68話
「アメリカ空軍にはA-10と言う名の攻撃機がありました!A-10はすっごい攻撃機で片翼だけでも飛べるらしいです!この車もA-10のウィキペディアを参考にしながら改造したので片翼でも問題ないです!」
「ええっ・・・ウィキペディア見てこれ作ったの!?」
「ふふ~ん、すごいでしょ~?」
ドヤ顔になってるけど俺は褒めてる訳じゃないからな!?
とんでもないいい加減な作りに絶望してるだけだからな!!
それとも何か、最近のウィキペディアは設計図みたいな極秘情報まで載ってるのか!?
とりあえず、気分晴らしにドヤ顔してるスラのほっぺでもつねろう。
ふにふに
「うにゅにゅ~・・・なにふるんでふか~スラちゃんいじめよくない!」
「出発してからここまでに減らされた分の精神力を回復してるんだよ」
そういえば、後部座席では陽菜が寝ているな。
陽菜のおっぱいに顔をうずめて精神力を回復させようかな!
「あ、これから宇宙に行くのでシートベルトはそのままにしといてください!宇宙まで行ってそっから高速道路に乗って故郷に向かいます~」
シートベルトを外して後部座席に移動しようと行動する瞬間、また謎の発言を聞いてしまい行動がキャンセルされてしまった。
「ええっと、さっきから人間の思考の限界を超えてる事が多すぎて混乱してるが・・・宇宙に行って高速道路?」
「はい、地郷高速道路です!」
「そんな高速、聞いたことないんだが・・・?」
「地球と故郷を結ぶ高速道路として最近開通したらしいです!ボクも使うのは初めてです!」
「・・・ふ~ん」
考えるな、感じろ。
宇宙に高速道路があったって何もおかしくないじゃないか。
地球と故郷を結ぶ高速道路・・・異文化を繋ぐ素敵な道路を否定してはいけない。
「ん、そういえばずっとスラの故郷の名称を聞いてなかったんだがなんて呼ぶんだ?」
「ん~・・・説明が難しいですがボク達、今の機械女神は国を運営していないので国名がありません。また、住んでる所も正確には星じゃないので星の名前もありません。なのでボク達の住んでる所はそのまま故郷って呼んです!」
「うわ~・・・分かり辛ぇ」
「過去に何度も名称を決める為に議論やお祭りをしたんですけど結局決まらなかったのです~」
とりあえず、納得しておこう。
これ以上考えると禿げる。
外の景色を見ると周りは真っ暗な闇が広がっていて後ろを振り向くとさっきまでいた地球があった。
「おお・・・すげぇ」
限られた人間しか見ることができない生の地球の姿はとても感動的なものだった。
何時、死ぬかもしれないという不安すらかき消される。
「そろそろインターチェンジに入りますがもうちょっと見ていきますか?」
「いや、そのまま行ってくれ」
名残惜しいがこのままだと1日中見てしまいそうな為、その場を後にする。
また、スラに連れてきてもらおう・・・安全な乗り物で。
一瞬、景色が変わったと思ったら宇宙空間にぽつんと高速道路の料金所があった。
何と言うか・・・実際に存在する料金所そっくりそのままだった。
「これも機械女神が?」
「そうですね~詳しくは聞いてないですが暇つぶしで作ったらしいです!」
「そんなマインクラフトで作ったよ!みたいな感じで言われても・・・」
機械女神は暇つぶしで高速道路建築するのかよ。
高速道路数百メートル手前から道路があり、車はそのままゆっくりと着陸態勢に入った。
車は着陸後、ゆっくりと減速し料金所手前で停止した。
「ちょっと待っててくださいね!」
スラはそう言い、ドアを開けて外に出る。
「ちょ・・・!ドアを開けたら空気が・・・!」
がちゃ
スラがドアを開けた瞬間、思わず息を止めてしまったが問題なく呼吸ができた。
「大丈夫です!地郷高速道路にはちゃんと空気があります!」
そういうの、先に言って欲しいなぁ・・・
「で、外に出て何してるんだ?」
「このままじゃ料金所を通過できないので作業に取り掛かります!」
ベりっ!
スラは残っていた右翼の根元から強引に引きちぎり、そのまま翼を車の屋根に置いた。
「お待たせしました!行きましょう!」
「とうとう翼とっちゃったけど帰りは大丈夫っすか・・・?」
「大丈夫です!」
俺の不安をよそに、車は料金所へ進む。
そのまま料金所へ進むと緑の下地に白色のフォントで書かれた見慣れた料金表が掲示されていた。
金取るんだ・・・いくらだろう。
一応、財布も持ってきたが数千円くらいしか持ってきてないぞ?
料金を確認してみる。
--------------------------
地郷高速道路料金表
生身 5円
軽自動車 10円
普通車 15円
中型車 20円
大型車 25円
特大車 30円
--------------------------
駄菓子屋かな?
何キロ距離があるのか知らんがすっげぇ安い料金設定だった。
どんな考えでこの値段にしたのか知らんが赤字確定だろ。
・・・でもな、それよりつっこむべき箇所がある。
「なぁ、あの"生身"って何だ?」
「車に乗らないでスライム単体で高速道路を走る料金です!」
「・・・車に轢かれた所で問題ないのは知ってるが、走ってる途中で潰しても交通事故扱いにはならんよな?」
「ん~、っと言うよりスライムの方が車より速いので後ろから追突されないかの方が心配です!」
スライムってそんな速いの!?
どうにで全力で逃げるスライムの時のスラを捕まえられない訳だ。
「ちなみに、スライムって時速で言うとどんくらいなんだ?」
「個々でまちまちですが戦闘機くらいなら余裕でちぎれます!」
「戦闘機より速いスピードで街をぴょんぴょん跳ねられたら衝撃波で死人が出るな」
「なので地球でそんなことできない分地郷高速道路でストレス発散で飛ばすスライムが多くて、最近はよく速度制限オーバーで捕まるとかなんとか」
こえぇ・・・出発する時スラが言ってた対神バリアってもしかしてこの為に用意したものなのだろうか。