国王様が来ました……、え?
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領主様経由で国に訴状を出してから一週間が経過した。
「そろそろ何か言ってくる頃なんだけどなぁ。」
「まさか、黙殺されたんじゃ……。」
「いや、あの国王なら心配はない。」
村長が自信を持って答える。
「村長、もしかして貴方……。」
ミサさんが何か言おうとした瞬間、入り口の扉が勢いよく開けられた。
振り向くと身なりの良い男性がはぁはぁと、息を荒くして立っていた。
その人物は僕にも見覚えがあった。
「えっ……、国王様?」
そう、その人物はこの村が属するメタリマンド王国の国王であるレバイアス王その人だったからだ。
「兄上っ!! お久しぶりです!!」
国王様はそのまま村長に近づき頭を下げた。
「おいおい、大国の王が小さな村の村長に頭を下げるんじゃないよ。」
「いえっ! 村長であろうが尊敬する兄上には変わりませんからっ!!」
……え、国王様が村長を兄上と呼んでいる?
これってつまり……。
「そ、村長ってもしかして王族なんですか?」
「元だよ、20年も前の話だ。」
あっさりと認めた村長の発言に僕は大絶叫を上げた。
それから数分後、集会場に村民達は集められた。
しかし、緊張した空気が漂っていた。
何故なら、この場に国王様がいるからだ。
僕の大絶叫は家の外まで響き、村人達が集まって来た。
国王様がいるのを見てビックリ。
そして、急きょ緊急集会が行われる事になった。
「今まで話す機会が無かったが、いい機会だから俺の事を話そうと思う。俺は元々、メタリマンド王族の長男として生まれた。現国王であるコイツは俺の弟だ。」
その発言にみんなザワザワしている。
「この事を知っているのは前村長だけだ。俺が村長を引き継ぐときに身元を明かした。」
「あの、長男でしたら本来は村長が国王になる予定だったんですよね? 何故ならなかったんですか?」
「確かに、本来なら俺が国王になるのが筋と言う物だ。だが、俺は王になる素質が無いのを自分で理解していたから父上に進言してレバイアスを王太子にしてもらった。その代り、俺は王都に入る事を禁じられた。」
「兄上、兄上は自己評価が低すぎるんです。本当は争いを嫌って自ら辞退したんでしょ?」
「ど、どういう事でしょうか?」
「当時、次期国王として兄上を推す一派と私を推す一派で密かに争いが行われていた。このままだと血が流れる可能性がある事を感じた兄上は、自ら引いてくれたのだ。兄上は民を重んじる立派な方なのだ。」
「止めろ、俺はそんな立派な人間じゃない。」
「いえ、王になって兄上の言葉が痛いほどわかります。兄上は昔から城を抜け出して自ら農家の手伝いや魔物の退治等をしていました。当時は理由がわかりませんでしたが今となっては理解しています。」
「ただ単に勉強が嫌で抜け出しただけだ。ただ、庶民の生活を経験して色々学ぶ事もあったのも確かだ。だから、親父に『旅に出て見聞を広めたい』て言って王都を飛び出したんだ。」
村長にそんな過去があったとは知らなかった。
「やっぱり……。」
「ミサさんはわかってたの?」
「なんとなく普通の人とは違う感じがしたのよ。」




