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37話 最近スラちゃんの出番が減っているような気がします!

 

 話し合いをした結果、俺達5組は最初の中間発表が行われるまで勉強会をすることになった。

 遊ぶよりも勉強した方が赤神先生に心証が良いと判断したためだ。

 とても無難な選択だと思う。

 

 各自荷物を部屋に置いた後、再度第一大広場に集合し机を一つに合体させて俺達は実力確認テストの復習をすることにした。

 また、仲が良い人同士が集まらないよう陽菜がそれぞれの座る場所を振り分けた。

 

 この形は……あれだ、合コンと似ている。

 もしかして陽菜は合コンによく参加しているのだろうか?

 合コンに参加しているということは陽菜は当然、男達のお持ち帰り対象だろう。

 ってことは……もしかして俺が知らないうちに陽菜は既に大人の階段を上っているのだろうか!?

 ダメだ……考えれば考えるほど、部屋に戻って横になりたくなってきた。

 

 「はぁ……はぁ……NTRも良いのかも……(恍惚)」


 「夏野……大丈夫か?」


 左隣に座っている男子に心配されてしまった。


 「いつでも大丈夫だぞ!いいよこいよ!」


 「……そうか」

 

 いけない、いけない、危うく童貞面に堕ちきる所だった。

 陽菜が大人の階段を上ってるのかどうかは後で直接、陽菜に聞こう。

 今はモブキャラに徹するんだ。


 勉強を始めようとすると、他のクラスも集まってきた。

 2組のようだった。

 どうやら考えていることは同じらしく勉強会を始める準備をしている。


 周りに耳を傾けて皆が話している情報を採取する。


 「1,3,4組は見当たらないけど、どこに行ったのかな」


 「他は知らないけど4組はホテル周辺を探索するって4組の友達が言ってた」


 「へ~……4組の採点担当って一瀬先生だよな。やっぱ気が緩んじゃうよな」


 一瀬先生はホスト、もしくは暴走族のような見た目に反して、学生からとても喋りやすい先生だとして有名だ。

 きっと精神年齢が学生に近いのだろう。 


 さて、そろそろテストの復習をするか……満点の俺が一体何を復習すれば良いのか分からんが。

 俺は勉強に必要な筆記用具や教科書などは全く持ってきてなかったのだが、そう言った物は既に先生達が用意していた。

 どうやらこのゲームを盛り上げるために必要な物は色々揃えているらしい。

 俺はノートと鉛筆と消しゴムをもらった。

 

 「この合宿って結構な費用が掛かっているはずなんだけど、よく学費だけでこの学校の運営が続けられるな」

 

 このホテル、ググッたら2名1室で1泊で10万円以上はする。

 その他の費用を入れたら合宿だけで相当なお金がかかるだろう。


 「夏野は知らないのか?鈴木高校の理事長って元々大金持ちでこのホテルも理事長の知り合いのホテルで今日は俺達の貸切なんだって」


 「っ!?」


 独り言のつもりでブツブツ言っていたが、思わない獲物が釣れてしまった!

 これは友達作りのチャンス!ありがとう合宿!ありがとう陽菜!

 このまま上手く会話のギアを繋げたい!


 「あっ……うっ……へぇ~」

 

 俺、痛恨のエンスト。

 急いでエンジンをかけなおす。

 

 「噂じゃ、学費だけじゃ大赤字だから私財を投入して学校運営を続けているとか」


 「どんな慈善事業なんだよ。税金対策なのか?それとも無能なのか?」


 「どうなんだろうな~。でも、少なくとも先生達は皆優秀な人だってことは分かるよ」


 「ああ、それは俺も同感だ。赤神ちゃんも小さくてすごく可愛いしな!」


 「あはははっ。俺も夏野みたいにある意味素直な人間になりたいよ」


 「ある意味ってなんだよ~」


 ああ、楽すぃ。

 俺は夢にまで見た光景が今再現されているのだ。

 このまま続けよう、夢を。


 「なぁ……今俺達は勉強会をしてるんだ。空気を乱すようなことは控えてくれ」


 突然、俺の右隣に座っていた男子学生が注意をしてきた。

 振り向くとそこには遠藤が座っていた。


 「す、すまん……私語は控えるよ」


 俺と喋っていた男子学生、沈黙。

 俺の夢は終わった。

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