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僕は本好きの普通の村人です

新作始めました。長くはしない予定です。暇潰しに読んで頂ければ幸いです。

 僕の名前は『エド』、とある王国にある何処にでもある小さな村に住む普通の村人だ。


 毎日畑を耕して、近くの街の市場で野菜や穀物を売って生活をしている。


 両親は5年前に亡くなった、因みに僕は15歳だ。


 天涯孤独という訳ではなく近所の人達や幼馴染み達と仲良く過ごしている。


 そんな僕の唯一の楽しみは街の古本屋で本を買って読む事だ。


「こんにちは~。」


「おぅ、エドか。今日はどんな本が欲しいんだ?」


「う~ん、今日は小説が欲しいんだけどオススメはありますか?」


 すっかり顔馴染みとなった古本屋の店長さんと他愛ない話をしながら棚から何冊か取っていく。


「今日のオススメはこの本だな。ライバルに彼女を取られた主人公が成り上がってライバルから彼女を奪い返す、て言う話だ。」


「へぇ~、面白そうですね、いくらですか?」


「鉄貨で10枚だな。」


 ポケットからお金を取り出した。


「はい、毎度あり。」


 そして古本屋を出て僕は村へと戻っていく。


「おかえり!エド!」


 山道を歩いて10分、村の入口に幼馴染みの『シンシア』が立って笑顔で出迎えてくれた。


「ただいま、シンシア。はい、好きそうな本、買ってきたよ。」


「ありがとう!」


 シンシアも本を読むのが好きで特に恋愛小説が好きだ。


「この身分の格差を乗り越えてハッピーエンドになるのが好きなんだ♪」


「シンシアも貴族とか王子様との恋愛に憧れてるんだ。」


「女の子だったら誰でも一度は夢見るわよ。でも私にとってはエドが王子様だから♪」


 ニッコリと笑いながら言うシンシアに僕は内心ドキッとする。


 僕とシンシアが付き合っているのは村の人達はみんな知っている。


 シンシアの両親も公認の仲だ。


 僕はシンシアと別れてから家に帰って早速買ってきた本を読み始めた。


 ベッドに寝転びながらゆっくり本を読む。


 この一時が僕にとっては幸せな瞬間だ。


 こんな日々がずっと続くと思っていた。


 あの日、シンシアが突然『聖女』認定されて村を出ていく日が来るまでは。

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