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40話 ミニスラちゃんがスラの分身過ぎてポンコツ

 中間発表のアナウンス終了後、俺達は昼ごはんを食べるために食堂に向かう。

 当然、赤神先生も一緒についてきている。この瞬間も採点を行っているのだ。


 さて、ここで聞きそびれた他のクラスの行動についても一応聞いておこう。

 中間発表の点数を聞いて、このゲームの意図を確信できたから他クラスの行動なんて無価値の情報になっている。

 だけどもせっかくがんばって偵察してるんだから使わないと可哀想だ。


 「さぁスラ、1組の行動について教えてくれ」


 「……そ、その~」


 「……いいさ、正直あまり期待していない」


 「そのですね……さっきから何回か試してるんだけど、ミニスラちゃん1号と連絡がつきません」


 「……ん!?」


 やばくね!?やばくね!?連絡つかないってやばくね!?

 サボってたりして遊んでるんだったら、それはそれで良いよ、可愛いものさ。

 だけど、連絡つかないって完全にミニスラちゃん1号を見失ってるってことだよね!?


 「あれか、サボってることがばれしまうから着信拒否にしてるとか?」


 「多分、その可能性が一番高いかと」


 「……もしかして、スラが機械女神の故郷から地球に脱走したように自由を求めて脱走したとかないだろうな?」


 「その可能性もあります」


 マジか、もしそうだったら、もう合宿とかそういう問題じゃないな。

 スラ(本体)から逃れて脱走したということは、脱走したミニスラちゃん1号は何をするか予想がつかない危険な存在だ。

 ひょっとしたら地球の危機に繋ってしまう可能性もあるだろう。

 これは安易にスラの力に頼った俺の責任だ。


 「ミニスラちゃん1号を全力探すぞ。もう友達作りとか言ってる場合じゃない」 


 「うにゅ?」 


 「スラの頭でも分かるように言うとだな、ミニスラちゃん1号がどの程度の力が使えるか分からないが、今スラの管理の下から離れている。もしかしたらミニスラちゃんの勝手な行動が人類の危機に繋がるかもしれないからそうなる前に捕獲する必要があるって事だ」


 「ん~?」

 

 能天気なスラめ。

 ここは俺が落ち着いて、今の状況がどれだけヤバイのかもっとしっかり伝える必要があるようだ。


 「なるほど、理解できました!なお君は深く考えすぎです!」


 「……えっ?」


 説明をする前に理解された。


 「いいですか、例えミニスラちゃんが脱走した所で所詮はスラちゃんなのです!人類の平和を脅かすことは絶対にしません!」


 「でもだな……脱走したってことは、スラ(本体)の予想外の行動をしたってことになる。確かにスラ(本体)は安全かもしれないが、予想外の行動したミニスラちゃんは分からないだろう?」


 「いえ、ミニスラちゃんは脱走することはボクの予想範囲内です」


 「……予想範囲内なら対策うっておいてくれよ」


 「さっきも言ったようにミニスラちゃんはボクだから行動原理は同じなのです。近くにミニスラちゃん1号が見つからないと言う事は、絶対にあそこしかいません」


 「どこなんだ?」


 「ちょっと待ってくださいね」


 スラはポケットからスマホを取り出してどこかへ通話をした。


 「もしもしお母様ですか。そこに小さいボクはいますか!……そうですか!ではそのままにしておいてください!それはミニスラちゃん1号でボクの分身なので安全安心です!」


 「……」


 「家に帰ってお昼寝してるそうです!寝てるから通信が繋がらなかったのですね!」


 「……そう」


 「では、ミニスラちゃん1号の代理でミニスラちゃん5号を派遣しておきますね!」

 

 スラは皆に気づかれないよう距離をとった後、手からミニスラちゃん5号を出す。

 

 「よしよし、では代わりに1組の偵察をよろしく願いします!」


 ぴょん!ぴょん!ぴょん!


 ミニスラちゃん5号はスラ(本来)の手から離れ、1組の偵察に向かわず俺の手に乗った。

 俺の手の上でぴょんぴょんと元気に跳ねるミニスラちゃん5号。


 「……これ、何してるんだ?」


 「役目を放棄して遊んでます!」


 ……一人で真剣になってた俺が馬鹿みたいんじゃん。

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