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56話

 「何だ・・・そのナイフは!山坂、先生達を呼んできてくれ!」

 「・・・チッ。待てよ・・・待てっつてんだろ!動いたらこいつを刺すぞ!」


 山坂と遠藤が来たため、焦った男は俺の首近くまでナイフを近づけてきた。

 それぞれが、一体どう行動すれば最善なのか考える。


 遠藤は足をガクガクを震わせながら声を振り絞ってだした。


 「な・・・夏野にに・・ナイフを向けるのはやややめろ!」

 「おいおい、声が震えてるじゃないですかぁ!?ガリ勉2号君」

 「うううるさい!お前達のややってくことは犯罪だ!い今すぐ僕の友達が手をどけろ!!」

 「あぁん!?」

 

 そうか・・・遠藤・・・今すぐ逃げ出したいのを堪えてくれてるんだな。

 後ろにいた3組の2人ポケットからナイフを取り出して山坂と遠藤に近づく。


 「君達がやってることは遠藤君の言うとおり犯罪だ。流石に人刺したら親の力使っても揉み消せないだろう?今ならなかったことにしてやるからナイフを戻せ」

 「お前が何俺に命令してんだコノヤローが!!」

 「ね・・・ねぇ?流石にちょっとヤバイからもうやめとこーよ、ね?」

 「アマァ!お前はこいつらガリ勉共の味方かおらぁ!」

 

 山坂が冷静にお互いが納得できる妥協案を模索しようとしているがもはや言葉は届いていない。

 DQN特有の謎のプライドのせいで引くに引けない状態なのだろう。


 「いいか!ちょっとでも下手な行動したらぶっ殺すぞ!」

 

 遠藤は泣き出すの精一杯堪え、山坂は何か良い手はないかと考えているだろう。


 「夏野!さっさと何したか教えろやぁ!本当にぶっ殺すぞ!」

 「ああ・・・分かった。午後1時から4時まで全員で話し合って何をするか考えてプールで遊ぶことになった。そして午後4時から午後7時までホテル併設のプールで遊んでいた。それだけだ」

 「・・・はぁ!?話し合いなら俺達だってやった!なのになんで午後4時の段階でお前ら5組だけプラスなんだよ!?」

 「話し合いはちゃんと全員が参加して喧嘩したりしなかったか?それがあると減点だ」

 「うるせぇよ!お前には関係ねーことだろうが!!」


 ドンッ!!


 ナイフで刺されこそはしなかったものの、怒り狂った本気の腹パンが俺にきた。

 このまま腹パンだけで終わるならマシだが・・・別に俺、妊娠とかしないから子供が産めない体になりましたっとかにはならないだろう。


 「やめろおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

 叫び声がだんだんと近づいてくる。


 「僕はいいから夏野と山坂は先生をよびにいけええええええええええええええ」

 「ぐっ・・・こいつ!!」


 遠藤が勢い良く走り俺に腹パンしてきた男にタックルをかました。

 男は遠藤と一緒に倒れこむ。

 遠藤は自分の身を犠牲にして俺を助けようとしたのだ。

 アニメや漫画では「俺を置いて先いけええええ!!」とかよくある表現だが・・・俺の為に・・・俺の為に・・・。


 「この野郎!!!」


 まずい!男はナイフを持って遠藤をどかそうともがいている。

 このままじゃ本当に遠藤が刺されてしまうかもしれない!


 「夏野!遠藤を助けてくれ!!こいつらは僕が!!」

 「ああ!」

 

 「いやあああああああああああああああ!!!!!!」


 まるで戦いの火蓋を切るゴングの鐘のような叫び声を女があげる。

 山坂が戦う構えをとり目の男を不意打ちしようとした。

 あの構えを見る限り、全くのド素人ではないようだが相手はナイフ持ちだ。

 

 「がんばれよ山坂」


 そして、俺は遠藤がタックルした男に向かった。

 遠藤は覆いかぶさるように倒れていたのでいつ男が右手に持ってあるナイフを遠藤に刺してもおかしくない状態だった。

 右手を踏みつけナイフを急いで奪って戦闘不能にして山坂の方に向かわなければ・・・あっちはナイフ持った男とガチタイマンだ。


 もう後には引けない・・・殺す覚悟でやらないと遠藤と山坂の身が危ない。

 俺は最後の自問自答をして覚悟を決めた。



 「・・・やめなさい」


 そう声が聞こえると同時に大きな突風が吹き、その異常な現象に全員の動きが一瞬止まった。

 声をした方を振り向くと・・・スラだった。


 だが、いつものスラとは違っていた。

 どう例えたら良いか分からないが、とても神々しい姿をしていた。


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