63話
ゴールデンウィーク2日目
俺から協力を約束とりつけたスラは準備があると言い、人生ゲームをやっていた陽菜とミニスラちゃん4匹を無理矢理連れてどこかに出かけた。
出かけてから既に1日が経過しているがまだ1度も帰ってきていない。
「スラはいつ帰ってくるんだ?」
残ったミニスラちゃん1匹に聞いてみる。
何が楽しいのか知らないが1匹だけで人生ゲームをしていた。
「" しらない、おんしんふつう(´・ω・`) "」
「・・・」
地球に住んでる人間には想像も出来ないほど高度な技術や機能を持ってるくせに連絡すらとれないのかよ。
俺はスマホを取り出し陽菜に連絡をする。
連れてかれたと言う事は今も一緒にいる可能性が高いだろう。
「もももももしもし?ひ、陽菜さんのお電話でしょうか・・・!?」
「・・・陽菜だけど・・・何でいつも電話だとどもるのよ」
相手の顔が見れないから緊張するんだよ。
俺は緊張を抑えるために昨日スラからもらった報酬物を鼻におおう。
「スーハースーハー・・・ああ・・・いい!これはいいぞ!陽菜の香りだ!」
「・・・怖いから切ってもいい?」
「待て待て、昨日からスラが帰ってきてないんだ。今も陽菜と一緒にいるのか?」
「うん・・・今準備が終わってナオの家に向かってるからもうちょいで着く・・・」
電話の向こうから欠伸が聞こえる。
「ああああまり寝てないのか?おっと・・・スーハースーハー!」
効果が切れそうになったので再び香りを堪能する。
「寝てないっとゆーか徹夜ね、徹夜。ず~っと手伝わされてるのよ。で、さっきからナオは何やってるの?」
「べっ、別に何も?じゃあ、また」
陽菜が何か言おうとしていたが俺は通話を切る。
おいおい大丈夫か俺、社会人になったら電話の応対は必須スキルだぞ。
どうすんの俺?電話する度にスーハースーハーするのか?
「ただいま戻りました!」
しばらくすると相変わらず元気なスラとミニスラちゃんに月曜日出勤のサラリーマンみたいになってる陽菜が帰ってきた。
部屋に入ってくるなりそいつらから何か異臭がするのを感じた。
「おいおい、洗ってないスラのような臭いがするぞ?」
「ずっとゴミがたくさんある所で作業をしていたのです!後、スラちゃんは機械女神なのでそんな臭いしません!臭いは染み付いた服からです!」
「言い訳はいいからとりあえず風呂入って来い」
「はーい。よいしょっと」
スラ達は抱えていた大きなダンボールを置く。
中身は大量のお菓子だった。
「これは?」
「後で役に立ちます!」
まさかこのお菓子をお土産として持って行ってご機嫌とるつもりなのだろうか?
量はあるとは言え、所詮はスーパーやコンビニで売ってるお菓子。
こんなので喜ぶのはスラレベルくらいの奴だけじゃないか?
もっと誠意を見せるならちゃんとした菓子折りの方がいいんじゃないだろうか。
「じゃあ行きますか!」
「へいへ~い」
スラに続いてミニスラちゃんと陽菜は風呂に向う。
「ナオ~分かってると思うけど・・・いや、分かってないと思うけど覗かないでよ?」
陽菜が俺に忠告してきた。
俺は自分の着替えを用意する。
「覗く?一緒に入るんだから少しくらいは見えても事故だって」
「あっ・・・やっぱ分かってなかったか」
「俺とスラは毎日一緒に風呂に入ってるんだ。陽菜が一人増えたくらい全く問題ない」
「それ、スラがスライムの時でしょ。スラが女の子になってからはナオの方が拒否してるって聞いてるわよ?童貞が見栄はらな~い」
そして陽菜はひらひらと手を振り俺の部屋から消えていった。
いらっ!
はは~ん、陽菜~付き合いが長いからって礼儀を欠けてはいかんよな~!?
そう言えば合宿が終わった後から陽菜にセクハラしてなかったな~。
そろそろ、分からせてやる必要があるよな!!




