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48話 濡れて脱がすっ!!

 俺たちはホテル付属の屋内温水プール施設に移動する。

 屋内施設だがスライダーや流れるプールなども揃っていて、この施設を利用するだけでも高い入場料がとれるのではないかと思うほど広くて豪華な施設だった。

 この温水プール施設も今日は鈴木高校の貸切だそうで自由に使って良いと許可を受けている。

 5組のクラスメイト全員に男女共に学校指定水着に着替えてもらい、安全のために膝と肘にプロテクターを着用してもらっている。


 「うむ、それではこれをそれぞれにゲームをするための武器を渡す」


 俺がそう言って昨晩スラに夜なべして作ってもらった、おもちゃの水鉄砲を全員に渡す。

 一体何をやらされるのだろうと、不安に思っていた奴らが安堵する。


 「なんだ。これで、水遊びをしろってか?思ったより普通じゃん」


 「まぁ、楽しそうだしいいんじゃない?」


 「なんだ~……私少し不安だったけど案外普通で安心したよ~」


 俺が水の掛け合い程度で満足するはずがないだろう?


 「ルールを説明すると、皆が思っている通りの水遊びだ。だが、この水鉄砲と君たちが着ているスクール水着には少し特殊な細工をしている」


 この水鉄砲はスラの機械女神の力を使って改造した特殊なおもちゃの水鉄砲だ。

 

 ところで、ただのおもちゃの水鉄砲を機械女神の力で改造するなんておかしな話だ。

 機械女神の力は機械にしか使えないからだ。

 しかし、スラ自身がそれを機械だと納得すれば機械らしく、結果おもちゃの水鉄砲を俺の妄想通りに改造してくれた。

 

 おもちゃの水鉄砲ですら機械と納得できるスラの謎判定を疑問に思い、『どんな物だったら機械だと納得するんだ?』と聞いて返ってきた答えが『機械っぽい物!』だったから細かい機械の定義はないらしい。

 

 陽菜が明らかに嫌な顔をして聞いてきた。


 「……特殊な細工?一体何をしたの?」


 「ボクが協力しました!」


 「スラ、なんでそんな余計な事するのよ!?下着泥棒に女子高生が住んでる住所を教えるみたいなもんじゃない!」


 スラの答えに対し、これからとんでもないことが起こると思った陽菜は『orz』みたいになった。

 その陽菜の反応にさっきまで安堵の表情の女子達が強張った。


 「さて、聞くよりもまずは実際にこれを見て欲しい」


 そういって俺は予備で用意していた女子用スクール水着に水鉄砲の銃口を向けて少し発射した。


 ドピュン!


 放たれた水の弾が水着の当たり、水着に半径2cmほどの穴が空いた。


 「見ての通り、この水鉄砲から放たれた弾が水着に当たると、このように穴が空くようになっている。当たっても痛くはないし、弾が目に入ったり飲んだりしても人体に影響はない。だが、水着に弾が当たると破ける……この意味が分かるな?」


 「……」


 「……うそでしょ夏野君?」

 

 女子の一人が俺に震えた声で聞く。どんどん後悔していってるのが伝わってくる。

 一方、男たちは必死に平然と装いながらも嬉々とした目をしている。


 「今一度君達に問おう。今回の合宿のテーマは何だ?それは協調性・団結力だ!ならば俺のやるゲームは最高だろ?エロに興味がない男子などいない。自分から裸になりたいと思っている女子もいないだろう?利害は一致して心は完全にまとまる」


 「……」


 「流石に全裸にしたら公然わいせつで赤神ちゃんにストップがかかる。だから最低限合法になるよう、破けてはいけない箇所は破けないようにはなっている。ついでに、破けるMAXはこれだ」


 ドピュン!ドピュン!ドピュン!


 スクール水着に弾を当てまくる。するとわずかな布切れがいくつか残った。


 「この布切れが見えてはいけない箇所にぴったりと張り付かれるようになっている。着エロのDVDでも絆創膏張っていて見えてないからセーフだって言い張ってるだろう?それと同じ基準だ。公平の為にこれは男子にも海パンにも適用される」


 「……そんな、恥ずかしい事できるわけないじゃない!」


 「そ……そうそう!いくら夏野君でもこれはやり過ぎだと思うよ!」


 「絶対にやらない!反対!」


 予想通り、俺のゲームに女子のほぼ全員から非難轟々だ。


 「遠藤君達も反対だよね!?」


 女子の誰かが男子グループリーダーの遠藤にも俺のやることに反対するよう促している。


 「……その」

 

 遠藤は、自分がどう答えて立ち回るべきか苦悩していた。

 男子グループのリーダーの遠藤がやらないと言えば、ゲームを開始することができなくなる。

 

 だが、俺には分かるぞ遠藤。

 お前も男だろ?本当はとてもやりたいんだろ?脱がせたいのだろう?

 けど、大きな声で参加するなんて言えないもんなぁ。


 歯切れの悪い遠藤の答えを聞く前に、女の子が赤神先生にゲームの中止を要求した。


 「赤神先生はどう思いますか!?こんなゲームは先生として認められないはずです!」

  

 「確かにとても不健全なゲームだが、局部は見えないようになっているんだろう?」


 「はい。絶対に嘘はついていません」


 「……私も止めないといけない立場だが、夏野がわざわざ学年主任に確認した通り『採点担当の先生は学生の質問に対して答えるだけで後は基本静観して採点するというルール』がある。法律や校則に違反しないのなら強制して中止は言えん。お前たち次第だ」


 「……そんな。でもこれは明らかに公序良俗に反していると思います!それに学校の風紀的にも問題があると思います!」


 「だったら参加しなかったら良いだろう?夏野(変態)が無理やりゲームを強行するんだったら、それは止めてやる」


 ひゃっ!ひゃっ!ひゃっ!赤神ちゃんはこのゲームを止めるつもりはないようだった。

 いいぞ、後は女子グループのリーダーの陽菜の答え次第だろう。


 でも赤神ちゃん、夏野(変態)はやめようぜ!ちょっと傷つくから!


 「陽菜ちゃんもこんなふざけたゲーム反対だよね?」


 女子最後の希望として、orzになっている陽菜に同意を求める。

 陽菜はきっとやってくれるだろう。だってこの5組の中で一番、覚悟を持ってここまで来たんだから。


 「私は……男子と女子が対等なルールの下で行われるゲームだったら参加するわ」


 陽菜の疑念を払拭するために答える。


 「もちろん、対等だ。例えば、女子は男子に比べて見えてはいけない所が大きいから、戦いでは不利だ。そのため、できるだけ対等になるよう武器は男子より強化している。例えば、リロードも早いし、弾数も多いから長く連射できる。そのくらい対等に戦うことに配慮している」


 「そう、だったら私は参加する!」


 「でっ……でも!」


 「私はあの時……皆がナオの案を採用すると賛成した時、私は覚悟を持って賛成したわ……だから私はこのゲームに参加する!」

  

 「……」


 一応、俺は内容を聞いてから不参加はダメだと確認はとったが、それを盾にして強制参加を促してしまってはテーマに沿わない。

 まぁ、『1人でも不参加ならこのゲームはやめるよ?』なんて同調圧力を利用した強制参加みたいなもんだが、ギリギリセーフだろう!

 

 仮にそのせいで採点がマイナスになろうがもやは知ったことではない。

 最下位になって罰ゲームを受けるとしても、その後のクラス内での俺の立場がどうなっても……十分におつりは来る!


 陽菜は女子たちに呼びかけ、


 「みんな!つまりこのゲームに勝てばいいのよ!こうなったら男子達に恥を見せてやろうじゃない!」


 「で……でも」


 「私はやってやるわ。そしてナオに絶対に赤っ恥をかかせてみせる!いつもセクハラされてるんだから今日くらいやり返してやる!」

 

 「陽菜ちゃん……」


 「分かった……私も参加する!」


 斎藤が参加表明をする。


 「ボクも当然やります!」


 え、スラも参加するんだ……。

 ま、まぁ全員参加なんだからスラも参加しないとはいけなんだが……本当に参加しちゃうんだ。


 「なら……私も参加する」


 「私も!やってやろうじゃん!」


 「絶対に勝ってやる!」


 斉藤に続いて次々と女子達は覚悟を決めて参加を表明した。

 後は男子達が参加を表明すれば全員合意でゲームが開始できる。


 「女子たちがここまでやる気になってくれたんだ。当然お前らもやるだろ?」

 

 男子グループ全員がコクコクと頷く。

 

 「よろしい、これで全員参加だ。男子と女子に別れて今から1時間後の午後4時までこの屋内プール施設内でひたすら戦ってもらう。勝敗条件はなしだ……時間が来るまで生き残れ。質問は?」


 「このゲーム、武器の特徴とかルールを事前に知ってるナオに有利だと思うわ。その事に関して女子グループに何か救済措置は?」

 

 どうやら、陽菜は俺にルールの抜け道を使われることを恐れているようだ。


 「俺もこの武器の性能は詳しく知らない。だが確かに陽菜の言う通り、このゲームを作った俺が男子たちを指揮してしまうと有利になってしまうかもしれない。だから俺は指揮する立場には回らず、前線の駒として戦うソルジャーになることを約束しよう。それでも不安なら俺は観戦に回るがどうする?」


 「へへっ、一人高みの見物をさせる訳ないじゃない。後もう一つ質問」


 「ほう、何だ?」


 「スラは当然こっち側だけど、ナオと共謀してスパイ活動とかしないわよね?」


 「ない。スラは例え俺と戦うことになっても手を抜くなよ?」


 「がんばります!脱がします!」


 スラはぴょんぴょん跳ねてやる気満々の様子。


 「さて、他に質問はあるか?」


 「限界まで脱がされたら退場ですか?」


 「いいや。やる気があるならばそのまま戦ってもらって結構だが、多分無理だな。恥ずかしいし。他には?」

 

 どうやら、他に質問はなさそうだった。


 「途中で気になることがあれば、スラ特製のルールブックを渡しておくからそれで確認するなり、女子はスラに聞いてくれ」


 そういって、数ページの紙をホッチキスでとめて防水加工した簡単な冊子を陽菜と遠藤にそれぞれ渡す。


 「では10分後の午後3時からスタートしようじゃないか!」


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