2/6
調子者の悲哀
何が本当で、何が嘘かなんてものは相対的なんですよ。
彼はまた調子に乗っていた。
何度目かな、この感覚は。確か半年ぶりぐらいかな。
そしてどん底に突き落とされた。
なぜだろう、いつもの流れなのに慣れない。弱いものはすぐに調子に乗ってしまう、そして叩かれる。有史以来の常識。普遍のものなのに、何を変えようとしているのだろうか。「常識」か?いや、違う。ならば「自分」か?いや、これもまた違う。彼が変えようと思ったもの。それは「周囲」だ。
自分が調子に乗れて、他人が自分のために動く。こんな社会を彼は作りたがった。しかしそのような社会を作れるわけもなく、彼はただ一人寂しく座っていた。
結局のところ、人間はエゴの塊なんですよ。