君に贈るラブソング
この作品は「秋冬温まる話企画」参加作品です。
「最近帰り急いでるじゃん、ユウヤ」
学校の下駄箱で靴に履き替えてるところへ、背後から聞き覚えのある声で話しかけられた。振り返るとそこにいたのは思った通りミワだった。片手でリュックの肩ひもを押さえ、空いた手でショートボブの髪を耳にかけながら、首を傾げこちらを見ている。
彼女のこの仕草はちょっと拗ねてるときの癖だということは、とっくに知ってる。だが知らない振りをして、上履きをしまいながら返事をした。
「おう、バイトだよ。バイト」
「嘘ばっかりー。いなかったじゃん、この間」
彼女と俺は小学校から高校まで同じところに通う、腐れ縁ってやつだ。最も腐れ縁だと思ってるのは彼女だけ。俺の努力を彼女は知らない……。
「そうか? ヒロキん家に行ってたときもあるからな。その日にコンビニ行ったんじゃね? ……ってか探したの? 俺のこと」
ミワは瞬時に顔を赤くして、俺をリュックでぶっ叩きながら叫ぶ様に言った。
「そんな訳ないじゃん!」
あー、そうですか。顔が赤くなるところを見ると脈アリかな? と思うのだが、リュックを振り抜く辺り……女心は分からん。
「ってーな。ま、良いけどよ。とにかく今日バイトなのは本当だから。んじゃな」
片手を上げてミワに背を向け歩き出す。
俺は歩きながらヒロキとの、四月の終わり頃の会話を思い出していた。
「あの話、考えてくれた?」
教室に入るなり、親友のヒロキに言われた。ヒロキは俺が通ってた中学の三年の始め頃に転校してきたヤツだ。中学の頃はそれ程仲良く無かったが、去年……高一のときに同じクラスになり、意気投合したのだ。今年も同じクラスになった。ちなみにミワは違うクラスだ。
「ああ? 文化祭でギター弾いて唄おうってやつか? 文化祭なんて半年も先じゃん」
俺が話しながら自分の席に行くのにあわせ、ヒロキがくっついて来る。
「だから今から練習する必要があるんじゃん。……ギター弾けたら、俺らぜってぇモテるって。やろうぜ!」
「そんなこと言ったって、楽器はどうするんだよ?」
「俺、兄貴の使ってたの借りる」
「何だよ、ソレ。俺どーすんの?」
大体、ギターは種類があるって知らないのか? コイツ。
「何の曲やるつもりなんだよ? それによってはお兄さんのギターじゃ駄目だろ?」
「……柚子、……か、ぐりーーーーん」
「……俺も詳しくないけど、以前兄貴のギターはエレキだって言ってなかったか? それは違うと思うぞ」
「とにかく! 俺がやるっつったらお前もやんの!!」
「アホか、ちゃんと計画立てんぞ!!」
うちの高校の文化祭は、……ってか大抵の学校はそうだと思うけど、クラスでの教室でやる物とは別に体育館での出し物がある。
それは演劇部の劇だったり、吹奏楽部の演奏だったり、ボランティア部の活動の発表だったりと諸々あるのだが、部と部の入れ替えの時間に個人的な出し物をする希望者を募るのだ。
その間は緞帳が下がっているので、当然大掛かりな事は出来ない。だがマジックを披露する者ありお笑いをする者ありと、中々に盛り上がる。先生方も生徒達の意外な一面が見られると、楽しんでいるという噂だ。
ここへ二人で出よう、とこういう訳である。
父と母はうちの学校の出身でギター演奏の話をしたところ、父に「俺のギター、使うか?」と言われた。「バンドでも組んでずっとギターをやるならともかく、文化祭だけならわざわざ買わなくていいんじゃないか」との事だった。それもそうか、とその週末に、祖母の家に置きっぱなしになっているというギターを見に行った。祖母の家の押し入れを漁るとフォークギターが二つあった。
「父さん、何でギター二つあんの?」
祖母とお茶してる父に話しかけると、一つは父の友人の物だと言う。父の若い頃はフォークソングの全盛期で、友人とユニットを組んでいたらしい。
友人はその後、親の転勤により遠方の社宅へ引っ越し、ギターを続けることが難しくなった為に預けられたままになっている、ということだった。「長年音信不通だったのだが、文明の力のお陰で最近LINEで会話する様になった」と嬉しそうに父は笑った。
「……父さん、その友達のギターを借りても良いか、聞いて貰えないかな?」
俺は即効頼み込んだ。まだヒロキのギターの話をして無かったのだ。エレキの話をすると笑いながら連絡してくれた。
このときの父は子供の様な顔だった。俺は父の顔を見ながら『友達と話すときって、幾つになってもあんな表情になるものなのか?』なんて、ぼうっと考えていた。
そんなこんなでギターの練習を始めた。
ミワはああ言ったけど、結局バイト中に店には来なかった。来るのか来るのかと期待した俺、バカみたいだな。
バイト上がりにスマホを確認すると、ヒロキからの着信が入っていた。位置関係としては、バイト先のコンビニ➡ヒロキの家➡俺の家なので帰りに寄ることにした。
「お先に失礼します」
俺より後の時間帯の大学生に声をかけて店を出た。すると、物陰から声をかけられた。
「本当にバイトだったんだね?」
ミワだ。
「お前、不意打ち好きなの? ビビるじゃん」
「えっ、そう? ごめん」
まあ、そうやってもじもじしてると可愛いから許すけど、……これは教えてやんない。
「つっても、ヒロキん家に寄ってから帰るんだけどな」
「また? 最近ずいぶん仲が良いのね?」
ミワが口を尖らせる。……リップでも塗っているのか、通りすがりの車のヘッドライトが当たって唇が艶やかに光った。瞬間的に目を奪われ、バレない様に慌てて目線を外す。
「まあ、……ちょっとな」
「なあに、それ?」
「何でも良いだろ。じゃな、気をつけて帰れよ」
「送ってくれないの!?」
「……お前んち、コンビニの直ぐ裏じゃん。それに何か買い物するんだろ?」
「……」
「じゃ!」
俺は気恥ずかしさを誤魔化す為に、素っ気なく自転車に跨がった。ミワはまだ何か言いたそうな顔をしていたが、諦めた様にため息をし、アカンベエをして見せた。
面倒臭い女だ。……だが、今どきアカンベエをするところも可愛い、と思ってしまう自分もいるのだ。
翌日教室に行くと、クラスの皆が俺を遠巻きに見ている気がした。
「おーっす、ユウヤ!」
こいつだけはいつも通り。俺の前の席にやって来て、椅子を跨いでコチラ向きに座る。
「何か今日の教室の空気、おかしく無いか?」
「そうかぁ? いつもと一緒だろ?」
ヒロキに聞いたのが間違いだったようだ。
「そんなことより聞けよっ、昨日ユウヤが帰った後、ついに出来る様になったんだよーっ。最初思うようにいかなかったんだけど、お前が教えてくれた通りに手を動かしたらイケたんだっ! サンキューな、アドバイス。もう、カイカーーン!! って感じだぜ!」
その瞬間、クラス中の視線が集まった気がした。
「お前、声デカイって。皆見てんじゃん!! 手をワキワキすんのも止めろ」
まあ出来なかったコードが、出来る様になったのが嬉しい気持ちは分かるのだが。
「おう! そうか? 悪い、悪い」
何となく皆の視線が痛い気がした。こっちを遠巻きに眺め、ヒソヒソ話している女子もいるが気のせいだろう。大体ヒロキはいつだって、お騒がせポジションなのだから。
チャイムが鳴り担任が入って来たので、ヒロキは片手をひらひらさせながら自分の席に戻って行った。
出席をとった後に連絡事項が伝えられた。一時間目は文化祭についての話し合いの二回目だったので、担任は後を委員長と副委員長に任せ、他のクラスの授業の為に教室を出ていった。
ウチのクラスはゲームをやることが決まっている。今日はそれぞれが店番をする時間を話し合うのだ。
ヒロキと俺は部には所属して無いが、既に体育館での出し物にエントリーしてある。皆も、それぞれ部活での出し物もあるからな、時間を確保しなくては。
委員長が議長を務め、話し合いが始まった。
「えーっと、ここに当日二日間の日程表があります。都合の悪い時間がある人は記入しに来て下さい」
皆、ぞろぞろと議長のいる教卓へ集まる。エントリー表はヒロキが持ってるから振り返ったヒロキに『行け』、と手で合図を送ったのだが、照れ笑いをしながら『来いよ』と合図を送り返して来た。
ったく、うるさ型の癖にこういうときだけ怖じけ付くんだな。しょうがねえなと立ち上がると、又も周りの視線が痛く感じた。
「よぉ、やっぱ皆、変じゃね?」
「あ? 俺らが帰宅部なのに時間を書きに来たからじゃねぇの?」
成る程、そうかもしれないな。
しかし、皆の視線がおかしい理由がここで判明した。俺らの前に並んだ運動部の気の荒いヤツが、振り返ってこう言ったのだ。
「近寄るんじゃねぇっ! ホモ!!」
「カイト君、駄目じゃん。本人に言っちゃあ」
周りのヤツらがからかい口調で言う。俺とヒロキは顔を見合わせ、呆気にとられる。今朝からの皆の視線や、このところのミワの態度はこういうことか。
「っざけんなよ! んな訳あるかーーっ!!」
「そーだよ! 俺らだって好きな女くらいいるっつーの!!」
「へっ、どーだか。お前ら二人で何をやろうとしてんだよ!? コソコソとよぉ」
「だから、その為にこうしてここに並んでるんじゃないか!」
「ギターだよ! 俺とユウヤで唄うんだっ!!」
や、そこまで正直に教えてやる必要も無くね? つってもバレんのは時間の問題か。心なしかカイトの顔が悔しそうに翳る。まあ、運動部も運動場でデモンストレーションがあるみたいだしな。先輩への手前、目立つ行動もしづらいのだろう。
「……好きな女がいるっつったな?」
「「おうっ!!」」
「じゃあお前ら、その舞台の上から見に来たお客さんの前で告れ」
「はあ? 何でそんな……」
「分かった!! ユウヤも俺も告る!!!!」
「ちょっ、おまっ、何言ってんだよ!!」
「どうせいつかは告白しようと思ってたんだ! 最高の舞台じゃないか!! 俺はやる! やってやる!!!!」
ヒロキィ、……気持ちは分かるが、一々俺を巻き込むんじゃねぇっ!!
俺は心の叫びを飲み込みつつ言った。
「分かった。……ヒロキがやるなら俺もやる。ただし、条件がある。この話は他のクラスの奴らには当日まで内緒だ。それが守れないなら、やらん」
「おう! 皆も聞いたなっ、当日まで洩らすなよ!! パフォーマンスが見られなくなるからな!!」
それから何週間か経ち11月になり、遂に文化祭の日がやって来た。四月にはぷにぷにだった指先は、しっかりと硬くなっている。部活の発表は二日間ともあるのだが、俺達の出番は一日めの校内発表の日だ。二日めの祭日の日じゃなくて良かった。父と母が「久し振りに学校へ行こうかな?」なんて言い出したから。
昨夜は告白の台詞をウダウダ考え込んでいて、あまり良く眠れなかった。なんとか頭の中から言葉を弾き出した。
……ヒロキのお陰でとんでもないことになったもんだ。別にギターは良い、ギターを手にしたときからそのつもりで、ずっと練習して来たのだから。何なんだ皆の前で告白って。相手だって店番の時間かもしれないんだし、本人に言わずに、先生方や先輩後輩同級生の前で気持ちをぶちまけるんだぞ?
でも、むしろ好都合か。冷静に考えたらミワが男とイチャイチャしてるところなんか想像したく無い。だったら先に、俺が大勢の人の前で愛の言葉をアピールしてやる。皆の前で叫んだって恥ずかしく無いくらい、彼女を好きだと見せつけてやるのだ。そう思ったら肝が座り、やっと眠れたのだった。
演劇部の発表が終わり、遂に俺達の出番になった。俺達が舞台の袖から緞帳の前の中央へ出ていくと、コソコソと話す声やクスクス笑いが聞こえてきた。……ったく、釘を刺したってのに、やっぱりバレてる。最も逆の立場だったら、俺も場繋ぎの会話のネタにしてたかもしれないが。
放送部員が俺とヒロキ、それから曲目を紹介する。
今日やるのは二曲だ。最初の曲は皆も良く知ってるノリの良いラブソングを選んだ。……といっても、わざとスローテンポで始め、徐々に速度を上げた。曲の一番盛り上がるところにインパクトを持たせるためだ。歌もギターも練習の成果の見せどころ。
見てるか! カイト!! 見てるか! ミワ!!
最初はパラパラと聞こえていた手拍子がだんだんと揃い、大きくなってくる。心の中に何かアツいものがたぎって来る。もっと強い音を! もっと早い音を! もっと高い音を!! オレの中から生まれた物が見えない光になって、会場中を駆け抜けて行く様な気がした……。
ジャランという音と共に一曲めの演奏が終わった。すると歓声と拍手が起こった。
静まるのを待ってからマイクに向かってを挨拶した。歌ってる間は平気だったのに、これからすることが頭の中に浮かんで、……とても会場を見て話せそうに無かったのだ。
「コンチワッ、2ーBの倉橋ユウヤです!」
「沢本ヒロキです!!」
「えーっと、僕達の演奏を聴いてくれてありがとうございました」
ノリの良くなった場内から又も拍手を頂く。が、会場の皆の気持ちがこちらに集中してると思うと、先程の拍手とは違って緊張が高まってしまう。
「ちょっと時間を貰います、話をさせて下さい」
俺はヒロキの顔を見た。ヒロキは目を見開き、頬を赤く染め、唇が青くなっている。ヒロキが深く息を吸い込む。
「2ーB……同じクラスの藤崎アリサさん! 俺は君のことが好きです! 俺と、付き合ってくれとまでは言いませんっ、これからも君の笑顔を見守っていても良いですかっ!!」
ヒロキが叫ぶと体育館中に歓声が響き渡った。さっきの歓声なんてまるで比じゃない。女子のきゃあきゃあ言う声や、男子の「いいぞーーっ」なんて声援も聞こえる。
まさかヒロキの好きな子が藤崎さんだとは思わなかった。彼女は病気療養により一年間休学していた。なのでクラスメイトとはいえ、一つ歳上なのだ。大人しくて優しくて儚げに笑う癒し系美人だが、ヒロキとの接点は見たことが無かった。
そして、その彼女が観客席の中央やや左寄りから、大声で叫んだ。
「ありがとうっ、見守るんじゃなくて、一緒に笑っていて下さいっ!!」
一瞬の沈黙の後、体育館が爆破でもしたかの様な、それまで以上の歓声と拍手が沸き上がった。藤崎さんは顔を赤くし、泣き笑いの様な顔をしている。
そうか、彼女はこんな表情で笑うことが出来る子だったんだな。いつも周りに気を遣っている様な、ちょっと諦めた様な顔をしていたのに。彼女に今、こんな顔をさせているのは間違いなくヒロキだ。そのことに俺は少し感動をしていた。
ふと会場を見回す。……やはり思った通りミワはいないようだった。でも、ミワと同じクラスの女子を見つけた。
ヒロキが『お前の番だぞ』とでも言うかの様にこちらを見て顎をしゃくる。その途端忘れていた緊張感が甦り、何を話すのか頭から飛んでしまった。
「……えっと、2ーAの嶋田ミワッ!」
俺が叫ぶと観客席から又も歓声が上がる。こちらを期待の目で見る、顔、顔、顔……。
堪らず緊張感を振り切る様に叫んだ。
「以下同文っ!!!!」
「ちょっ、ユウヤァッ!!」
「頭から台詞飛んだんだよっ!」
「でも流石に、他に言いようがあるだろっ!?」
騒がしかった会場内が、何故か水を打った様に静まりかえってゆく。
「…………分かった、もう一回行く。」
俺は深呼吸をして目を閉じた。瞼の裏に浮かぶミワの笑顔。……よし、今の気持ちに素直になろう。ずっと言いたかったことを言おう。本人がこの場にいても、いなくても。
「嶋田ミワ! 俺はお前が好きだ!! ずっと好きだった! お前は俺がこの高校にいるのは偶然だと思っているのかも知れないが、俺とお前が同じ高校に通ってるのは必然だ。これからの人生も、オレがお前の直ぐ側にいるのは偶然じゃなくて、必然にしてみせる。それをこの場に誓う。……それから、カイト! お前のお陰でこの告白のチャンスが生まれた!! ありがとなっ!!」
カイトは舞台の真ん前に座っていたのだ。鳩が豆鉄砲を食らった顔と表現される表情を初めて見た。
ヒロキがホッとした様な声で言った。
「それでは二曲めにして、最後の曲です。聞いて下さい……」
ギターを掻き鳴らすと場内が笑いに包まれた。何故なら、二曲めに選んだのは昔話のアニメの主題歌なのだ。ただし替え歌にしてある。人間という言葉を友達に変えたのだ。それに合うように、全体的に友情の大切さ(父と父の友人との出来事も考え)を伝える様な歌詞にした。
俺たちの演奏は大盛況で終わった。
その日の帰り、どこかにミワがいるかもと思うと何だか落ち着かなかった。……期待半分、恐れ半分だ。だが廊下でも下駄箱でも会わなかった。
ついに校門を通り抜け、ひょっとしたらミワが何処かで俺を待っててくれているかもしれない、と思った気持ちが杞憂だったと思い知らされた。
やっぱ脈、無かったのかなあ。
……失恋、か。
あんな風に皆の前で叫んじまって、俺はすっきりしたけど、アイツにとっては迷惑だったかもしれないな。
そう思って歩いていたら、目の前を歩いている女生徒がくるっと体ごとこちらを振り向いた。
「ミ……ワ……」
今日の彼女はいつものリュックを持ってなかった……。それに俺の精神状態もいつもと違うからか、見慣れたはずの後ろ姿に気付かなかった様だ。
「ねぇ! うちのクラスの出し物のね、景品のお菓子が残って貰って来たんだけど、甘いものを食べた後にしょっぱいものを食べると、余計しょっぱく感じるじゃん?」
突然何を言ってるのだろう、彼女は。
「……お、おう」
「しょっぱいものを食べた後に甘いものを食べると、余計甘く感じるよね?」
「おう」
「どっちを先に食べたい?」
……くれるのか。
「結構汗かいたからな、塩分補給かな……」
「はい!」
差し出されたサラダ煎餅を受けとると、行儀は悪いが歩きながらかじることにした。
「美味しい?」
「おう」
柔らかい塩気が口の中に溶けていく。
俺の様子を見届けたミワは、俺に見える様にチョコ菓子を頬ばった。
「ちょっ、くれるんじゃないのかよ」
「ん? あげるよ。まだ沢山あるし」
そう言って、鞄を広げて中を見せてきたので、覗きこもうと俺は前屈みになった。
その瞬間、彼女が顔を上げ……。
「ねっ? 甘い?」
彼女が頬を赤らめ照れくさそうに笑った。俺は唇に残った柔らかな感触に、黙って頷いたのだった……。
おしまい♪
秋冬温まる企画ということで、文化祭をテーマにしてみました。……でも帰宅部という。
文化祭、最近は一学期に行われる学校もある様ですけど、私が学生の頃は大抵の学校は秋に実施されていたのです。
「秋冬温まる話企画」は10/15~11/15に投稿されます。「秋冬温まる話企画」とキーワード検索して頂きますと、私と交流して下さっているユーザー様の作品が読めます~。
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