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34話 ゲームのルール説明!

 「さて、ここまでで、何か質問はありますか?」

 

 ゲームのルール説明が終わると、学年主任は質問がないかと聞いてきた。

 なんだ、質問するチャンスはあるのか。

 

 ここが仮に就活の企業説明会とかだったら、自分を売り込む為にこの大人数の中でも挙手をするだろう。

 だが、今は誰も挙手をしようとする者はいなかった。

 まぁ恥ずかしいしね。


 俺だって絶対したくない。

 ……だが、今回はクラスの順位がせめて3位以上をとれるようにする為に質問をしなければいけない。

 

 「質問があります!よろしいでしょうか!」


 俺は高く挙手をして、聞こえるように大きく言った。


 「ほぉ~ん!?どうぞ~?」


 一瀬先生からマイクをもらい、一呼吸置く。


 「1年5組の夏野直人です。今回、このような素敵な企画を立てていただきありがとうございます。」


 周りからヒソヒソと話が聞こえる。


 「夏野ってあの一番頭良い人だよね。入学式で挨拶してた人だよね」 


 「そうそう、噂の夏野。普通っぽく見えてかなり頭のネジ外れてるってさ」


 「私聞いたよー。入学初日で机舐めて、机ソムリエしてたって」


 「うわ、マジで?天才ってやっぱどっかおかしいよな」


 しまったぁー!何で俺、就活みたいな前置きしてるんだよ!何で自己アピールしてるんだよ、かまってちゃんかよ!そのまま直に質問しとけばいいじゃん!

 名乗ったせいで、有る事無い事を他のクラス奴に言われてる。

 そんな机舐めるような頭のおかしい奴なんているわけないだろう!?常識で考えろよ!?


 ……いや、舐めてたっけ……?

 いや、ギリギリ舐めてないな。机の脚までは舐めてなかったからセーフだ。


 もうそんな下らない事は考えずにさっさと質問を続けよう。


 「3点質問があります。1点目は、採点方式についての確認です。良い行いに大して点数を加点するとおっしゃってましたが、0点からスタートの加点方式だと認識してますがよろしいのでしょうか?」


 わざわざ個人の成績の良し悪しで採点に対する影響力が増減するシステムを入れてるんだから、行動によっては減点もするだろう。

 だが、これは全員がいる中で言質をとっておいた方が良い。


 もし仮に減点がない加点方式なら5組にとって勝つ可能性が大きくなる。

 だって俺がホテル机を舐め続けたって減点にならずに、陽菜たちががんばって加点すれば良いだけなんだから。


 「……質問を質問で返すようで悪いですが、夏野君。君は事前にこういうゲームがあると知らされていたのかね?例えば……仲の良い一瀬先生から、とか」


 「何故です?」


 「いやぁ~そういうズルは良くないなぁ~っと思っただけですよ。何かやけにルールの細かい所を質問してきたからねぇ~?」


 一瀬先生が一瞬だがビクッっとなった。

 真顔だが、余計なこと言うなよっと暗に言ってきている。


 「いいえ、全く聞いておりません。今回の私の質問の意図としては、学年主任が後で好き放題ゲームのルールを変えるのを阻止する為に言質をとっておきたいだけです。もちろん、学年主任がそういう事をする人じゃないとは思ってますが、何分私はそういう性格なので……。不愉快だと感じられたのならそれは謝罪します」

 

 「……ちっ。まぁ、いいでしょう。質問に答えますと、目に余る行動をした場合は減点処分もあります。よ~く気づきましたね、夏野君?」


 学年主任から0点からのスタートについての回答はなかったが、あえて追及しない。そこは聞かない方が有利になるだろう。 


 「2つ目の質問です。クラスの中には財力やその他、特別な力を持った学生もいます。常識の範囲内ならば使用は許可されるのでしょうか?」


 「特別な力?」


 「例えば、鈴木高校では有名人とか多数在籍していますよね。普通の学生に比べると今回のゲームには有利です」


 「それはもちろん常識の範囲内なら行使して構いません。……ただ、常識の範囲内と言うのも結構曖昧なものです。採点する教師によっては君たちとの認識のズレがあり、思惑通りの点数にはならなかったと言う事は当然ありますねぇ~」

 

 やったぜ、特別な力を使っても問題ないって事だ。

 スラよ、ちゃんと聞いてるか?


 「分かりました。最後の質問になります。私は鈴木高校は学生の自主性を尊重する高校だと聞いてますがそれについては間違いないですよね?」

 

 少しだけ間を置く。


 「ええ、その通りです。それが何か?」


 「だったら、ゲームの途中、採点担当の教師は私達の行動にぐちぐちとアドバイスや子姑のようなうざったい事を言ってきませんよね?クラスの行動に対して一々干渉してこられるとすげぇ迷惑なんですよ」


 周りがざわつく。

 そりゃ、夏野が学年主任を煽ったと思われているだろう。

 そう、学年主任の性格を考慮してわざと煽って答えを誘導したのだ。

 怒られるかもしれないが、ここまで俺の思惑通り進んだのだ。

 最後の質問も俺の思惑通りにしたい。


 「……ええ。採点担当の教師は学生の質問に対して答えるだけで、後は基本静観して採点します。ですがもちろん犯罪行為とかは教師として中断させ――……」


 「分かりました。一人で3つも質問をして手間をとらせてしまい申し訳ありませんでした。そしてありがとうございます」


 「……ちっ。クソガキめ。いやいや~気にしないでください。私は夏野君とゴールデンウィーク期間も楽しい合宿ができることを期待していますよ?」

 

 「結構です」


 聞きたいことは聞けたし、言質もとれた。

 ボク満足。


 「他に質問がある学生はいますか」


 多分、質問したいと思っている学生は多いと思うが挙手する人はいない。

 この大人数で質問することが恥ずかしい事に加え、俺が煽ったせいで学年主任がすっげぇキレてそうだったからだ。

 推薦とかで良い大学や就職したい人が学年主任の怒りを買ってしまうと言うことは、将来の切符を失うってことに等しいからな。


 「はい!はい!」


 一人、近くでちっこいのが挙手をしながらぴょんぴょんしていた。

 スラだった。

 一人じゃない、あれは一匹だな。


 「どうぞ」


 「なお君はとても優しい心をもった人間で、顔だけなく魂もイケメンなのです!そしてなお君の行動は3割くらいは何かしらの意図があって行動してます!だからわざと怒らせちゃうような態度をとってますが許してあげてください!」


 「ほう。で、残りの7割の行動が何かね?」


 「女の子にセクハラする為の行動です!」


 うわあああああああああああああああああああああああ!!

 

 年上の人を煽った天罰なのか!?

 機械女神から公開処刑を食らってしまったああああああ!!


 「えっ……ええ。分かりました。他に質問ある学生はいますか」


 だが、学年主任の顔が心なしか少しほっこりしているような感じがした。


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