28話 美少女化しても俺の部屋に居座るペット
カタカタカタ
帰宅するとスラは俺の部屋で『スラちゃん専用ノートPC』を使い始めた。
スラは家事の手伝いをするから母さんから小遣いを多くもらっている。
俺は『スライムなんだから小遣いなんてやらなくても感謝の気持ちだけで十分。24時間365日働かせれば良い。後、時間があるときは感想文を提出させなさい』て言ってるのにに母さんはずっとスラに小遣いをやっている。
母さんはスライムを使うと言うことを何も分かっていない。
話がそれたが、スラはもらった小遣いでスマホやらノートPCやらゲームなどを通販で俺名義で買っている。
そして飼い始めてから段々とスラの私物が増えてきて部屋に物が多くなってきた。
だから物置を整理して、スラ専用部屋を用意してやったのにずっと俺の部屋にいる。
結局、美少女化してもこうやって俺の部屋に居ついている。
「そろそろスラも美少女化したことだし、自分の部屋を欲しいんじゃないか?」
「ボクの部屋はずっとここです!」
「って言っても色々不便もあるだろう?スラもペットとは言え、一応女の子じゃん?俺、スラの前で着替えとかするの恥ずかしいだけど」
スライムの時は何も気にせずに、スラの前で着替えたり、一緒に風呂に入ったりしていたが流石に今は同じことができない。
見た目が変わるだけでこうも扱いに困るとは……
「大丈夫!ボクはなお君の体見るの大好きです!」
「……」
「だからスラちゃん部屋も必要ないので、これまで通りでいいです!」
「ほう、ええんか?スラが着替えする時、スラの裸をずっと凝視するで?」
「そうですね!ボクだけ目の保養じゃ公平じゃないですからね!とりあえず部屋着に着替えます!」
するとスラはノートPCを置いて制服を脱ぎ始めた。
いかんいかん、本当に凝視してしまいそうになる。
性欲をペットにぶつけるのは間違っていると思う。
俺は目を閉じて、スラが着替えてる間、般若心経を唱えてた。
◇◇◇◇◇
「で、スラはノートPCで何してたんだ?はは~ん、友達の作り方とかググってたんだろう?俺が教えてやろうか?」
「友達は自然とできるものです!方法何てありません!」
友達が自然と出来る確率何て、25mプールにバラバラにした腕時計の部品を投げ込み、自然に腕時計が完成するくらいの確率だ。
きっとスラはその確率を偶然引き当てたのだろう。そう、偶然なのだ。
「プログラムの勉強をやってるのです。C言語です!」
「プログラム?」
「うにゅ、なお君のお望み通り、スマホを振ると強制的にLineのアドレス交換をできるようにするのです。なのでC言語を勉強しながらアドレス強制交換プログラムを作ってます!」
「そんなズルみたいなことしたって友達はできないぞ?」
「ええー……せっかくがんばってプログラミングしようと思ったのですが~」
「まぁ、勉強をするってことは良いことじゃないか。がんばれ~」
って言うかスラの作ろうとしてるのって、セキュリティホールの穴をついたウイルスなんじゃね?
さらに言うとスマホアプリ関連だったらC言語よりもJAVAの方が良いんじゃね?
まぁ好きにさせればいいや、スラちゃん馬鹿だけど悪い子じゃないから悪用しないだろう。
てか、馬鹿な子だから放っておけばポインタ当たりで挫折するだろう。
俺は晩飯まで漫画でも読んで時間を潰すか。
「なお君はボクがプログラミング出来る訳ないとか思ってそうですが、ボクは機械女神なのです!ボクの演算処理能力はこの地球上に存在する全てのパソコンが束になってもボクには勝てません!」
漫画を読み始めようと思ったらスラが喋り始めた。
そんなすごい処理能力があっても、卵焼きをたまに焦がしてしまうのは何故だろうか?
「ふふ~ん、その内なお君がびっくりするくらいすごいの作ります!今でも故郷と通信できるすごい機械を――……」
「ふーん、どうせだったらすごいオンラインゲームを作ってくれ。仮想空間でおっぱい触れるようなゲームな」
「分かりました!スラちゃんがんばる!……ですが、躓いてる所があるのですが教えてもらっていいですか?」
「分からないところ?俺だってプログラミングはほとんどしたことないから多分答えられないと思うぞ?」
ははーん、やっぱり初心者殺しのポインタ辺りで躓いたな?
俺がどうがんばって分かりやすく説明した所で、スラの頭では理解できないだろうが、教えてと言われた以上、『そんな事自分で考えろ』と言うのはスラの飼い主失格だ。
「きっとなお君なら分かると思います!これです!」
ノートPCの画面を見るとWebサイトに載せられているプログラムの例文だった。
Webサイトのタイトル名は『ゴミでも分かる簡単C言語』
「やっぱりポインタじゃん」
地球上に存在する全てのパソコンが束になっても勝てない演算処理能力でもポインタが理解できないのか。
俺の知ってる範囲内で簡単にポインタについて説明してやる。
「――っという訳だ。分かったか?」
「うにゅ?」
どうやらすごいオンラインゲームができるのはまだまだ先になりそうだ。