52話
無事作戦を終了し午後7時、俺たちは大広間に戻ってきた。
4時の中間発表を聞いてなかったため5組は一体どのようにな点数になっているのかは予想がつかない。
「果たして5組はどうなっているのやら・・・」
「ここまでやられてマイナス点だったらもうナオの吊るし上げは免れないんだけど?」
多分、このゲーム一番の被害者であろう陽菜がまだ顔を真っ赤にさせていた。
半裸状態にされてもまだ水かけられていたからなぁ。
「だから時間をズラして騙まし討ちしたのは俺は何も関係ねぇって」
「じゃあ誰が考えたの?」
「・・・さぁ」
謎の結束により誰も騙まし討ちの主犯を漏らそうとはしなかった。
「結果発表ですね!1位だと嬉しいね!」
隣からスラの声がしたので振り向くと、うねうねと謎踊りをしていた。
これは・・・喜びの舞か?
「なんで一番前にいたスラが無傷なのよ。やっぱ共謀してたんじゃないの」
「ぐにゅにゅ・・・してません!スラちゃんいじめよくない!」
陽菜はスラのホッペをつねって尋問するが今回スラは俺たちに武器を提供しただけに過ぎない。
「え~・・・午後7になりました・・・中間発表を行います」
学年主任がアナウンスを開始したがすっごくテンションが低そうな声だ。
「5位は1組のマイナス130点」
1組は午後1時の段階では1位だったクラスだ。
「1組は午後4時の段階でマイナス3点だったのですが、プラスに転じることができなかったので喧嘩して空中分解しました!」
スラがやけに正確な情報を持ってきた。
「スラも午後4時はプールにいてアナウンス聞いてなかっただろ」
「お忘れですか・・・ボクの力を!」
「・・・?」
「ミニスラちゃんです!ちゃんと偵察してたのです!」
「ミニスラちゃんが仕事した・・・だと?」
「ふふ~ん、しかも!ちゃんとおもちゃの水鉄砲も既に150人分できてます!」
ミニスラちゃんはおもちゃの水鉄砲を増産して偵察までこなしたことに驚きを隠せない。
俺の認識ではスラの持っているわずかな有能な部分を削り取り、ただのマスコットに成り下がったのがミニスラちゃんと言う認識だったのだが・・・
「150人分・・・ですって~?」
「しまた!」
あ~あ、陽菜に知られてしまったよ。
「まさか・・・あのふざけたゲームを全クラスでやろうとか考えてる訳じゃないでしょうね?」
「もし、5組だけプラス点で他の全クラスがマイナス点だったらすごく後味悪いだろう?他クラスの為だ。決して俺の欲望の為ではない」
他クラスのメンバーを見る機会は少ないが、教室で盗み聞きした話では陽菜やスラと同じくらい可愛い女の子も結構いるらしい。
もしあの脱衣ゲームが良い結果を残したのならぜひ他クラスに布教しようではないか。Win!Win!
「スラ・・・今すぐミニスラちゃんに全部破棄させなさい」
「これはボクとナオ君の契約なのです。陽菜ちゃんのお願いでも無理です」
「3千年前、あの事件の尻拭いをしたのは誰だったかな~、スラ~?」
「破棄します!」
・・・
陽菜さん、俺の存在忘れてない?
俺、陽菜の声が余裕で聞こえる距離にいるんだけど、このまま聞かなかったフリしてていいんだよな?
まぁ、スラの事だから水鉄砲を破棄せず残してくれている可能性が高いためまだ希望がある。
「では最後に残った5組が1位です。得点は900点。はい、じゃあ後3時間がんばって」
投げやりで学年主任のアナウンスが終わる。
俺たち・・・まじで!?
「・・・え、僕達ぶっちぎりで1位じゃん!」
「まじで!まじで!」
「よっしゃあああ!!!!」
おお~・・・。
中間発表を大分聞き逃してしまっていたが俺たちは1位で900点なのか!
「夏野、お前のおかげだよ!!」
「ありがとう!!これで残りの合宿は自由だ!!」
「夏野を胴上げするぞおおお!!!」
「えっ・・・俺そういうのはちょっと・・・ておい!」
わーしょい!わーしょい!
俺が断る前にあっという間に持ち上げられる。
俺は人生初の胴上げをされた。




