26話 スラえもん
俺は退屈な授業中、ふとこう思ったのだ。
友達なんて自力で作る必要なくね?
だってうちのペットは女神様なんだぜ?
女神的な力を使えばあっという間に友達がたくさん作れるはず。
「な~スラえもん。俺に友達ができる秘密道具を貸してくれよ?」
「機械女神は戦闘メインなのでそんな便利な道具は作れません!」
「だけど一応"女神"なんだろ?何か特別なことができるんじゃないのか?相手に催眠かけて友達になってくれる装置とかくれよ?」
「ないです~」
「なぁ~スラえもん~」
「ないです~」
使えない奴め。
飼い主がこんなにも困っているというのに。
「じゃあさ、機械女神が使ってる武器くれよ。それで友達作るから」
「うにゅ?武器でどうやって友達を作るのですか?」
「友達になりたい奴の目の前で、ぶっ放せる武器を使ってビビらせてそいつに、『俺と友達になるよね?(ゲス顔)』って言うだけで友達100人余裕」
「それは友達じゃないと思います!」
「そうか?服従させたらそいつとは友達(ゲス顔)」
「ボク前住んでた故郷からは戦闘服くらいしか持ってきてないのです。だから武器も便利グッズも持ってきてないんだよ?」
「じゃあさ、魔法とか使えないのか?相手に催眠かけて友達になってくれる魔法とかしてくれよ?」
「スライムの時にやってましたが、物を浮かす事はできます!見ててください……うにゅ?浮かない……」
「サイコキネシスみたいなやつか」
見世物としてはなかなか、っというかそれだけでも一生食っていけるレベルだが女神にしては地味だなぁ。
しかも美少女状態じゃ使えないっぽい。
「そうでした!もう一つありました!大機械を体の中に収納したり出したりすることができます!」
ああ、そんな設定もありましたね。あんまり描写されてなかったけど日常生活ではよく使ってますね。
「なお君はボク万能の美少女女神だと思ってますが――……」
「客観的には可愛いから美少女って言ってるけど、俺は認めていない。ブス状態スラなんて言ったら可愛そうだろう?」
「機械女神は機械を創ったり、改良したり、制御して扱ったりする事ができるすごい女神なのだ!」
無視された。
「……つまりあれか?四次元ポケット奪われて秘密道具を何も持ってないドラえもんみたいなものか?」
「ですです」
まぁ、何でもできるんだったら頼り切ってしまうし、何より人生ヌルゲーになって面白くないだろうしな。
スラはただのマスコットで十分なのかもしれない。
……
ふと1つ疑問に思った。
「機械女神は機械を創るって言ったよな。もしかして自前で作成できるのか?」
「ふふ~ん、ボクのことを無能とか思ってましたよね!」
「無能までとは思ってなかった。使えね~な~くらいだ」
「そう、ボクはその気になれば武器や防具やその他の便利な機械を作ることはできるのです!知識と技術はこの頭にちゃんと入っているのです!」
スラはいつものドヤ顔になった。
「まじかよ、一緒に世界制服しようぜ!世界の半分はくれてやるよ!」
「でも、問題がありまして」
「ほう」
「……機械を創るための素材がないのです。後、工具も」
ええ~……なんかえらい現実的な問題点だった。
もっとこう、機械を創るための女神パワーが足りないけど、陽菜と百合百合することで力を得ることができます!みたいな設定にしてくれよ。
「地球に存在する素材や機械じゃ機械女神の力は発揮できないって訳か?」
「手間とお金をかけてがんばったら、すごい低ランクの武器くらいなら作れると思います」
「すごい低ランクか……どの程度の強さの武器をなんだ?」
「弾無制限で連射できてリロード不要、1発で装甲車を貫ける有効射程5キロのアサルトライフル」
「そんなやばいもの絶対に地球にばら撒くなよ?」
「もち」
侮ってた、機械女神侮っていた。
それですごい低ランクかよ。ひのきの棒レベルかよ。
最高装備で地球で暴れたら完全に俺Tueeeeの無双じゃねーか。
「ついでに一番強い……いやいや聞かなかったことにしてくれ」
聞いたら、スラにこれから敬語で話さないといけないことになってしまいそうなので聞かないでおく。
「スラちゃん本気出せば凄い奴なのです!」