取り調べの様子
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僕達が集会所を出て行ったあと、すぐに放火犯は連れてこられたらしい。
放火犯達の様子と言えば、この数日間の豚小屋生活で泥まみれの糞まみれ、精神的に参っていたらしい。
漸く解放されると思ったら次は尋問官による取り調べが待っていた。
相手は『鉄の尋問官』と呼ばれる人物、放火犯達は取り調べ中はあまり落ち着きが無かったみたいだ。
しかも国王様もいるのだから、彼らにとっては針のむしろになっていたかもしれない。
取り調べの方は淡々と進められた。
放火犯達は素直に自分達が火をつけた事を認めた。
ただ、誰に指示をされたか、と言う所で曖昧にしてしまう。
やはり、そこは義理堅いみたいだ。
ここからが、ライズさんの腕の見せ所となる……。
「……貴方達は誰をかばっているかは知りませんが、このままだと貴方達だけ馬鹿を見る事になりますよ?」
「……。」
「犯罪者を出したとなると、家族にも影響が出ます。知らなかったとはいえ、国の重要機密の本を一冊ダメにしてしまったんですからね、国から多額の賠償金を請求する事になりますよ。一生、貴方方が一生かけても返せないぐらいの。」
「……。」
「そうなると、その後の人生は想像つくでしょう? それに後ろ盾になってる方々だって、本当に貴方達を守ってくれるかどうかわかりませんよ? その人達にしてみたら貴方達は『使い捨て』ですから。」
「……そ、その本当の事を言ったら俺達の罪は軽くなるのか?」
「おいっ!!」
「しょうがないだろっ!! このまま黙っていてもいずれはばれるんだっ!! 尋問官様、そして国王様、俺達は勇者エリックの命令でこの村に火をつけました!!」
「具体的にどういう命令をされましたか?」
「『聖女の実家、及び幼馴染の家に火をつけろ。ついでに村にも火をつけて跡形も無い様にしろ。これは聖女の意志でもある。彼女のこれからの人生に不要だ。』と言われました。」
「他には何か言われましたか?」
「『どうせ、小さな村だ。被害が出ても聞く耳を持つ者はいないだろうし、父上が握りつぶしてくれる。お前達の身の安全は保障する。』と言われました。国王様! あの男は勇者に相応しくありません!! 俺は目の前で彼女を寝取られたんです!!」
「……大事な彼女を勇者に無理矢理盗られてそれでも好きだったから勇者の護衛兵としてついていったけど、彼女の夜な夜な喘ぎ声を聞いてかなり精神的にボロボロになってたらしい。おまけに魔王と対決した時も実際に戦ったのは護衛兵で最後の止めだけは勇者がしたらしい。」
取り調べの後、僕は村長から詳細な話を聞いたけど、実際に触れられている情報とはかなり違うみたいだ。
「魔王と対峙した時の話は本当よ。アイツ、『勇者を護るのがお前たちの仕事だ。』と言って最後の最後まで何もしなかったのよ。一応、私は援助したけど『別にしなくても構わない。どうせ、あいつらは名前も残らない。全ては俺の手柄になる。』って言ってたのよ。それで、私早くコイツと手を切りたいって思ったのよ。」
「……女神様もどうしてそんな奴を勇者に選んだんだろ?」
そんな放火犯達の話を聞いていてもライズさんは表情一つ変えずに淡々と書いていたらしい。
が、僕は意外な姿を目撃する事になる。




