領主様が来ました
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ラジエーヌが来た翌日、今度は領主様自らがやって来た。
「村長、娘から話は聞いた。まさか勇者が一般人に手を出してくるとは・・・・・・。修繕の費用は全て私が出す。職人達を連れてきたので遠慮無く使ってくれ。」
「ありがとうございます。ドラグニエル伯爵。」
「領主として当然の事だ。」
村長と領主様の会話を聞いていたミサさんは不思議そうに呟いた。
「あのドラグニエルて言う伯爵は余り貴族っぽくは無いわね。」
「そうなの?」
「そうよ。私が旅で見てきた貴族は基本、領民と対等に会話なんて出来ないし、中には見下して奴隷のようにこき使っている輩もいるわよ。」
そういう貴族もいるのか・・・・・・。
ドラグニエル伯爵家は領民からの訴えは基本聞いてくれてこうして現地にも来てくれる。
伯爵家だからと言って偉そうにはせずに、領民の事を思い、領民と共に生きるのが信条だそうだ。
何故、そうなったかと言うと、現領主様の前、先代領主様の考えだそうで、『領地は領民が支えてくれるから繁栄する。決して驕る事無かれ。』という家訓があるらしい。
なので、贅沢しない、質素倹約を第一にしており屋敷もそんなに豪華ではない。
そんな訳で領民達の信頼は非常に厚い。
「エド、今回は災難だったな。ラジエーヌも心配してるぞ。」
「ご心配かけて申し訳ありません。ラジエーヌ、怒っていたでしょ?」
そう言うと領主様は苦笑いをした。
「ドアを蹴破って入ってきて私に喚き散らしていたよ・・・・・・。あの時、気づかなくて良かったよ。」
「領主様は気づいていたんですか?」
「あぁ、勇者はラジエーヌを見てちょっと冷めた視線をしていたからね、気づいていなかったのは本当に運が良かった。気づいていたら屋敷が血に染まっていた可能性があるからね。私は何処で娘の育て方を間違えたのか・・・・・・。」
そう言って溜め息をつく領主様。
確かにラジエーヌは剣術や武術の才能がある。
何故、勇者パーティーにスカウトされなかったのか不思議なくらいだ。
その後、領主様から手配された職人さん達が家の被害状況を確認、家自体が古くなっているのでコレを機に建て替えをしたらどうか、と言われた。
資金を心配していたけど、領主様が出してくれるという。
正確に言えば訴えが通って勇者の非が認められれば勇者に支払ってもらうつもりだ。
勇者エリックは王都でも有名な伯爵家の息子で跡取りらしいので支払い能力はあるらしい。
「どうせだったらおもいっきり搾り取って借金でも背負わせたら? アイツ、そうでもしないと反省しないわよ。」
ミサさん、手厳しい。




