ハードカバー
ほんの少し
高級感が漂っている
そんな気がして
手に取れない
ハードカバーの本たちは
いつだって僕には
高嶺の花
手に取ったことはあるけれど
ずっしりとして
分厚くて
きっと
そのページには
僕を殴り倒して
打ちのめすくらい
凶暴な言葉が書いてあるんだ
そう考えてしまうだけで
身震いが止まらない
そっと
本棚にしまう
僕は一列先に並んでいる
ライトな文庫本をとる
カバンに収まりのいいサイズは
僕にとって
身近ではあるけれど
それ以上の刺激はない
きっと
僕を打ち壊すような
そんな破壊力は持っていない
厚顔無恥な佇まい
噛みつくような魔法の書物は
いつだって
ハードカバーでできている
ありがとうございました。