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機械女神スラちゃんの飼育日記  作者: エエナ・セヤロカ・ナンデヤ
第二章:スラちゃん故郷出頭編
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69話

 料金を払うため料金所の収受員がいる横で車が止まる。


 「お久しぶりです!スラちゃんです!」


 ぴょんぴょん!


 普通の高速道路では大抵おっちゃんが収受員としているがおっちゃんの代わりに紫色のスライムがいた。

 色以外はスラがスライムの時とほとんど違いがない。

 一応、俺にとってスラ以外の機械女神を初めて見ることになるが、出発してからここまでに来る驚きが大きすぎてもはや紫スライムを見たくらいでは驚かなくなっていた。


 ぴょんぴょん!


 「ですです。裁判をうける為に帰郷です!」

 

 ぴょんぴょん!


 「ですね!」


 紫スライムはFPSプレイヤーみたいにスペースキー連打して飛び跳ねてるだけだが、機械女神間ではこれで会話が成立しているらしい。

 

 「ところで、軽自動車の交通料金7円って聞いてましたが随分な値上げですね!庶民のお財布には痛手です!」

 

 スラはそう言いながら自分の財布から10円を取り出して紫スライムにお金を払う。 


 ぴょんぴょん!


 「なるほどなるほど、それは仕方がないかもしれませんね!」


 お金を貰った紫スライムは領収書をスラに渡す。


 「あの・・・俺にも通訳してくれると嬉しいんだが。」

 

 7円から10円に値上げした理由を俺も聞きたくなった。

 聞かせてくれ、一体どんな下らない理由で値上げしたんだ?


 「7円の時、よく10円で払う機械女神が多くてお釣りを3円出す必要があったらしいです。そのお釣りを渡す時間分で渋滞が発生してしまうのではないかと懸念がありまして、お釣りが出る可能性が低い10円に値上げしたそうです!」


 予想してたよりかはまともな理由だったが・・・俺は周りを見渡す。

 俺達以外の車の気配は全くない。


 「俺達はここに着いてから5分くらいたってるが、普段は交通量が多いのか?」


 しゅん・・・


 紫スライムは俺の質問を聞くとなにやらしょんぼりとした。

 スラが通訳する。


 「1週間に1台くらいらしいです・・・」

 「少なすぎね!?だったら別に7円でいいじゃん!」


 すると紫スライムはびくっとなり、プルプルと震えだしホワイトボードに何か書いて俺に見せてきた。

 書かれている文字がガクガクで読みにくかったが一応読めるレベルだった。


 「"ご意見・お問い合わせは故郷道路公団へ(((( ;゜д゜)))"」

 

 ツッコミのつもりだったが紫スライムにクレーマー認定されてしまった。


 「クレームはダメですよ。怯えちゃったじゃないですか」


 スラは紫スライムをひょいと持ち上げて膝の上に置いて撫でた。


 「大丈夫ですよ~なお君は怖い人じゃないですよ~」


 しばらく撫でると紫スライムの震えがとまった。

 どうやら落ち着いたようだ。


 「はい、どうぞ」


 スラは紫スライムを俺に差し出す。

 

 「え~と、俺は受け取ってどうすればいいんだ?」

 「怖がらせたお詫びとしてしっかり撫でてやってください!」

 「怖がらせたって・・・機械女神が本気だせば人間を一瞬で灰にできるくらい強いじゃん」

 「気持ちの問題なのです!」


 スラから紫スライムを受け取るとまた小刻みに震えだした。

 どうやらこの紫スライムはスラと違って怖がりみたいだ。

 あまり人間と接したことがないのだろうか、それとも元々こういう性格なのかは分からないが俺の第一印象"クレーマー"を持たれ続けるのは気分が良いとは言えないな。

 ならば、俺のやることは一つだ。


 「よーしよしよし!よしよしよし!よーし!」


 紫スライムを全力で撫でて可愛がる。


 「よしよーしよしよしよしよしよ!」

 「・・・」


 しばらく撫でると紫スライムの震えが止まりスリスリとしてきた。

 おお・・・これはスラがよくやる愛情表現。

 俺は紫スライムを懐柔する事に成功したのだ!


 「あの・・・」

 「何だ?」


 スラが何やら物欲しげな顔になっていた。

 

 「ボクも・・・やって欲しいです・・・」

 「今度な!」


 俺は全力で紫スライムを可愛がると決めたのだ!

 スラ、おめぇの席ねぇから!

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