表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/184

8話 俺の中学校生活2

 職員室からの脱出は成功。


 先生は放課後職員会議に出席しなければならないしその準備も忙しいだろう。

 そしたら最低でも俺とゆっくり話をする時間を取れるのは連休明けになる。

 後は時間が解決してくれるさ。


 教室に戻るとほとんどの生徒は昼食を食べ終え、友達とわいわいと楽しく雑談したり遊んでいたりしていた。

 俺は静かに自分に席に戻り弁当を食べる準備をする。この間、俺に喋りかけてきた奴は0。完璧ボッチだ。


 さ、そんな事は気にせずに弁当を食べようじゃないか。確か今日の弁当はスラが作った弁当だっけ。


 ぱかっ

 

 「おお……これはすげぇな」


 弁当の蓋を開けると、一体何時間かけて作ったんだと思うほど豪華なキャラ弁だった。

 そのキャラ弁は俺とスラのキャラクターが弁当に表現され「だいすき!」とメッセージも添えられている。


 そういや昨日、スラが「幼稚園のお子様も大喜び!!本格的キャラ弁の作り方!!」と書かれた本を読んでいたから早速実践したのだろう。

 ……でもなスラよ、気持ちは嬉しいが中学生にこの弁当はきつくね?

 こんな弁当を思春期のお子さんに持たせたらグレてまうで。てかスラにとって俺は幼稚園児と同等レベルだと思ってるんじゃねぇーだろうな?

 


 (´・ω・`)



 まぁ、わざわざ作ってくれたんだし腹減ったし食べるか。キャラ弁のキャラの造形ができる限り崩れないよう周りから食べていく。


 「すごい綺麗な弁当ね、お母さんが作ったの?」


 「いいや、スラが作った」


 「へー……スラって日に日に女子力上げてるよね」


 俺に話しかけてきている金髪女子"陽菜ひな"は小学生からの恋人。

 俺の定義では、教室で一人ぼっちで飯を食ってる哀れな少年に声をかけてくれる美少女がいたとするならば、その少年の恋人だろうと定義している。

 

 「よって俺と陽菜は付き合っている」


 「私、一人でブツブツ訳の分からないこと言っている人とお付き合いはできないわ」


 「あん?ちょっと可愛くてクラスの人気者だからって付き合う男のハードル高く設定しすぎだ。あれだろ?結婚する男の人の年収は最低1000万は欲しいですぅ!それより低いと生活できませぇん!とか言っちゃうタイプだろ。そんな事言ってると美少女でも結婚行き遅れるぞ」

 

 「はぁ……ナオが年収1000万稼ぐようになら付き合ってあげてもいいわよ」


 陽菜は冗談交じりで俺に言う。おいおい、口約束でも民法上成立しちゃうんだぞ?そんな事言っていいのか?俺、本気にしちゃうぞ!


 「ま、じ、で!株や投資には自信があるからスラ売りさばいて資金作ってくるは!」


 「ナオはお金を稼ぐ前にその性格なんとかしなさいよ!」

 

 全く、次から次へとハードルを高くしてくる女の子だ。

 

 さて、そろそろ陽菜とお喋りするのも潮時だろう。

 陽菜は冗談抜きで美少女だ。間違いなく学校で1番可愛い。

 そんな陽菜と俺なんかが二人で楽しく話してると噂になったらお互い迷惑になる。


 「さ、こっちは先生に時間を取られて少なくなった昼休みを少しでも有効活用したいんだ」

 

 「ん……?」


 陽菜は俺の言ってることが分からないのか首をかしげる。ちょっと分かりにくかったか……直球で言おう。

 

 「これ以上時間を無駄にしたくないってことだ。あっち行けしっしっ」

 

 「えっ?う、うん……ごめん」


 陽菜はとぼとぼと元いた女子グループに戻っていった。

 聞こえるぞ聞こえるぞよ、女子グループの奴らが「陽菜~あんな根暗男と関わらないほうがいいよ~」とか「マジあいつキモいんだけど~」とか言ってるような気がする。

 実際は遠くて全然聞こえないが、多分そんなこと言ってるんだろう。女子怖い(被害妄想)


 さて、残りの飯を食おう。このスラが描かれた部分の青色で塗られた米はどんな着色料を使っているのだ――


 「ああっ、そうだったそうだった!用があって来たのにナオがくだらないこと言ったせいで忘れてた!」 

 

 陽菜がいそいそとした様子で戻ってきた。

 これからの学校生活を平和に暮らす為に陽菜にはご退散してもらいたいのだが何か用があるのならば仕方がない。聞いてやろう。


 「くだらないってさっきの結婚の話か?失礼な、半分本気だったんだぞ」


 「はいはい。そんなことよりスラが忍び込んできたんだけどどうしたらいい?」


 「……oh、またか」


 陽菜は昔、色々事情があってスラのことを知っている。

 だからスラのことに関しては気兼ねなく喋ることができるのだ。


 「今スラはどこにいるんだ」


 「私のかばんの中」


 陽菜のかばんを見ると少しふくらんでいたがちゃんとバレないように気にしているのか微動だにしていなかった。


 「結構人目があるのにどうやって忍び込んだんだろうな」


 スラはたまにこうやって学校に侵入してくる。

 多分今日は、キャラ弁の感想を聞きたくて居ても立っても居られず侵入してきたのだろう。

 でもなーもうちょっとスラ自身の事を気にして欲しい。

 バレたら大騒ぎだぞ?


 「えーっと、私どうしたらいい?」


 「あー……放課後返してくれたら良いよ。それまでは頼んだぞ」


 よっぽどの事がない限り陽菜のかばんの中で大人しくしていたらバレることはないだろう。

 だからそのまま陽菜に任せてしまおう。


 「私、いきなり責任押し付けてくる男の人とはお付き合いを続けることができないわ」


 「別に付き合ってないだろ。陽菜と俺は唯のクラスメイトだ。クラスメイト」


 「えぇ!?さっきは付き合ってるとか変な事言ってたじゃない!」


 驚いてるのか悲しんでるのか混乱してるのかよく分からないリアクションをしていた。


 「スラも分かってるから、放っておいても大丈夫だって」


 その後、他のクラスメイトにバレる事なくスラは俺の家の前で返してもらった。

 

 「"おべんとうどうだった? (*´ω`*)"」


 スラは筆談で俺に聞いてくる。自信作だったのかいつもより余計にうねうねと元気にしていた。

 やっぱ弁当の感想をいち早く聞きたかったんだな。


 「ん?ああ、美味しかったよ」


 でも俺がスラに弁当の感想を伝えれた時刻は午後5時。

 わざわざリスクを冒して学校に侵入してきた意味なかったじゃん!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ