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日常の天才  作者: 九条歩
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3人目~天才たる由縁~

ケイミーに日本語を教えはじめてはや数日、この新しい日常にもだいぶ慣れてきた。

ある日、朝起きると、目の前にケイミーの顔があった。だいぶ焦ったが、冷静に状況を整理することができた。俺が寝る前、ケイミーは、ベッドに寝ていたはずだ。その下の布団に寝た訳だがどうやら寝ている間にケイミーが落ちてきたようだ。音がしなかったから気付かなかったぞ。多少期待してはいたのだがまさか本当に落ちてくるとは。とりあえず、恥ずかしさを紛らわすためにケイミーを起こして叱ろう。

  「おい、ケイミー、起きろ!」

ケイミーははっと起きて当たりを見回すと、「ごめん、起こした?」と申し訳なさそうな声で謝った。俺は可愛い過ぎて怒る気をなくしてしまった。そのときは気付かなかったのだが、ケイミーの発音がとても流暢だったのだ。だがそんなことはどうでもよかった。今は、このラのべ主人公的な状況を打破することが最優先だ。 「おはようケイミー、とりあえず俺の上から降りてくれないか?」真上に乗っていたのに気付かなかった俺が恥ずかしい。

 そんなTOラブルナ朝を迎えつつ、俺は部屋の外に追い出されていた。生活には慣れてきたがまだこれだけは慣れない。

 行きのバスの中、ふと会話のキャチボールがきちんとできていることに気がついた。

 「おいケイミー、どこでそんな流暢な日本語勉強したんだ?」

 「昨日の映画見たときに覚えたよ。」

と、すらっと答えた。日本語はそんなに簡単な言語だっただろうか。たった数日で言語を覚えてしまうなんて何という潜在能力いい、ポテンシャルだろうか。よく考えてみれば、特例入学だと言っていたな。特例で、それも女子が男子校に入学しているのだから、そうとうなビッチか天才であることは明白だ。こんな誰でも分かることに何故気がつかなかったのだろう。

 学校に着くと、俺はすぐに美濃宇先生のところに走って行き、

  「ケイミーは、俺なんかのところにいるべきではない!」

と訴えた。先生は何でだ?と今にの言いそうな顔をしていたが、そのまま

  「天才は凡人のところにいるべきではない。」

と言うと、「なんだそんなことだ。」と前置き、キッパリと「生活のお手本は凡人がいちばんだろ。」

 変な信頼をされていることがあらためて確認できた。絶対に手を出さないと思われているらしい。確かに手を出しはしないが・・・。信用されすぎじゃないか?

 よくよく振り返ってみれば、ケイミーの突然の転校、ふたり暮らしはラブコメの王道中の王道とかぶるところがあるのではないか?

 崩れ落ちてしまったと思っていた、平凡な日常はレベルアップして平凡で王道な日常になっただけであり、天才に翻弄される毎日はこれからも続くのだろうか。

  「王道と言うことはほかにも転校生が?」と考えつつ、日常へと戻ることにした。

ネタ切れです


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