94話
「落ち着いたか?」
俺はいれたばかりの暖かいココアを陽菜に渡す。
陽菜をアヘらせる試合は俺の乱入により精鋭スライムの戦闘不能により終了し少し時間が経った所だ。
「あっ……ありがと。いただきます……ずずっー」
「……」
まずい、なんて声を掛けたら良いか分からない!こんな空気をぶち壊す役割を担っているスラは風呂場で精鋭スライムたちと反省会をしているらしく陽菜とラブホの部屋で二人っきりなのだ!
「まさかナオが助けてくれるとは思わなかった。ありがと」
「かっ、勘違いするなよ!?俺は別に陽菜を助けたわけではない!陽菜をアヘらせるのは俺が最初なのだ!」
「何故にツンデレ風……?」
おおお落ち着けよ俺!何テンパってるんだよ!?陽菜のエッチなボイスを聞いたくらいでキャラぶれるなよ!
だから頼むよ俺の股間のカカロット。さっきから変身しているスーパー状態は解除してくれ。陽菜に俺の戦闘力がバレてしまう!
「うわー……」
「ん?」
気を静めようとがんばってコントロールしていたが時すでに遅し。陽菜は俺のカカロットをまじまじと凝視しながら顔を赤くしていた。
「……」
「……」
気まずい、ひじょーに気まずい。だが、このまま見られていたら変な性癖に目覚めてしまいそうになる。
もしこんなのに目覚めてしまったら日常的にスラに俺のスーパー状態を見せて快楽を得る変態になってしまう。
そういや、スラがスライムの時はスライムに見られた所で恥ずかしくもないっと割り切って一緒に部屋にいるのにも関わらずネットでおかずを探して自家発電していた。
……ってことは、つまり俺は日常的に自家発電を見せつける変態プレイをしていたことに――
そ……そう!あれは仕方がない事だ!だって自家発電をする為にスラを部屋から追い出しても気が付いたら勝手に部屋に入ってくるんだもん!不可抗力!あれはノーカン!ノーカン!
とりあえずこのままじっとしていても埒が明かない。もうスーパー状態がバレてしまっている以上、ここは割り切って行動しないといけない。
「……ちょっとトイレに行ってきます」
「……ね、ねぇ……ナオ」
「……ん?」
「その……さ。もし、く……苦しいんだったら、わ……私が楽にしてあげようか?」
「!?」
WTF!?こ、これはもしかすると、もしかするとあれな展開か!?
顔をとっても真っ赤にさせながら足をもじもじさせている陽菜が楽にしてあげようか?って言ってくるのって完全にあれだよね!?
誘われてるよね!?トエエエエエイ!!
「……あうっ……その、ナオがそうなった理由は私のせいなんだから私が何とかしないといけないでしょ……?」
「えっ、いやっ…………そのー」
「……私だってこういう事はエロゲーしか知らないから上手くできるか分からないけど……ま……まぁ、がんばる……」
「……ごくりっ」
理 性 を 保 て な い !
こんな美少女にこんな誘われ方をしてしまったらもう無理だろ!?絶対無理だろ!?
だが、こんななし崩しで大人の階段を昇ってしまってもいいのだろうか!?
それにさっき俺自身に約束しただろう!大人の階段は昇らない約束だって!
昇ります!
「本当に、陽菜はそれでいいんだな……?」
「……こくっ」
陽菜は目を背けながら小さく頷いてOK合図を出す!
そのOK合図を確認し、俺はさっき着たばっかの服を再度脱ごうと――
ばたん!
「なお君!反省会が終わったので一緒に寝ましょう!」
「……えっ?」
「……うにゅ?」
「……」
……おっと、BADタイミング。てか、そういや風呂場で反省会してるんだったな。
「そ、そうか……今日は色々あって疲れたから寝るかー(棒)」
「そ……そうね」
スラ様ファインプレイ!!危うくなし崩しで大人の階段昇るDQNルート回避いいいいいい!!
ああああ危なかった!!もう少しで俺は道を踏み外してしまうところだった!!後でちゃんとご褒美にお菓子をスラの口に入れて頭なでなでしてあげよう。
ぐりぐり
「陽菜ひゃん、なっ……なにふるでひゅか~!?」
ふと見ると、陽菜はスラのほっぺを恨めしそうにぐりぐりしていた。
「……わざと邪魔した?」
「な、なんのことでふか~!スラひゃんいじめよくない!」
俺はそっと部屋を出てフロントに行って新しい部屋の鍵をもらってそこで就寝した。