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機械女神スラちゃんの飼育日記  作者: エエナ・セヤロカ・ナンデヤ
第二章:スラちゃん故郷出頭編
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72話

 「悪い事したんだからごめんなさいって謝るべきよね」


 ぺしぺしぺし!


 陽菜は赤スライムをぺしぺし叩き、赤スライムはそれに反撃して陽菜に体当たりしている。

 

 「お前らが高速でトロトロ走ってるのが悪い!っと赤スライムは言ってます!」

 

 スラが通訳をする。

 紫スライムと違って随分と攻撃的なスライムのようだ。


 「へぇ・・・自分の立場が分かってないようね・・・おや?」


 陽菜は何か気づいたように赤スライムを陽菜の鼻にまで近づけ臭いを嗅ぐ。


 「お酒臭い・・・」

 

 へ~スライムも酒って飲むんだな。


 ぴょん!ぴょん!ぴょん!


 「さ、酒なんて飲んでねーし!って強く否定してます!」

 「スラも確かめてみてよ、ほら」


 陽菜はスラに赤スライムを放り投げてスラも酒の臭いがするか確認する。


 「ふむふむ・・・これは飲酒運転ですね」

 

 どうやらスラもお酒の臭いを嗅ぎ取ったらしい。


 「飲酒運転は故郷でも重い罰則ですからね・・・」

 「ほ~う、飲酒運転しながらの速度オーバーで追突事故・・・これはやばいんじゃないの~?」


 陽菜はニヤニヤしながら赤スライムを指でつんつんすると赤スライムは大人しくなった。

 酔いが醒めたのか、それともこのまま争っても勝ち目がないと判断したのだろうか。


 「え~っと・・・この事故は無かったことにするよう協力してくれとなお君に言ってます!」

 「え~・・・何故に俺」

 「あの時、苦労して手伝ってやったんだから借りを返せ!っと言ってます!」

 「あの時?」

 

 もちろん、俺は今日まで赤スライム・・・っというかスラ以外の機械女神を見たことがない。

 この赤スライムは俺の知らない所で何かしてくれたのか・・・それとも他の人間と勘違いしてるだけなのだろうか。


 「とにかく、協力した方が後々メリットがあるぞ!っと言ってます!」

 「はぁ・・・で、俺がこのまま何もしなかったら赤スライムはどうなるんだ?」

 「故郷の警察官に引き渡して裁判になります。今回の場合はほぼ有罪でしょうね。そして、怒られます!」

 「いや、そこは怒られとけよ」


 すると、赤スライムはしょんぼりした。

 地球で飲酒運転して交通事故なんて起こしたら下手したら懲役刑だ。

 怒られるくらいで済むんだったら軽すぎる罰だと思うんだが。

 

 ただ、この赤スライムも機械女神だ。

 恩を売っておけるのなら後々色々便利かもしれない。

 セクハラとかセクハラとかセクハラとか。

 

 「まぁ、陽菜。ここはひとまず落ち着いて赤スライムと示談をしようではないか」

 「ナオはただ、これからセクハラする時にこの子を利用したいだけじゃないの?」

 「ソンナコトナイヨ~?俺は赤スライムも反省してるから許してやってもいいんじゃないかと思ったダケダヨ~?」

 「この子反省はしてないわよ?」

 「これからするんだよ、な?」

 

 ぴょーんぴょーん


 「悪かったから許せっと言ってます!」 

 「・・・反省の態度が見られないんだけど?」

 「まっ、まっ、まっ。俺達だって怪我とかしてないし~?こんなスクラップ目前の車に傷がつこうがどうでもいいし~?」

 「ひどい!ボクの愛車ですよ!」

 「付き合ってる彼氏がデートでこんな車に乗ってきたら即効で別れられるような車じゃねーか」

 「こんなにかっこいい車なのに・・・」


 まじかよ、スラのセンスではこれはかっこいい車なのかよ。


 「まぁ、車のことはどうでもいい。とりあえず俺達に大した損害はないんだから、人間様の大きい器でこの哀れな赤スライムを許してやろうぜ?」

 「は・・・はぁ」

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