明かりがついてたので夜遅くまで仕事してるのかなぁ、と気になった物で。」
「そうですか、そう言えばもうそんな時間でしたね。」
もしかして気が付かなかったの?
「他にも抱えている案件がありますから、そちらの報告書を作成していたんです。」
「この事件、専属じゃないんですか?」
「単なる雑用ですから。他の尋問官の尻拭いをさせられているんです。」
「尻拭い?」
「裁判の時に、証言を翻される可能性があるんです。そうなると、一から調査のやり直しが行われるんです。私はその再調査をやらされる事があるので……。」
「え? 尋問官の前では嘘はつけないはずじゃ?」
「えぇ、そのはずなんです。しかし、実際は賄賂を贈られて都合よく改ざんしたりするのもいますので……。」
そういえば、そういう話を聞いたなぁ。
「大変ですよね……。」
「えぇ、全くです。」
そう言って、はぁとため息を吐くライズさん。
「ただ、今回の件はかなり大きな案件になると思います。ひょっとしたら国を揺るがす事になるかもしれません。」
「僕もなんとなくですけど、そんな気がしてきました。」
「でも、その方が良いかもしれませんね……。」
「はい?」
「無能な上司や同僚を排除できるチャンスかもしれません……。元々叩けば埃が出てくる人達です……。」
「ちょ、ちょっと?」
「人の事を感情の無い様に扱って……、私は表情に出ないだけで感情だってあるんです……。余計な仕事ばかり増やして……、あんな奴らはいなくなればいい……、いっその事実力行使に出てやろうかしら……。」
「ストップストップ!! 何か物騒な事呟いてますよっ!?」
「はっ!? ……すいません、どうも心の声が出ていたみたいで……、小さい頃からコントロール出来る様に訓練をしているんですかなかなかうまく行きません。」
ちょっと意外な姿に見えたけど安心した。




