幕間1
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「しかし、面白い事になったな。ただの村人が勇者を訴えるなんて世間が知ったら驚くだろうなぁ。」
そう一人呟きニヤニヤしながら書類を書いているのはこの村の村長である『ミロウ』と言う男。
彼がこの村にやって来たのは20年前で、当時の彼はただの旅人だった。
最初は一泊するつもりだったが、当時のこの村は様々な問題を抱えていて、廃村寸前だった。
彼は、その問題を一つずつ解決に導き、当時の村長や村人達からも信頼を受け、いつのまにかこの村に無くてはならない存在となった。
そして、当時の村長や村人達の希望で彼が新しい村長となり現在に至る。
「まさか、このまま居つく事になるとは思わなかったけどなぁ。」
当時を思い出し懐かしく思う。
「国に提出する書類はこれでよし、と。それから、後一筆書いておくか。」
白紙の紙にサラサラと書いていく。
それを封筒に入れ書類と一緒に大きな封筒に入れた。
「念には念を入れないとな。」
その手紙の効力を知っている彼はまたニヤリと笑う。
はたして『アイツ』はどんな反応をするんだろうか、と思いニヤニヤが止まらない。
それは、悪戯を思いついた子供の様な表情だった。
それから3日後、『メタリマンド王国』の王都にあるメタリマント城。
その中の執務室でこの国の王である『レバイアス・メタリマント』に訴状が届いていた。
「勇者エリックが村に火をつけた、だと?」
「正確に言えば指示を出して実行した者が火をつけたそうです。こちらがその訴状です。」
秘書から訴状を渡され、レバイアスは訴状を読んだ。
「ふむ……。お前はどう思う?」
「その訴状に書いてある事を鵜呑みするなら大問題ではないか、と思います。勇者が起こした行動もそうですが、実行犯が我が国の兵士となると我が国の管理責任が問われます。」
「更に燃やされた物の中には王宮図書館に置いてあるはずの本も入っている。あそこに独立権を持たせたのが間違いだったな。独立権を持たせた方が良い、と言ったのは宰相だったな。」
「えぇ、勇者の父親と言う事もあり最近は発言力が増しています。」
「そうだな、一応釘は刺しておくべきだな。まず村に調査隊を送って詳細を調べるべきだな。」
「それと……、訴状と一緒にこんな手紙が届いております。」
「手紙?」
手紙を渡され読んだレバイアスは驚愕の表情を見せた。
「こ、これは……、そうか、やはり生きていたのか。」
「王様、どうされましたか?」
「村には俺が直接向かう! すぐに準備をしろっ!」
「えぇっ!? 自ら調査をするのですかっ!?」
「あぁ、これは俺が自ら出向かなければならない案件だ。」
「どういう意味ですか、手紙に何か書かれていたのですか?」
「この手紙の差出人は……、兄上だっ!!」
「えぇっ!? ミロウ様ですかっ!?」




