89話
「紹介しましょう!「陽菜ちゃんを絶対にアヘらせてみせるメンバー選抜大会!」で勝ち抜いた精鋭スライム達です!」
ぴょん、ぴょん、ぴょん
オレンジ、緑、黄、ピンクの4匹のスライム達が跳ねてアピールする。
「ボク達が来る前に行われた選抜大会は故郷にいるほぼ全員のスライムが参加しました。そして陽菜ちゃんをアヘらせてみせると強い意志を持って始まった選抜大会では熾烈な戦いが繰り広げられたと聞いてます……。その熾烈な戦いの中で死んでしまうスライムもいたとか……」
「……死ぬと言うのは、潰されてトマトペーストになる状態の事か?」
まぁ、あの潰された状態を死ぬと表現するんだったら俺の家に数千個のスラの墓を立てないといけないな。
「んーもっとひどいですね。ボクたちの基準では、自力で回復できずに蘇生装置を使って生き返らないといけない状態が死となります」
「はっはっはっ!それじゃあ人間の死と同じじゃないか。陽菜をアヘらせる選抜メンバーに選ばれる為だけにマジで命がけの死闘をしたって事か?全く、大げさだな~」
「機械女神と言えどちゃんと装備を整えなかったら星の爆発に巻き込まれたり無に返されたりすると死んでしまうのです」
「……こんなふざけた奴らを管理する黒も大変だなぁ、おい」
「そうですね!今回の選抜大会の主催者は黒様なので大変だったと思います!」
「……(絶句)」
嘘だろ!?機械女神のトップなんだからそんな危険な選抜大会を中止する立場だろ!?
てか、あんなに大人しい奴がそんな大会主催するのかよ!?
「ナオ……気持ちは分かるわ。どんな下らない事でも一生懸命にやる……良くも悪くもね。こいつらはそういう生き物なのよ」
陽菜にぽんぽんと肩を叩かれる。
「下らなくなんてありません!みんな陽菜ちゃんをアヘらせたいのです!そうですよね、先輩方!」
ぴょん!ぴょん!ぴょん!
スラに応えるように陽菜をアヘらせたい選抜メンバーのスライム達はさっきよりも力強く跳ねた。
こいつらマジで陽菜をアヘらせるつもりだ。
「陽菜、なんかすまんな。とんでもない事に巻き込んでしまった気がする」
「いいわよ……。多分ナオが絡んでなくてもやられてると思うし……。むしろちゃんと加減を知ってるナオがいる方が安全なくらいよ」
セクハラ王の俺が立ち会ってるほうが安全というすごい矛盾。
まぁ、こいつらがどうしようが俺には俺の目標設定を今更変えるつもりはない。
「でも、このまま何もせずに無抵抗にセクハラされる私じゃないわ。ナオ、幼馴染として一回…一回だけでいいから私がこの場から逃げる時に何もせずに見逃して。お願い」
うーん。見逃した所で俺にとってはデメリットしかないんだよなぁ。
でも、今回は俺が作戦を立てて努力して陽菜にセクハラできるチャンスを作ったと言うよりかはこいつらが勝手にお膳立てしただけだからなぁ。
まぁ、1回は見逃すか。陽菜がどうこの場から切り抜けるか見てみたいし。
「失敗したら諦めてアヘられる訳だな?」
「いや、何があっても諦めないわよ……」
「分かった。じゃあ、もし脱出に失敗してスラやスライムに捕まった時に「絶対スライムなんかにアヘられたりしない!」って言ってくれるなら陽菜の言うとおり約束しよう」
「それ……私が負けるフラグじゃない」
「そんな意図はない。単純に陽菜ボイスが聞きたいだけだ」
「……まぁいいわ。成功して脱出すれば良いだけなんだから」
「って事で俺は不介入だ」
何をするのか知らないが巻き込まれないように俺は風呂場の隅に移動して待機。
スク水姿だけしか目が入ってなくて風呂場は全然見てなかったが……ラブホの風呂ってこんなにデカイのか?
紫色の照明にピンク色をした風呂。ラブホ特有のエッチな雰囲気を醸し出されているが、それにしたってでかすぎるだろう。あのハート形の風呂だって20人は入れるだろうし看板見ると露天風呂もあるそうだ。
大浴場をラブホっぽくしたような感じだ。
「分かりました!なお君の協力がなくてもボクたちだけで陽菜ちゃんを捕獲してみせます!」
「ふーん、スラも随分言うようになったわね。私に勝てたことなんてないくせに」
「ボク一人ではそうかもしれません……ですがボクには、先輩方がいます!」
ぴょん!ぴょん!ぴょん!
こうしてスラ&スライムVS陽菜の攻防が始まった。