60話
ミニスラちゃんは前の合宿で他クラスを偵察するために用意されたスラの分身体だ。
俺はてっきり分身というのは役目を終えると消える存在だと思っていたがミニスラちゃんが消える様子はない。
そればかりか、自分用の食器を用意したり母さんの家事の手伝いをしたりと居候する気満々のようだった。
別にミニスラちゃんがこのまま居続けても大した問題はないが一応スラに聞いておこう。
「ミニスラちゃんっていつまで居る気なんだ?」
「" Σ(゜д゜;) "」
スラに質問するとミニスラちゃん達は捨てられると思ったのか急いで俺の所まで来て俺にマッサージを始めご機嫌をとろうとする。
ほう、これは中々いいな。
「本来なら役目が終わったらボクに戻って消えるはずなのですが、どうやら今の環境が気に入ってるようです!ミニスラちゃん達は労働組合を結成して今の待遇を維持するように要求しています!」
「・・・労働組合?」
「はい!ボクは雇用主として労働組合の要求を軽んずることはしません!なので悪い事しなかったら今のままでいいよっとは言ってますが・・・迷惑ですか?」
「別に迷惑じゃないが・・・分身が意思を持って本体に抗議したり抵抗したり要求したりすることって機械女神的には普通なのか?」
「普通です!」
まぁ・・・色々突っ込みたいことがあるが、それが普通なら別にいいか。
ピンポーン
インターホンが鳴り母さんが応対をする。
「はいは~い。どちら様ですか~?」
「こんにちは。陽菜です」
「陽菜ちゃんね~今ドア開けるよ~」
陽菜は母さんに挨拶を交わして俺の部屋に来る。
小学校の時から幼馴染の陽菜は高校生になった時から頻繁に家に来るようになった。
「ちは~」
「よく来たな、陽菜!早速一緒に布団に入ろう、な!?」
「相変わらずね・・・」
「陽菜ちゃん!できましたよ!ついにできましたよ!」
スラは陽菜を急かすように俺の部屋に入れ座布団に座らせる。
そして、スラちゃんポケットから何なのか分からないガラクタを取り出してテーブルの上に置いた。
急に何もない所からガラクタを取り出したから陽菜はびっくりしてるだろうからスラちゃんポケットについて説明をする。
「あ~・・・スラちゃんポケットっていうのはな、スラの特殊能力の一つで、機械だったら異次元?に収納したり取り出したりできる能力なんだ」
「知ってる知ってる」
「えっ、知ってるのか?見るのは初めてだよな?」
「いや、その~前にスラに聞いたのよ、そうよねスラ?」
「うにゅ・・・言って~・・・たと思います!」
どうでもいいや。
それよりもこのガラクタは一体何なのか予想してみよう。
2リットルのペットボトルのような形の上に小さいアンテナっぽい物がついている。
う~ん、アンテナから察するに何かの通信装置だろうか。
まぁ、所詮スラだから人類の平和を脅かすような物じゃないだろう。
・・・多分。
「では、ちゃんと使えるか試してみます!」
スラはそう言うとそのガラクタとノートPCをUSB接続する。
「ではお見せしましょう!ボクの発明を!」
エンターキーを押してプログラムを実行するとガラクタについているLEDランプが黄色く点灯し、アンテナがぐるぐる回りだした。
ギョエー!ギョエー!
・・・ガラクタから化物の悲鳴みたいな音が鳴る。
そこまでうるさい音量でもないが何か不安にさせられるような不気味な感じだ。
「ガラクタからすっごい悲鳴聞こえるんですけど大丈夫なんすか」
「今は知りませんが、ボクが地球に来る前の故郷で流行していた効果音です!毎日の生活に刺激を!っというコンセプトが受けてよく使われていました!」
ギョギョエエエエエエエ!!
「・・・うるさい」
「すいません」
キーボードを叩くと悲鳴が止み、しばらくするとガラクタについているLEDランプが青く点灯した。
「完成です!聞いて驚かないでください!これはボクの故郷とメールでやりとりできる装置なのです!」




