39話 中間発表!
学年主任のアナウンスが流れる。
「あーテステス。それでは1回目の中間獲得点数を発表します」
5組はまるでお祭りのような雰囲気だった。
「お、来たぜ中間発表!」
「俺達のクラスは果たして何点か……」
「ビリはやめてくれよ~頼むよ~!」
盛り上がっている中、逆に暗い表情をしている学生もチラホラと見える。
「……」
ほう、鈴木高校の恐ろしさを知っている顔だな。
「では……最下位のクラスから発表しますか。獲得点数"マイナス58点"」
……
「えっ?」
「マイナス……?」
「一体何やらかしたんだよ……」
「うちらのクラスじゃないよね。流石にそこまで悪くないよね……」
一瞬の静寂後、さっきまでと打って変わった空気になる。
どんなテストでも大体下限は0点。
それすらも下回った獲得点数に皆驚きが隠せないようだった。
学年主任のアナウンスが続く。
「最下位、マイナス58点のクラスは……1年4組!」
1年4組は外に出て探索をしているクラスだ。
そしてマイナス58点と言う点数を回避できた5組は再び盛り上がる。
「4組かぁ~……俺、すっげぇ安心しちゃったよ」
「やっぱ勉強会で良かったんだよ」
「いくら自由行動でも遊んでたらマズいよね」
「一瀬先生が採点だからって油断しちゃったんだろうな~」
ここでこっそりスラに話しかけてる。
いよいよアレを使う時が来たのだ。
「スラ、ミニスラちゃんの出番だ。4組の行動に何か大きなトラブルや問題はあったか?」
ヒソヒソとスラに話しかける。
「ミニスラちゃん4号、4組の行動に何か大きなトラブルや問題はありましたか?オーバー」
スラがひそひそと独り言を言う。
えぇ~!?スラさん、機械女神なのにそんなトランシーバー使ったような無線通信なの!?もっとこう、SF的なことしないの!?
「ふむふむ、特に問題なしだそうです」
「……そうすか」
そんなので機械女神名乗れるのだったら、これから俺もトランシーバー持って機械男神と名乗ってしまおうか。
アナウンスが続く。
「続いての発表です。第4位、"マイナス52点"、1年5組!」
「えっ!?」
「……そんな、嘘だろ」
「何で……」
5組の学生一同が落胆する。たった一匹を除いて。
「最下位と110点差ですか!大きく差をつけることができましたね!」
「いや、俺達もマイナスな。マイナス52点」
「110点差ですか!」
「……」
スラの馬鹿さに驚くな、俺。
そう、スラはペットなんだ
ペットで会話ができるだけでも凄い知能なのだ。
いいじゃないか、ペットが算数できなくても。
「うにゅ?……6点差だ」
「……偉いぞスラ」
スラの頭を撫でるがしょんぼりしたままだった。
さて、第3位と第4位の俺達のクラスがどの程度点数差が開いているかが楽しみだ。
もし大きく点数が開いていたら間違いなく俺と"アイツ"のせいだ。
「では、第3位、マイナス48点、1年2組!」
1年2組は途中まで勉強会を行い昼ごはんを食べに行ったクラスだ。
俺達とあまり点数差はないな。
よしよし、ついでに2位と1位もマイナス点であってほしいものだ。
……おっといけない、足の引っ張り合いは良くないな(キレイな目)
堕ちろ堕ちろ堕ちろ!
「第2位はマイナス47点の1年3組!」
ほう、3位と2位は1点差か。
中々の接戦だ。
「スラ、3組は何してたんだ?」
「ミニスラちゃん3号、3組は何やってましたかー?オーバー」
「……もっとカッコイイ通信とかできないのか?こう、ホログラムが目の間に現れたりとか……。まぁ確かにこんな人目があるところでそんな目立つ事もできないけどな」
「ふむふむ、そうですか」
通信最中のようで俺の話は聞こえなかったようだ。
「ミニスラちゃん3号はお昼休憩を取っていたので3組が何していたか分からないそうです」
「えええ!?完璧にサボってるやん!あんなに勢いよく向かったのに即効サボってるやん!」
「それをボクに言われても」
「なんでやねん!あんた、ミニスラちゃん達の上司やろ!?どないなっとうねん!」
「きつ~く部下には注意しとますんで……今回は堪忍してください」
これは予想よりも使えねぇ……
気を取り直そう、1位の1組は何点だろうか。
「そして1位はマイナス10点の1年1組! おめでとう!」
1位の1組もマイナス点か。なるほど、なるほど。予想通りだ。
やっぱりあの学年主任、全クラスをマイナス点にしてきやがった。
「スタート地点はもちろん0点からです。ああ……そうそう、一つルールを言い忘れていたことがありました。0点を下回った場合、順位に関係なく5位になりますのでご了承ください。」
一瞬寒気がした。ひょっとしたら全クラスをこのまま5位にしてしまうのではないかと思惑を嗅ぎ取ってしまったからだ。
つまり、全クラスがゴールデンウィーク終了まで合宿を延長して地獄の授業を受けることになる。
さ……流石にそんな茶番、しないよな?
もしそんな出来レースをやってしまったら今後、どんな学校行事があっても学生たちは真面目に取り組まなくなるぞ?
この結果に対して、怒りの声が挙げられる。
「ふ……ふざけるな!」
「おかしいだろこんな採点!マイナス点とか採点になってないじゃねーか!」
「そうだそうだ!しかもルールの後付なんて聞いてないぞ!」
焦りと怒りで、アナウンスを使っている学年主任声なんて届かないと分かっていても怒涛が飛んでいる。
そりゃ、そうだ。このままだと全員が地獄行きなのだから。
もう他クラスと争って優劣を競っている場合ではないのだ。
そんなことをお構いなくトドメのアナウンスが流れる。
「得点の詳細については今は教えることができません……ゲーム終了後、ちゃ~んとみなさんに教えますよ。どのクラスも時間はたっぷりとありそうですから……!」