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機械女神スラちゃんの飼育日記  作者: エエナ・セヤロカ・ナンデヤ
第二章:スラちゃん故郷出頭編
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79話

 「陽菜!左からくるぞ!」

 「分かった!」


 陽菜と共に剣を持って戦いスライム達を次々に駆逐する。

 既に50匹は狩り終え残りは数体になった。

 

 「ナオ、右から戦車きたわよ!」

 「戦車!?」


 ついに奴らは兵器まで持ってきやがった。

 

 「戦車の主砲は弾き返せるのか?」

 「無理よ!がんばって避けてね!」

 「避けてねって・・・もしあれを食らったらどうなるんだ?」

 「安心して。眠るだけよ。きっと寝てる間にナオの下の世話はスライム達がやってくれるわよ」

 「そんなの絶対に嫌すぎる!」


 戦車の主砲が俺をロックオンする。

 

 「どうするの!?」

 「考えがある」


 足元にいたスライムを拾って喋りかける。

 白旗振ってプルプル震えていた。


 「斬られなくなければ戦車の主砲の中に入って来い・・・いいな?」

 

 こくこく


 頷く動作をしたので俺はスライムを戦車の方に思いっきり放り投げ、スライムはそのまま自ら飛び込んでいった。

 そっちはそっちで痛い目に合いそうだが斬られるよりマシと判断したのだろうか。

 

 ドカーン!


 直後、戦車が物凄い勢いで爆発して燃える。

 

 「ほう、映画のアクションシーンみたいだな。・・・投げておいてなんだけど大丈夫なんだろうなあいつら」

 「大丈夫よ。大気圏突入した時の感想が「楽しかったけど少し熱かった(小学生並の感想)」みたいな事言ってるような生き物なんだから」

 「核爆発くらってもぴんぴんしてそうだな」

 「多分ね」

 

 燃える戦車から数匹のスライムが脱出し、そしてそのまま火の海の中で謎の踊りをしていた。

 

 「何してるんだあいつら」

 「キャンプファイヤー。ほら、スライムっていい加減だから人間の文化とか色々間違ってるのよ」

 「・・・馬鹿だもんなあいつら」

 「み、みんながみんな馬鹿って訳じゃないからね!」

 「あ、はい」


 まぁ、とにかく心配する必要ないだろう。

 俺はトイレへと向かった。



 



 ブリュ!ブリュリュリュリュリュ!


 「あ~・・・」


 やっとトイレにたどり着けた俺は貯まっていたフォースを排出する。

 人間としての尊厳は保たれたのだ。

 俺は故郷に来て成し遂げたことと言えば、トイレを借りた事くらい。

 つまり俺はまだ何もやってないのにドッと疲れが出てきた。


 「なお君!なお君!」


 ドアの向こうからスラの声がした。


 ブリュ!


 「まさかそんな方法で返事されるとは思いませんでした」

 「はっはっは~!ペットにフォースを出す音を聞かれた所で恥ずかしくも何ともないわ!で、何のようだ?」

 「トイレットペーパー持ってきたのです!上から落としますよ~」

 「はいはい・・・よっと」


 トイレットペーパーを受け取りそれを使う。

 ポケットティッシュは残しておこう・・・今回は乗り切ったが次は分からないからな。


 「で~?俺が~ピンチの時に~スラさんは~何してたんすか~↑?」

 「すいません・・・行く手を阻まれてたのでガチ戦してました」

 「あっ・・・そう。スラもスラで頑張ってたんだな。お疲れ・・・ブリュ!」

 「そして本当にご迷惑をおかけしてごめんなさい・・・機械女神を代表して謝ります・・・」

 「ブリュ!?」


 スラから元気良さが全く感じられなく、まるで泣くのを堪える様な震え声のようだった。

 元気しか取りえのないスラから元気が無くなるとただの美少女じゃん・・・


 「言い訳になってしまいますが、なお君が見た通り故郷には自然しかなく住む家すらありません。機械女神の娯楽と言えば自然を楽しむくらいしかありませんでした」

 「ブリュ」

 「まぁ、川に流されながら寝たり竜巻に飛び込んだりとそれはそれで楽しいのですが、そういう生活をずっとしてきたのでどうしてもなお君と関わるといつもよりもハイテンションになってしまったのです。本当に極一部のスライムを除いて悪気はありませんでした」

 「ブリュリュ」

 「その・・・流石にみんなもなお君脱糞事件はすごく反省しています。次からは絶対に同じ過ちを繰り返さないようにするために、みんなで手分けして故郷版wikiに永久保存してる作業に取り掛かっています」


 いや、脱糞してねぇし!

 てか、wikiに残してるじゃねーよ!

 

 まぁあれか、悪意はないんだろう・・・こっちのネット世界とは違って。

 今すぐ消せっと言いたい所だがこれ以上スラがしょんぼりしてしまうと嫌な感じだからここはぐっと我慢しとこう。

 

 「そうだな・・・今回は水に流してやろう。このうんこのように」

 

 ボタンを押してそのまま流す。

 

 「・・・なお君!許してくれるのですか!?」

 「ああ・・・おい!抱きつくな、俺まだ手ぇ洗ってねーから!」

 「このお詫びはいつかなんかの形でお返しします!」

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