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機械女神スラちゃんの飼育日記  作者: エエナ・セヤロカ・ナンデヤ
第二章:スラちゃん故郷出頭編
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67話

 なんというモビルアーマー・・・

 乗った瞬間、捨て駒だと

 わかってしまったw

 この俺は間違いなく死ぬ^o^

 

 車の内装は清掃がきっちりされてあり清潔感はあったが他が色々とひどい。

 ワイパーを見てみたらゴムでまとめられた割り箸にスポンジが着いている物だったり、サイドミラーはなく、その代わりとして近所の100円ショップで買ったであろう鏡が取り付けられていた。

 試しにこの車を車検に持って行って整備士がどんな反応をするか見てみたい。


 「エンジン入れます!」


 コオオオオーーーーー!!!


 スラがキーを回しエンジンを動かすと横に取り付けられている翼にある筒からジェットエンジンのような音が聞こえた。

 そこまで轟音ではないため長時間でなければ近所に迷惑になることはないが・・・やっぱ飛ぶのか。


 ジェットエンジン(仮)の前方から少し炎がちらちらと見える。

 ・・・へ~、後ろから空気を取り込んで前に噴射したら車は前に進まずバックすると思うんだがそれでいいのだろうか。


 「あっ」


 スラは何を思ったのか運転席から出て翼にガムテープっぽいので取り付けられているジェットエンジン(仮)を取り外した後、反対にして付け直した。


 「よし、これで大丈夫です!」

 「あ~、ごめんごめん~そこ取り付けたのは確か私だったはず」

 「気にしないでください!」 


 ガタガタガタガタ!!!!

 どうしよう・・・手足の震えが止まらない!!

 なんでスラと陽菜はこれで飛ぼうと思ったの!?

 なんでそんなに笑顔で和やかな雰囲気なの!?

 てか、そこは気にしろよ!生命に関わるレベルの欠陥じゃねぇか!

 こんなことになるくらいだったらめんどくさがらず俺も手伝いに行けば良かったああああああ!!


 今回、お留守番のミニスラちゃん達は旗を持って車を誘導する。

 って言っても30cmくらい車を前に動かしただけだが・・・。

 いっそ故障するなり自壊してくれたらどんなに幸せだったか。

 そのままカタパルト(仮)の上に乗るような形になるまで進み、車は空の方向へ45度に傾く。

 まるで、ジェットコースターで坂を上る時の様な緊張感。

 いや、技術を駆使して安全に配慮したジェットコースターの方がどんなにマシだったか・・・


 「なお君なお君!ちゃんとシートベルトはしましたか!」

 「パラシュートと生命保険もつけて欲しいんだが」

 「う~む、確かに車の運転に交通事故は付き物ですが、車はそんな怖い乗り物じゃないですよ?ちゃんと整備して安全に運転すれば良いのです!」

 「HAHAHA!」

 

 ナイスジョーク!

 この車はどうやらちゃんと整備された安全な車だとスラは認識しているらしい。

 もう俺の命なんてどうでもいいや。

 でもな、陽菜も乗ってるんだ・・・せめて陽菜は降ろしてから出発しよう。


 「なぁ、陽菜・・・」

 「すーすー」


 後部座席に座っている陽菜を見るとすやすやと眠っていた。

 いくら徹夜して眠たいからってよくこんな状況で寝ることができるよな。

 俺は今、陽菜に王の器が備わっていること見出した。


 「なお君、陽菜ちゃんはそのまま着くまで寝かせてあげませんか?」

 「あ・・・ああ」 


 着くってどこだよ!天国か!?

 もういいや・・・悪いが最悪の時は陽菜も一緒に死んでもらおう。

 

 「ステルス正常に動作、対神シールドも問題なし・・・それじゃあ、いきま~」

 

 対神シールド!?何それ!?

 俺がツッコミを入れようとする同時にスラはアクセル全開に踏み込みエンジンの回転を上げる。

 カタパルト(仮)が起動し、一気に空へ射出される。

 わずか数秒で俺の家が点になるほどの高さになる。

 良かった・・・重力加速度については俺(人間)が死なないようちゃんと考慮されていた。

 これ、何も考えずに射出されてたら間違いなく内臓パーンになってるぞ。

 

 俺は少しだけ安堵し、余裕が生まれたので外の景色を見る。

 ほ~う、中々の良い夜景だ。

 街の美しさが目の前に一杯・・・あれ?


 ・・・


 さっきまであった位置に翼がないんですけど・・・?

 射出に使うだけで、切り捨てる物なのか?

 スラが運転している運転席側の翼を確認すると翼があった。

 つまり、左翼の翼だけ取れてるってことになる。

 

 「スラさんスラさん・・・!左翼がない!」

 「政治の話とは珍しいですね!ボク的には~・・・」

 「ちげぇよ!翼がないって言ってるんだよ!」

 「うにゅ。耐久性に問題ありでしたか!次はもっと上手く作らないといけませんね!」

 「なんでそんなに落ち着いてるの!?このままじゃ次は永遠に来ないんですけど!?」

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