65話
「あの~・・・そろそろ許してくれてもいいんじゃないすかね?」
「ダメ」
今回のセクハラに対する罰は人生ゲームに参加をすること。
ちょろいぜ!っと思っていたのだが既に10時間ほどぶっ通しでやっている。
「もう人生3回繰り返してるんですが・・・4回目は流石にいいんじゃないですかね?」
「・・・まだやる」
3回目の人生ゲームをトップで終えた陽菜は4回目の人生を始めるための準備をしていた。
「へへへ・・・次も上手くやるわよ」
徹夜してスラの作業の手伝いをした後の10時間耐久人生ゲームをやっている陽菜の顔にはかなりの疲労が見えるが、まだ続ける気らしい。
スラは元気がとり得な生き物なのでピンピンしているが・・・本当に人生ゲームの一体何がスラと陽菜を惹きつけるのだろう。
陽菜にいたっては薬キメてる人間みたいになってるぞ。
人生ゲーム中毒かよ。
いくら俺の罰だとは言え、これ以上続けるのは陽菜の健康に良くないな。
とりあえず終わらせよう。
「そう言えばさ、早くスラの故郷に向かう必要があるんじゃなかったのか?続きは帰ってから付き合ってやるから、な?」
スラにアイコンタクトを送り俺に合わせろと暗に指示する。
スラはうんうんと頷き、俺の考えを理解したようだ。
大丈夫かなー空気読む神の陽菜だったら分かってくれるんだがスラはどうだろうか。
「そうですね!では、そろそろ行きましょうか!」
おいおいおーい!ちょっと俺の意図と違うよ~!?
人間様はか弱い生き物ですから!
機械女神のHPを基準にしてもらわないでくれます!?
「まぁまぁまぁ、急いで向かう必要はあるかもしれないがみんな疲れてるだろう?とりあえず・・・」
「そうね・・・行きましょうか。続きは帰ってきてからね」
スラと陽菜は人生ゲームをいそいそと片付けて、出かける準備をする。
「ナオも出かける準備しちゃって」
「・・・はい」
どうやら休憩と言う選択肢はないらしい。
まぁ、陽菜が良いなら良いんだけどさ・・・
「準備と言っても俺は何を持っていけばいいんだ?」
「大体1泊2日くらいの旅行に出かけるみたいなイメージでよろしくです!」
「へいへい」
先日の合宿に使ったリュックに着替えやら何やらを適当に放り込む。
1泊2日で帰ってこれるならゴールデンウィークにはまだ残りがあるから自由時間が過ごせるな。
ルンルン気分で荷物をまとめて準備している間、ふと疑問が頭に浮かんだ。
そういえば・・・スラって・・・次元を移動して地球に来たんだよな?
俺の旅の安全は保障してくれるのだろうが・・・。
てか、どうやって行くの?
「一応スラに言っておくけどな・・・人間って次元移動できないし空気なかったら死んじゃうからな?」
「大丈夫です!スラちゃんにまかせてください!」
スラはいつものドヤ顔であざといポーズとる。
「え~・・・その仕草をされても期待度はそんな高くないんだよなぁ・・・激アツには程遠いイベントなんだよ」
「うにゅ~」
「どうせなら合宿の時に見た戦闘モードでそのポーズとってくれよ。あの神々しい姿だったら間違いなく激アツで安心できるは」
「神々しい・・・ですか!!分かりました!!やります!!」
どうやらスラにとってかなりの褒め言葉だったらしい。
いつも高いテンションが更に高くなっていた。
そう言えば、前もスラを女神として崇めた時もすっごく嬉しそうにしていな・・・おだてる手段として覚えておこう。
「では、しっかり見るのだ!スラちゃんの戦闘モードを!」
スラが少しずつ輝きだす。
魔法少女のような変身シーンとか見れるのだろうか。
近くに置いてあったスマホを持ち、動画撮影モードにする。
エッチなのがいいな!
「水を差すようで悪いんだけどさ・・・地球で戦闘モードになったから裁判受けるんでしょ?そこんとこ分かってる?」
「あ・・・そうでした・・・」
陽菜の忠告を聞いたスラの輝きはなくなり、テンションも下がりしょんぼりになった。
あーあ・・・俺の股間の神もしょんぼりだぜ・・・