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57話

「今すぐ武器を手放しなさい・・・」


 明らかにいつものスラとは様子が違っていた。 

 スラの服装は俺が初めて美少女化したスラを見た時の格好・・・確か・・・戦闘服って言っていた服を着用し水色の髪と目は輝いている。

 いつもぴょんぴょん跳ねながらスラちゃん元気です!って言ってるスラはそこにはいなかった。

 代わりに・・・女神と言われたら納得してしまうほど神々しい姿をしたスラがいた・・・


 その現実では見ることがないであろう姿に俺含めその場にいた全員が唖然としていた。


 「はは・・・なんのコスプレだよ?餓鬼が出しゃばってくんな!」

 「・・・武器を手放しなさいと言っています」

 「ああ~ん!!その"おもちゃの水鉄砲"でやるってか!?笑わせるな!!」

 

 スラの手を見ると俺たちがゲームに使っていたおもちゃの水鉄砲を持っていた。

 スラはそのおもちゃの水鉄砲を男の方に向かってそして・・・"撃った"


 パーン!


 ゲームに使っていたおもちゃの水鉄砲の時とはまるで違う本物の銃声のような音が聞こえた。

 直後、今まで感じたことがないような凄まじい衝撃が俺にまで伝わる。

 衝撃に驚き閉じていた目を開けると不良のいるすぐ近くの壁が破壊されていた。

 イメージとしては爆弾で壁を吹っ飛ばしたような感じか、とにかく普段では起こらない異常事態が目の前に広がっている。


 「ひ・・・ひぃ!!」

 「・・・次は当てます」

 「分かった!!分かったよ!!」


 全員持っていたナイフを床に置いた・・・置いたと言うよりかは手が震えてナイフを持っていられなかったと言うべきか。


 「な・・・何者だよ・・・てめぇ」

 「ボクが何者なんて関係ありません・・・次、5組に関わろうとしたら・・・」

 「ああ・・・」

 「殺します」







 

 「あぁ~・・・めんどくさかった・・・とてもめんどくさかった・・・」


 3組の連中が逃げ出した後、ホテルのスタッフが来て大騒ぎになった。

 幸いスラはいつも姿に戻っていたため正体がバレるような事はなかったが、スタッフは破壊された壁を見てすぐに警察と救急車を呼んでしまったため現場にいた俺たちは事情聴取を受けた。

 俺達も何があったのか分からないととぼけていたが警察もしつこく聞いてきてこれはいよいよ署まで任意同行されてしまうかと覚悟をしていたが、警察は何を思ったのか突然撤収を開始した。

 そして、スタッフ達も何事もなかったかのように通常の業務に戻っていったのだ。


 まさか鈴木高校がもみ消した?

 確かにここのホテルは鈴木高校の理事長の所有物とは噂で聞いていたけどそこまで迅速に揉み消せるものなのか・・・すげぇ。


 まぁ、大人の事情は大人にまかせるとして俺は俺のできることしよう。


 「気分はどうだ?」

 「うにゅ~・・・」


 部屋に戻った俺は亀甲縛りで拘束して座っているスラに喋りかけた。


 「スラちゃんいじめよくない!」

 「下手をしたら俺が社会からいじめられる所だったんだぞ、スラぁ~?何であんな派手なことやったの?カッとなってついやってしまったの~?」

 「ボクが介入しなかったら・・・」

 「あ~ん?」

 「・・・何でもないです」

 「お~ん?」

 「痛いです!ほっぺはもっと優しくつねってください!」

 「ふ~ん?」

 

 確かに、スラが介入しなかったらかなり危ない状態だったかもしれない。


 「なお君が刺される可能性70%・・・刺された場合80%の確率で死んでました」


 えっ!?俺そんなに死ぬ確率高かったの!?

 

 「いやいやいや・・・俺鍛えてるし!俺強いし!どんな計算式だよ」

 「・・・ふ~ん」

 「・・・マジで俺刺される可能性あった?」

 「・・・」


 珍しくジト目なスラを見て俺は思う。

 さっきの確率はスラが適当に言った訳じゃなく、機械女神の力で導き出したシュミレーション結果なんだろうか。

 確かスラは世界中の全てのパソコンを集めても勝てないほどスラの演算能力はすごいとか言ってたような言ってなかったような・・・ 


 「分かった・・・元々は俺が原因みたいなものだ。助けてくれたことは感謝しよう・・・だけど、もうちょっとこう・・・スマートにはできなかったのか?」

 「なお君は知らないのですか!壁ドンは相手を説得させる有効な手段だとネットに書いてました!」

 

 そんなの知らねぇから!

 てか、あれが壁ドンかよ!?絶対意味違うよな!?


 「ごめんなさい・・・ボクが格闘戦をしたら簡単に勝てたのですが・・・殴りたくなかったのです」

 

 えっ・・・このペット格闘戦できるの?

 ピチピチ跳ねることしかできないコイキングみたいな生き物じゃないの?


 「だから力を見せて脅す方にしました・・・ごめんなさい」

 

 亀甲縛りされたスラはそのまま頭を下げ謝罪した。

 あれだな、そのポーズを見てると蝋燭の蝋を垂らしてSMプレイしたくなるな。


 ・・・

 

 まぁ、スラも人を殴るよりは壁を破壊した方がマシと判断したのだろう。

 ちゃんと反省もしてるからこれ以上追求する必要はないか。

 そう思った俺はスラの亀甲縛りを解く。


 「なお君・・・」

 「スラに亀甲縛りなんて似合わないもんな。それに、スラは良くやってくれたよ。ありがとう」

 「なお君!!」


 スラは目をうるうるさせて嬉しそうにしていた。


 「さて、せっかくだからスラに聞きたいことがある」

 「あの姿ですか!あれは」

 「いや、そっちは大して興味ない」

 「なんですと!あれはスラちゃんガチモードと言って・・・」

 「夕食前、スラが赤神先生に拉致される前に「ナオ君の主」って言ってたよな。あれはどういう意味なんだ~?」


 俺はとびっきりの笑顔でスラに聞く。

 さぁ・・・上下関係をハッキリさせようではないか!



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